三樹書房
トップページヘ
catalog
第76回 2018トヨタ博物館クラシックカー・フェスティバルin神宮外苑
2018.11.27

 今年も恒例の「トヨタ博物館クラシックカー・フェスティバルin神宮外苑」が開催された。二日前の日本自動車殿堂の表彰式会場でお会いした布垣館長に「あさってはお天気だと良いですね」と声をかけたほど、天気予報には傘マークがついていた。ところがフェスティバル当日は予報が大外れの眩しいくらいの快晴。パレードコースとなる「いちょう並木」も、多少緑が残るが見事に黄葉して楽しませてくれました。
 今年の企画展示テーマは「Japanese Vintage Year 1989」。バブル経済の真っただ中にあった1980年代後半の日本では、各自動車メーカーが次々と新技術を採用し、高級サルーンやパーソナルクーペ、スポーツカーなど、さまざまなジャンルで名車が誕生した時代でした。そこで、平成最後の開催となる今回は、平成元年(1989年)に各メーカーから発表された5台のクルマが展示された。
 一般参加車両は例年通り100台ほど。クラシックカーあるいはクルマそのものに興味をもつ約2万人の人が来場したという。

05-76-01.jpg

会場を訪れる途中に毎年楽しませてくれるいちょう並木。今年は少し早かったようだ。

05-76-02.jpg

05-76-03.jpg

05-76-04.jpg

上の3点は会場で配布されたプログラム。企画展示のために各メーカーから提供された、1989年に発表されたクルマは「スバル レガシィ ツーリングワゴン」「トヨタ セルシオ」「ニッサン スカイライン GT-R」「ホンダ NSX」「ユーノス ロードスター」の5車であった。

05-76-05.jpg

オープニングセレモニーで挨拶するトヨタ博物館 館長の布垣直昭氏。

05-76-06.jpg

05-76-07.jpg

上の2点は、毎年おなじみの記念乗車撮影用に提供された1937年ホルヒ タイプ853。4.9ℓ 直列8気筒100馬力エンジンを積む。撮影用として1914年フォード モデルT ツーリングと1967年ジャガー E タイプの2台も用意されていた。

05-76-08.jpg

小さくて申し訳ないが、聖徳記念絵画館を背に企画展示の5車が並ぶ。手前は記念乗車撮影用のジャガー E タイプ。

05-76-09.jpg

左から1956年AC エース ブリストル、1958年パナール ディナ Z、1958年ベントレー S1 フーパー、1956年オースチン A35 カントリーマン、1958年フォルクスワーゲン カルマンギア、1953年MG ミゼットTDと続く。

05-76-10.jpg

1927年ロールス・ロイス ファントム Ⅰと1928年ベントレー 6.5ℓ。

05-76-11.jpg

右から1966年マセラティ クアトロポルテ、1962年アルファロメオ ジュリア スパイダー(Automobile Council 実行委員会から参加)、1966年トヨタ スポーツ800とニッサン シルビア。

05-76-12.jpg

左から1967年ホンダ S800 クーペ、1964年ボルボ P1800、1965年ダットサン ブルーバード 1600SSS、1967年トヨタ ランドクルーザー。

05-76-13.jpg

左から1981年デロリアン DMC-12、1975年マセラティ メラクSS、1975年BMW 3.0CS、1975年いすゞ 117クーペ。

05-76-14.jpg

これは珍しい1971年シムカ クーペ 1200S、1969年ロータス エラン S4、1968年メルセデス・ベンツ 250S。

05-76-15.jpg

1962年ロータス エリート S2と1967年ニッサン プリンス スカイライン 2000GT-B(筆者注:1967年ではグリルが変更されているはずだが、旧型のものに換装したのであろうか?)

05-76-16.jpg

1933年オースチン 10 - 4。1125cc 直列4気筒サイドバルブ30馬力エンジンを積む。

05-76-17.jpg

1958年ディーノ 196S(レプリカ)と1956年MGA フィクスドヘッドクーペ。

05-76-18.jpg

非常に珍しい1913年AC ソサイアブル。

05-76-19.jpg

これも希少な1965年ASA 1000GT。フェラーリの小型車プロジェクトによって誕生したクルマで、開発を主導したのはフェラーリのジオット・ビッザリーニ(Giotto Bizzarrini)でボディーのデザインはベルトーネに在籍していたジョルゲット・ジウジアーロ(Giorgetto Giugiaro)。フェラーリ製1032cc直列4気筒SOHCツインウエバーキャブ90馬力エンジン+5速MTを積む。1962年にASA 1000GTの名前で発表されたが、生産が開始されたのは1964年で、1969年までに101台生産されたと言われる。1092cc 95馬力(後に105馬力)エンジンを積んだレーシングバージョンも少数生産されている。最初は「フェラリーナ(Ferrarina)」の名前が予定されていたが、フェラーリのイメージ悪化を懸念し、生産はミラノに新設した会社「Autocostruzioni Società per Azioni」に移し、ASA(アーサ)の名前で販売された。

05-76-20.jpg

これも珍しい、1972年アルファロメオ 1300GT ジュニア ザガート。

05-76-21.jpg

1974年オースチン ヴァンデンプラ1500。これも極めて珍しく、脇に用意された解説文によると、日本で車検取得している個体はわずか3台と言われる。

05-76-22.jpg

1970年ダットサン フェアレディ2000。SR311のおよそ85%は輸出され、そのほとんどが左ハンドルであり、右ハンドルのSRはめずらしい。

05-76-23.jpg

パレードに出発する1946年MG ミゼットTC。

05-76-24.jpg

公道を走る姿を初めて見た1956年ロータス Mk XI。

05-76-25.jpg

空腹を満たしてくれるキッチンカーもしっかりと用意されていた。


このページのトップヘ
BACK NUMBER

第111回 ミカサ – わが国初の前輪駆動AT車

第110回 BMWアート・カー

第109回 AMC グレムリン(Gremlin)

第108回 1963年型ビュイック リビエラ(Riviera)

第107回 キャディラック エルドラドブローアム

第106回 日産自動車創立25周年記念冊子

第105回 Automobile Council 2021

第104回 ランチア デルタS4

第103回 アバルト(ABARTH)

第102回 日野コンテッサ

第101回 鉄道が趣味だった時代

第100回 コレクションの紹介

第99回 Supercar ランボルギーニ

第98回 チェッカー

第97回 Automobile Council 2020

第96回 スズキジムニー誕生50周年(第3世代)

第95回 スズキジムニー誕生50周年(第2世代)

第94回 スズキジムニー誕生50周年(第1世代)

第93回 アメリカでコレクターズアイテムとなるR32 GT-R?

第92回 戦後のアメリカンコンパクトカー(3)

第91回 戦後のアメリカンコンパクトカー(2)

第90回 東京オートサロン 2020

第89回 戦後のアメリカンコンパクトカー(1)

第88回 シトロエンのロータリーエンジン車

第87回 シトロエン トラクシオンアヴァン

第86回 シトロエン創立100周年記念イベント

第85回 「モーターファン」誌1952年1月号に載った広告

第84回 英国人のハートをつかんだフィガロ

第83回 サクラ・オートヒストリーフォーラム2019

第82回 ジャパン・クラシック・オートモービル 2019

第81回 Automobile Council 2019

第80回 MINIの60周年記念

第79回 日産自動車初の大型トラック&バス(80型/90型)

第78回 東京オートサロン 2019

第77回 新町暮らシックCarまちなか博物館

第76回 2018トヨタ博物館クラシックカー・フェスティバルin神宮外苑

第75回 三菱500

第74回 空飛ぶクルマ

第73回 Automobile Council 2018

第72回 戦後から1950年代初頭のジャガー

第71回 フォルクスワーゲンのアメリカ進出

第70回 ACC・JAPANの東京交歓会

第69回 1949年型アメリカ車 – フォード編

第68回 1949年型アメリカ車 –クライスラー編

第67回 サーブ 92

第66回 東京オートサロン2018

第65回 ボルボ・カー・ジャパン、1959年式PV544をトヨタ博物館へ寄贈

第64回 2017トヨタ博物館クラシックカー・フェスティバルin神宮外苑

番外編 2017トヨタ博物館クラシックカー・フェスティバルin神宮外苑

第63回 1948年型アメリカ車 – インデペンデント編

第62回 1948年型アメリカ車 – ビッグ3編

第61回 Automobile Council 2017

第60回 1947年型アメリカ車 – インデペンデント編

第59回 1947年型アメリカ車 - ビッグ3編

第58回 戦時下に発行されたアメリカ車メーカーのポスター

第57回 AC & Shelby AC Cobra - 2

第56回 AC & Shelby AC Cobra - 1

第55回 ナッシュヒーレー&ハドソンイタリア

第54回 東京オートサロン2017

第53回 リンカーン コンチネンタル

第52回 2016トヨタ博物館 クラシックカー・フェスティバル in 神宮外苑

第51回 クライスラー300 レターシリーズ – その2

第50回 Automobile Council 2016 – そのⅡ

第49回 Automobile Council 2016

第48回 クライスラー300 レターシリーズ – Ⅰ

第47回 フォードランチェロ

第46回 1954年カイザー・ダーリン161

第45回 1950年代ポンティアックのドリームカー

第44回 1950年代オールズモビルのドリームカー

第43回 1950年代ビュイックのドリームカー

第42回 1950年代キャディラックのドリームカー

第41回 クラシックカー・フェスティバル

第40回 アメリカの初期SUV/MPV

第39回 メトロポリタン

第38回 フォード サンダーバード

第37回 シボレーコルベット(第1世代 – 2/2)

第36回 シボレーコルベット(第1世代 – 1/2)

第35回 1950年代のアメリカンドリームカー(4)

第34回 1950年代のアメリカンドリームカー(3)

第33回 1950年代のアメリカンドリームカー(2)

第32回 1950年代のアメリカンドリームカー(1)

第31回 1940年代のアメリカンドリームカー

第30回 戦後のアメリカ車 - 11 :1940年代の新型車(フォード)

第29回 戦後のアメリカ車 - 10 :1940年代の新型車(GM)

第28回 戦後のアメリカ車 - 9 :1940年代の新型車(パッカード)

第27回 戦後のアメリカ車 - 8 :1940年代の新型車(タッカー)

第26回 戦後のアメリカ車 - 7 :1940年代の新型車(ナッシュ)

第25回 戦後のアメリカ車 - 7 :1940年代の新型車(ハドソン)

第24回 戦後のアメリカ車 - 6 :1940年代の新型車(クライスラー・タウン&カントリー)

第23回 戦後のアメリカ車 - 5 :1940年代の新型車(クロスレイ)

第22回 戦後のアメリカ車 - 4 :1940年代の新型車(カイザー/フレーザー)

第21回 戦後のアメリカ車 - 3 :1940年代の新型車(スチュードベーカー)

第20回 戦後のアメリカ車 - 2 :1940年代の新型車(ウイリス/ジープ)

第19回 戦後のアメリカ車 - 1 :1946年型の登場(乗用車の生産再開)

第18回 アメリカ車 :序章(6)1929~1937年コード・フロントドライブ

第17回 アメリカ車 :序章(5)1934~37年クライスラー・エアフロー

第16回 アメリカ車:序章(4)1924~1929年

第15回 アメリカ車 :序章(3)1917~1923年

第14回 アメリカ車 :序章(2)フォード モデルT(1908年~1927年)

第13回 アメリカ車 :序章(1) 登場~1919年

第12回 AF+VKの世界:1959~1971年型ポンティアックのカタログ

第11回 コペンの屋根:リトラクタブルハードトップ

第10回 スクリーンで演技するクルマたち

第9回 シトロエンDSのこと

第8回 よみがえった『力道山のロールスロイス』

第7回 メルセデス・ベンツ300SL - SLクラスの60周年を祝して

第6回 近代的国産乗用車のタネ:外車のKD生産(その2)

第5回 近代的国産乗用車のタネ:外車のKD生産(その1)

第4回 短命だった1942年型アメリカ車のカタログ

第3回 「ラビット」から「スバル」へ - スバル最初の軽乗用車と小型乗用車

第2回 「キ77」と電気自動車「たま」。そして「日産リーフ」

第1回 自動車カタログ収集ことはじめ

執筆者プロフィール

1937年(昭和12年)東京生まれ。1956年に富士精密機械工業入社、開発業務に従事。1967年、合併した日産自動車の実験部に移籍。1970年にATテストでデトロイト~西海岸をクルマで1往復約1万キロを走破し、往路はシカゴ~サンタモニカまで当時は現役だった「ルート66」3800㎞を走破。1972年に海外サービス部に移り、海外代理店のマネージメント指導やノックダウン車両のチューニングに携わる。1986年~97年の間、カルソニック(現カルソニック・カンセイ)の海外事業部に移籍、うち3年間シンガポールに駐在。現在はRJC(日本自動車研究者ジャーナリスト会議)および米国SAH(The Society of Automotive Historians, Inc.)のメンバー。1954年から世界の自動車カタログの蒐集を始め、日本屈指のコレクターとして名を馳せる。著書に『プリンス 日本の自動車史に偉大な足跡を残したメーカー』『三菱自動車 航空技術者たちが基礎を築いたメーカー』『ロータリーエンジン車 マツダを中心としたロータリーエンジン搭載モデルの系譜』(いずれも三樹書房)。そのほか、「モーターファン別冊すべてシリーズ」(三栄書房)などに多数寄稿。

関連書籍
ロータリーエンジン車 マツダを中心としたロータリーエンジン搭載モデルの系譜
三菱自動車 航空技術者たちが基礎を築いたメーカー
トップページヘ