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第85回 光岡自動車
2017.6.27

今回は光岡自動車のご紹介をしたい。6月21日に行われた限定車(ビュートモダン、リューギモダン)の発表会に合わせて、RJC研究委員会活動の一環として光岡自動車の経営陣との交流の場をもつことができ、これまで断片的な知識しかなかった光岡自動車に関して、経営者の思い、歴史、ビジネス、EVへの期待などを知ることが出来たので、最後には私の希望も交えてご報告したい。

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プレゼンテーション中の光岡進会長

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光岡自動車の初のオリジナルカー「BUBUシャトル50」とそれに引き続き導入されたミニカー

光岡自動車の歴史
光岡自動車は、小学、中学時代から模型エンジンや模型飛行機に魅せられ、パイロットになりたかったという現会長の光岡進氏が、富山日産で4年間登録業務、富山日野で7年間セールスの経験を積まれた後に1968年に創業された。創業時は「馬小屋」からのスタートだったそうだが、1977年には自社ビルを建設、1981年には中古車販売の全国展開を実現、開発部も立ち上げて初のオリジナルカー「BUBUシャトル50」の開発に着手、翌年(1982年)には発売した。その後ミニカーを次々に導入、最盛期には月間200台以上生産したが、型式認定、普通免許が必要になるなどの制約が加わり、販売台数が激減、1985年に一旦は開発部門、工場の閉鎖に踏み切らざるを得なかったようだ。

光岡進氏はすでに渡米していた弟のいるアメリカにゆき、キットカーを購入、日本に持ち帰り、品川の陸運事務所で車検を取得、それが契機となり乗用車の開発に歩を進め製造を再開、発売に至ったのが「BUBUクラシックSSK」だ。1990年には日産シルビアをベースに、ホイールベースを延長した「ラ・セード」を発表、発売するが、限定台数500台が4日で完売したという。2代目の「ラ・セード」は2000年に100台限定で販売された。

1993年には今日の3代目までのロングセラーとなる日産マーチベースの「ビュート」を、1994年にはマツダロードスターベースの「ゼロワン」を発売した。「ゼロワン」はワイパーの払しょく面積が足りなかったが、型式を「組立」としたため、国土交通省からは99台までは販売がOKといわれたという。1996年には「ゼロワン」の型式認定を取得、光岡自動車は国内10番目の乗用車メーカーの仲間入りを果たした。1998年、「ゼロワン」の派生車「ゼロワンClassic Type-F」は通産省のグッドデザイン賞も受賞した。

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マイクロカーシリーズ

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「オロチ」

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「卑弥呼」

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卑弥呼内装

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「ライクT3」

1998年、エンジンも自前で作ったマイクロカーシリーズを発表、発売、ミニカー事業の再開を果たすが、1999年の東京モーターショーには「自動車工業会会員」でないことを理由に出展を断られたという。モーターショー出展が認められた2001年の東京モーターショーには「オロチ」のモックアップを展示、それから5年の歳月を要したが、2006年に「オロチ」の販売を開始した。「オロチ」の引き金は、ある日光岡会長の奥様がフェラーリテスタロッサをみて、「あんな車が好きだ」という一言だったという。エンジンはトヨタ製、ブレーキはトヨタからの供給がうけられなかったためホンダから入手、一番難しかったのはエアーバッグだが、かろうじて某社のルートで入手することが出来たという。「オロチ」で目指したのは、蛇の頭をモチーフにした存在感のあるデザインと、国内の道路を普通に走れる動的性能を両立したクルマだという。2008年にはマツダロードスターをベースにした「卑弥呼」を導入、2013年にはオリジナルEV「ライクT3」を導入、日本郵便、佐川急便の近距離物流などで活躍するものの、台数的には思うように動いていないとのこと。

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「ビュートモダン」外観

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「ビュートモダン」内装

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「リューギモダン」外観

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「リューギモダン」内装

今回導入の限定車
上記の写真が今回導入された日産マーチベースの「ビュート」の特別仕様車「ビュートモダン」と、トヨタカローラアクシスベースの「リューギ」の特別仕様車「リューギモダン」で、いずれも専用ボディーカラー、専用シート、アルミホイールなどが特色で、車両本体価格は、「ビュートモダン」(1200cc3気筒エンジン+CVTの2WDと4WD)が、\287万~\360万、「リューギモダン」(1.5Lエンジンのハイブリッド仕様の2WDと4WD)が、\296万~\360万となっている。

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「ガリュー」外観

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「ガリュー」内装

光岡自動車の現在のラインナップ
現在のモデルラインアップは以下の通り。
 「ビュート」(日産マーチベースで、セダンの車両本体価格が\236万~\311万、HB「なでしこ」が\178万)
 「ガリュー」(日産ティアナベースのセダンで、車両本体価格は\403万~\506万)
 「リューギ」(カローラアクシスベースのハイブリッド2WDセダンで、車両本来価格が約\237万~\300万円、ワゴンが¥249万~\316万)
 「ヒミコ」(マツダロードスターベースの電動開閉式ハードトップで、車両本体価格は\502万~\523万)

光岡自動車のビジネス
このように見てくると光岡自動車のビジネスはこれらの独自商品の開発と販売が主体であるように思えるが、これらの開発事業は約200億円の年間売り上げの10%にも満たず、正規輸入車ディーラー事業(4輪ではアウディ、VW、ランボルギーニ、マセラティ、アルファロメオ、フィアット、アバルト、キャディラック、シボレー、ジープ、クライスラー。ほかに2輪もあり)が約半分、残りがBUBU事業(輸入中古車事業)という割合になっているという。またどの部門の売り上げになっているのかは定かではないが、霊柩車ビジネスも見逃せない。逆の見方をすると開発事業以外のこれらのコアビジネスがあるからこそ、オリジナル車の価格をリーズナブルなレベルに抑えられているのかもしれないし、今後も光岡自動車が夢に向かって挑み続けられる大きな要因になっているのだろう。

光岡自動車への期待
今回の創業50周年を迎えるにあったての光岡進会長の講演は、クルマに対する情熱に満ちたもので、大いに感銘をうけるとともに、光岡自動車の今後の発展もこのようにクルマに熱い経営者によるところが非常に大きいはずだ。EVの明るい将来性に対する思いも同感で、バッテリーの更なる進化は必須だが、近場の物流に加えて、老齢者人口の急速な拡大に対応した光岡自動車ならではの老齢者の近距離移動手段、観光バスでの移動とは一線を画した、歴史が古く道路の狭い観光地における内外観光客のための簡易移動手段など、大規模自動車メーカーとは異なる商品展開を大いに期待したい。

加えて是非実現してほしいのは、「もどきデザイン」からの思い切った脱出だ。古い英国車の外観スタイルが非常に魅力的であることに疑念の余地がないが、現状の「もどきデザイン」では私は正直言って買うことに大いに抵抗を感じてしまうので、独自性のあるクラシックなファッションを追求してほしいと思うのは私だけではないはずだ。加えて「光岡のクルマに乗るととにかく気持ち良い」と評価されるような走りに関するチューニングもしてほしい。これらが実現すれば、光岡自動車のクルマは間違いなく私を含むクルマ好きの人たちの購入対象車になるだろう。

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執筆者プロフィール

1941年(昭和16年)東京生まれ。東洋工業(現マツダ)入社後、8年間ロータリーエンジンの開発に携わる。1970年代は米国に駐在し、輸出を開始したロータリー車の技術課題の解決にあたる。帰国後は海外広報、RX-7担当主査として2代目RX-7の育成と3代目の開発を担当する傍らモータースポーツ業務を兼務し、1991年のルマン優勝を達成。その後、広報、デザイン部門統括を経て、北米マツダ デザイン・商品開発担当副社長を務める。退職後はモータージャーナリストに。共著に『マツダRX-7』『車評50』『車評 軽自動車編』、編者として『マツダ/ユーノスロードスター』、『ポルシェ911 空冷ナローボディーの時代 1963-1973』(いずれも三樹書房)では翻訳と監修を担当。そのほか寄稿多数。また2008年より三樹書房ホームページ上で「車評オンライン」を執筆。

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車評 軽自動車編
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