三樹書房
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第47回 C項-15 クライスラー/インペリアル(2)
2016.10.27

(00) 04-08-14P_067b 1956 Chrysler 300B Sports Coupe.JPG


(写真55-0ab) 1955~63 Chrysler 300 Letter Series
(55-0a (02-22-31bcc)クライスラー300シリーズ.jpg (55-0b (02-22-31bcc)クライスラー300シリーズ.jpg
・1953年にはシボレーから「コルベット」、1954年秋にはフォードから「サンダーバード」が発売されたが、クライスラーにはこれに対抗するモデルが無かった。そこで急遽作り出されたスペシャリティカーが「300シリーズ」で、実はこの正体は「ニューヨーカ」のボディ、「インペリアル」のグリル、「ウインザー」のバンパーとサイドモールを寄せ集め、それにクライスラー自慢のヘミ・エンジン(V8、5424cc 300ps)を組み合わせたマッスル・カーだ。寄せ集めとはいえ、なかなか魅力的で、このあと毎年シリーズは更新され1955年の300から始まって1965年の300Lまで11年続いた。300の後にアルファベットの付くモデルは「レター・シリーズ」と呼ばれたが、1966年以降も只の「300」シリーズとして1971年まで存在した。

・1949年になると「ビッグ3」各社は揃って純戦後モデルを発表した。フォードはフェンダーの無い「フラッシュサイド」という斬新なデザインで、シボレーはフリートラインと呼ばれるモダンな「ファストバック」で、それぞれ新時代への大きな変化を見せた。しかしクライスラー系はこれといった特徴のない平凡な「ノッチバック」だった。クライスラーは1934年先進的な「エアフロー」を他社に先駆けて発売して失敗した苦い経験があるので、大きな変化に対しては臆病だったのかもしれない。地味であまり魅力的でないデザインはこのあと54年まで続くが、デザイナーが「ヴァージル・エクスナー」に変わった1955年以降は個性的で見違えるように魅力的な車となった。
・そのヴァージル・エクスナーは低迷する「垢抜けない」クライスラーに新風を吹き込むため1949年にはスカウトされているから、首脳陣も自分たちの車が時代遅れだと認識し、「売れる車」を作るための努力は始めている。アッ!と目を見張らせるエクスナーの最初の作品は1951年の試作ドリームカー「K-310」だった。いたずらに造形の為のデザインを優先するショーモデルと違って、バランスよく引き締まったクーペで、このまま市販してもおかしく無いくるまだった。翌52年にはこの「K-310」をオープンにしたような「C-200」も造られたがいずれもコスト高がネックとなり市販には至らなかった。

(写真55-1a~h) 1955 Chrysler Special by Ghia (2004-08 クリスティーズ・テント前)
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(55-1g 04-08-13P_239 1955 Chrysler Thomas Special by Ghia - コピー.JPG

................(55-1h 04-08-13P_236 1955 Chrysler Thomas Special by Ghia Predident of the Export DivisionのC.B.jpg
同じ1952年のパリ・サロンに展示されたのが「クライスラー・スペシャル」と名付けられたスポーツ・クーペで、フェンダーの先端に縦のバンパーを配するなど、各所にショーカー的なアイデアも見られた。この車のコンセプトを生かして造られたのが「クライスラー・スペシャル・モディファイドバージョン」通称「トーマス・スペシャル」で何台かが市販されたらしいので、写真の車がその1台かと思っていたが、ファストバックでドアの把手もボタン式などオリジナルの特徴を備えている。しかし展示されていたデータによれば製造年は1955年となっており、リアトランクのフィラーキャップも中央から右側に変わっているので、ショーに展示されたオリジナルではなく、後年「ギア」で造られたものと思われる。

(写真54-4abc) 1954 Chrysler GS-1 Ghia Coupe    (1995-08 ペブルビーチ/カリフォルニア)
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54-3c (95-21-10) 1954 Chrysler Ghia Coupe.jpg
一連のショーモデルの流れを汲んで1953年秋のパリ・サロンに登場したのが写真の「クライスラーGS-1」で、ショーモデルというよりは実用本位な市販車と見える外観だった。結果的にカタログモデルとはならなかったが、「ギア」社で約400台造られ、フランスのクライスラー・デーラーによってヨーロッパで販売された。写真の車はショーで発表された車と同じグリルを持って居るが、グリルのパターンには幾つかのバリエーションがあった。

(写真55-2ab)1955 Chrysler Windsor Deluxe 4dr Sedan    (1959年 銀座・並木通り)
55-2a (031-14) 1955 Chrysler Windsor Deluxe.jpg

.................55-2b (32-20)b 1955 Chrysler Windsor Deluxe.jpg
この年からは、これまでの個性の薄かったグリルから、個性的な力強いグリルに変わった。シリーズは「ウインザー」「ニューヨーカー」と新しくスペシャリティーカーとして「300シリーズ」が加わった。場所は銀座6丁目の並木通りで、交差する交詢社通りの向こうに見える北海道新聞社は7丁目になる。並木通りの奥の右側には資生堂が見える。

(写真55-3a) 1955 Chrysler New Yorker 4dr Sedan  (1959年 羽田空港駐車場)
.................55-3a (010-03 1955 Chrysler NewYorker 4dr Sedan.JPG
シリーズによってグリルに変化が付けられているので2つ続けた。グリルの上半分は同じでクライスラーとしての共通イメージを持ち、下半分に違いを付けてグレードの差を見せている。

<インペリアル> 
(写真55-4ab) 1955 Imperial 4dr sedan (1962-04 向ヶ丘遊園・小田急)
55-4a (092-76E) 1955 Imperial 4dr Sedan.jpg

55-4b (094-02) 1955 Imperial 4dr Sedan.jpg
去年までクライスラーのシリーズの一つだった「インペリアル」は、今年からは「クライスラー」や「デソート」「ダッジ」「プリマス」の上に存在する「クライスラー社」最上位の「車名」となった。グリルはクライスラーと同じデザインを太めにしてより力強さを強調した印象を与えている。場所は小田急電鉄向ヶ丘遊園で2002年に遊園地は閉園してしまったが現在も駅名として残っている。四季折々の植物が有名で桜の名所でもあった。この時は「防衛博覧会」が開かれていたが、人混みをよく見るとお婆さんや若いご婦人なども混じっており桜見物の群集のようだ。

(写真56-1a)1956 Chrysler Windsor 4dr Sedan (1959-04 東京駅前)
56-1a 012-21bc* 1956 Chrysler Windsor.JPG
この写真の場所が判りますか? 今から50年以上前の東京駅八重洲口の正面で、高層ビルは一つもなく皆な2階建だ。八重洲ピアノの文字が見え八重洲口であることを証明している。右端に「日の丸」と「慶」が見える。このあとに「祝皇太子ご成婚」と続く。この日は皇太子殿下と美智子さまのご成婚の日だった。

(写真56-1b)1956 Chrysler Windsor 4dr Sedan (1958年 静岡市内)
56-1b (020-12)b 1956 Chrysler Windsor.jpg


(写真56-2a)1956 Chrysler New Yorker 4dr Sedan (1961-03 横浜港・大桟橋)
56-2a (055-21) 1956 Chrysler NewYorker 4dr Sedan.jpg
(写真56-2b) 1956 Chrysler New Yorker 4dr Sedan    (1961-11 羽田空港)
56-2b (078-30) 1956 Chrysler NewYorker 4dr Sedan.jpg
この年の「ウインザー」のグリルは水平3本のシンプルなものだったが、写真の上級車種「ニューヨーカー」は、ご覧のように一寸手の込んだ細かい柄となっている。この年からテールフィンが出現したが、クライスラー系の特徴は単純で大きな「テールフィン」にあり、他社が色々デザインに工夫を凝らした時でも、一貫してストレートで飾り気無しのまま1961年まで押し通した。

(写真56-3abc) 1956 Chrysler 300B Sports Coupe (2004-08 ラグナセカ/カリフォルニア)
56-3a 04-08-14P_066b 1956 Chrysler 300B Sports Coupe.JPG

56-3b (04-59-02)b 1956 Chrysler 300B Sports Coupe.jpg

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「300」シリーズは1955年からスタートした。2年目の1956年は「300B」となり、この後C,D,Eと続くが最初の年に「A」は付かない。55年と56年では外見上殆ど違いが無いが写真の車はボンネット正面のバッジから「300B」と判る。次項の「インペリアル」と見較べれば「グリル」はそっくり頂いたのは明白だ。

(写真56-4a-d)1956 Imperial 4dr Sedan    (1962-04 東京駅・八重洲口駅前)
56-4a (102-14) 1956 Imperial 4de. Sedan.jpg

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56-4d (102-16) 1956 Imperial 4dr. Sedan.jpg
こちらが"本家"の「インペリアル」で、グリルに関しては「300B」と寸分変わらない。場所はここも東京駅八重洲口の駅前駐車場で、道の向こう側には「八重洲口会館新築工事」とあり駅前も再開発が始まっている事が判る。しかし現在は同じ「八重洲口会館」でもモダンなビルに変わっており、この時建てたビルはその後壊されたようだ。右側の古い建物は「グンヂルビ町槇」(右から読んでください)と書かれており多分昭和初期に建てられたものと思われるが、現在はこれも超モダンな「新槇町ビル」となっている。

(写真56-5ab)1956 Imperial 4dr Sedan    (1959年 銀座・並木通り)
56-5a (031-11) 1956 Imperial 4dr. Sedan.JPG

56-5b (031-12)b 1956 Imperial 4dr. Sedan.jpg
車は前項と同じ「インペリアル」だが、背景に50年以上前の銀座周辺が写り込んでいるので取り上げた。今はブランド店が軒を並べている並木通りだが、なんと店舗ではない建物も有り、歩道にはキャバレーのプラカードを持って歩く女性の姿も見られる。

(写真56-6a) 1956 Imperial 4dr Sedan (1962-02 桜田通り・三田二丁目)
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この写真も背景が面白いので取り上げた。場所は「桜田通り」としたが、都電「三田2丁目」の交差点はT字路で、写真右手の東京タワー方面から来る桜田通りはここで右へ曲がり、300メートル先の慶応大学正門前で左折して五反田方面へ向かう。だから、車のいる所は「三田の電車通り」ではあるが、厳密には「桜田通り」には掛かっていないという事だ。高台の建物は慶応大学の校舎。

(写真57-1abc)1957 Chrysler Saratoga 4dr Sedan (1958年 静岡市紺屋町・日本相互銀行横)
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57-1b (007-36E)b 1957 Chrysler Saratoga 4dr.Sedan.jpg

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この年は「ウインザー」と「ニューヨーカー」の間に、しばらく消えていた「サラトガ」シリーズが復活した。ヘッドライトは流行のデュアル・ランプ(四つ目)となった最初の年だが、初期のモデルには二つ目もあった。前年からテールフィンがデザイン上の大きな要素として注目され始め、クライスラーはシンプルだがはっきりと認識できる大型のテールフィンに進化させた。

(写真58-1ab)1958 Chrysler Windsor Dartline 4dr Sedan (1961-11 横浜駅前
58-1a (07837E)023b 1958 Chrysler Windsor Dartline 4dr Sedan.jpg)

58-1b (077-05)b 1958 Chrysler Windsor 4dr Sedan.jpg
口角が上がって笑ったようなグリルは去年と共通のモチーフだが、上縁が眉毛の様に上がったところから印象はすっかり変わった。テールフィンは前ドアの終わった所から始まっているから殆ど車体の半分の長さが後ろにすっきりと伸びており、4ドアの場合は後ろの窓に少し掛かっているように見える。

(写真59-1abc) 1959 Chrysler Windsor 4dr Sedan (1959年 虎の門・商船三井ビル付近)
59-1a (38-15)b1959 Chrysler Windser 4dr.Sedan.jpg

59-1b (037-30)b 1959 Chrysler Windsor 4dr Sedan.jpg

59-1c (038-14)b 1959 Chrysler Windsor 4dr Sedan.jpg
グリルのパターンは去年と同じだが、周りを囲んでいたクロームの囲いが無くなった分
独立した「グリル」感は無くなったようだ。サイドのモールディングは途中から下に曲がっているがデザインとしては何を狙ったのか、あまり感心したライン取りとは思えないが。

(写真59-2abc)1959 Chrysler New Yorker 4dr Sedan (1959年 丸の内・農林中金前)
59-2a (031-22) 1959 Chrysler NewYorker 4dr. Sedan.jpg

59-2b (031-21)b 1959 Chrysler NewYorker 4d.Sedanr 農林中央金庫.jpg

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上級シリーズの「ニューヨーカー」は流石に横から見ても見事なプロポーションで、前項の「ウインザー」に較べるとモールディングも見事で、反りあがるテールフィンとのバランスを考えて下に広がっているのも心憎い配慮だ。場所はJR有楽町駅から「そごう百貨店」(現ヨドバシカメラ)前を外堀方面に向かった先にある「農林中央金庫」前。


(写真58-2a)1958 Chrysler 300D 2dr Hardtop Coupe (1961-10ニューエンパイア・モータース/虎の門)
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59-3b 58-2b (073-31)b 1957 Chrysler 300C 2dr.Hardtop.jpg
前項は1959年だったが1年前に戻って1958年型が登場する。その理由は「300」シリーズのこのグリルが大きな影響を与え、このあとクライスラー全般に採用され次々と登場するからだ。このブルドッグのような獰猛な顔つきは1957年300Cから1960年300Fまで
4 年間続き、翌年からは上下が逆になった上が広くしたが狭い形に変わる。

(写真60-1a)1960 Chrysler New Yorker 4dr Sedan (1961-03 横浜港・大桟橋)
60-1a (055-20) 1960 Chrysler NewYorker 4de Sedan.jpg
このグリルを付けて登場したのは1960年型の「ニューヨーカー」だ。「300」シリーズのぐっと口を結んだ怖い顔に較べると、やや感じが優しいのはグリルとバンパーの中央が一寸下がって口角が少し上がっているからだろう。

(写真60-2ab)1960 Chrysler Windsor 4dr Sedan (1960-10 虎の門・商船三井ビル付近)
60-2a (052-15) 1960 Chrysler Windsor 4dr Sedan.jpg

60-2b (052-18) 1960 Chrysler Windsor 4dr Sedan.jpg
同じデザインのグリルだが「ウインザー」は縁取りが細くて薄く奥行きがないので網目が奥に引っ込んでいない。この年のテールフィンはまた大きくなって、ついに前の扉まで進出している。

(写真61-1ab) 1961 Chrysler 300G Convertible (2008-01 シンスハイム博物館/ドイツ)
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61-1b 08-01-14_1564 1961 Chrysler 300G Convertible.JPG
「300」シリーズは1961年の「G」シリーズからかグリルの上下をひっくり返し、他のクライスラーもこれに倣った。このスタイルは「300K」まで4年間続いた。(300シリーズ名の「I 」は使用せず)

(写真61-2ab)1961 Chrysler Windsor 4dr Sedan (1961-02 ニューエンパイア・モータース/虎の門)
61-2a (057-30) 1961 Chrysler Windsor 4dr  Sedan.jpg

61-2b (057-31) 1961 Chrysler Windsor 4dr Sedan.jpg
1961年からクライスラーはグリルの外枠を上下逆転させた下すぼまりに変わった。それに合わせてヘッドライトが斜めの四ツ目に変わった。このパターンは東洋人の顔に見えるらしく、アメリカでは「チャイニーズ・アイ」と呼ばれる。

(写真61-3a) 1961 Chrysler New Yorker 4dr Sedan (1961-03 有楽町 帝国ほてる付近)
61-3a (056-06) 1961 Chrysler NewYorker 4dr Sedan.jpg
「ウインザー」では細い横バーだけだったグリルは、「ニューヨーカー」では7本の縦バーが入って重厚さを増した。後ろに見えるガードは山手線で、車は「帝国ホテル」の横に停まっている。道の反対側は「みゆき座」で、現在は東京宝塚劇場となっている。

(写真62-1ab) 1962 Chrysler New Yorker 4dr Sedan (1961-11 タカラ・ショールーム/青山通り
62-1a (077-28)b 1962 Chrysler NewYorker 4dr Sedan.jpg)

62-1b (077-26)b 1962 Chrysler NewYorker 4dr Sedan.jpg
1962年の「ニューヨーカー」のグリルは、去年の「300G」をそっくりそのまま移し替えたもので、中央の丸いバッジの中に「300G」と入っていないだけだから少し離れて正面から見たら区別がつかない。クライスラーではこの年から「テールフィン」についてすっかり興味を失ったようで全く影をひそめた。場所は青山通りを赤坂見附から7~800メートル渋谷に向かった左側にある理容椅子の最大手「タカラ・ショールーム」前。車はどこかの国の大使の公用車のようだが、大使が床屋の椅子を品定めに来るのも公用で大丈夫?

(写真63-1a)1963 Chrysler New Yorker 4dr Sedan     (1964-10 虎の門付近)
63-1a (154-37E) 1963 Chrysler NewYorker 4dr Sedan.jpg
同じモチーフながら上縁が水平となったので口角の上がった印象に変わり、ヘッドライトも水平になったので全体に「奇異」な感じは薄れた。この車のナンバープレートは「714 Fleet USN」と読めるのでアメリカ海軍関連の車のようだ。

(写真64-1ab)1964 Chrysler New Yorker 4dr Sedan (1965-11 東京オートショー/晴海)
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64-1b (126-15)b 1964 Chrysler NewYorker 4dr Sedan.jpg
この年もグリルの模様替えによるフェイスリフトに留まった。

(写真66-1abc)1966 Chrysler 300 2dr hardtop (2002-02 パリ・レトロモビル)
66-1a (02-22-26) 1966 Chrysler 300 2dr.Hardtop Coupe.jpg

66-1b (02-22-27) 1966 Chrysler 300 2dr. Haedtop coupe.jpg

66-1c (02-22-29) 1966 Chrysler 300 2dr. Hardtop Coupe.jpg
この車が一時期クライスラーをリードしてきた「300レターシ・リーズ」の最後となる「L」シリーズだ。といっても、今までの強い個性を持った歴代の「300」たちに較べるとインパクトが少ないのは薄く平べったい時代の流行に沿ったものだろう。


(写真67-1a)1967 Chrysler Newport Custom 4dr Sed (1966-11 東京オートショー/晴海)
67-1a (171-25) 1967 Chrysler Newport Custom 4dr Sedan.jpg
カメラの所為でグリルが平面的に見えるが、左右と中央が突き出しているのは前年の「300」と同じだ。クライスラーの中では一番安い「ニューポート」でも514万円の値段が付いている。

(写真68-1ab)1968 Chrysler Newport Custom 4dr Hardtop (1961-11 東京オートショー/晴海)
68-1a 229-09b 1968 Chrysler Newport Custom 4dr Hardtop.jpg

68-1b 229-10b 1968 Chrysler Newport Custom 4dr Hardtop.jpg
「300 」以外の「ニューポート」と「ニューヨーカー」のグリルは、外枠が直線の四角形で囲まれ、その中に去年までの左右と中央が突き出したパターンが収まっている。1970 年代中頃の「トヨタ マークⅡ」でもこんな感じの車があったが、ボンネットに凹凸があるものより僕は好きだ。

(写真68-2abc) 1968 Chrysler 300 Convertible   (2008-01 ジンスハイム博物館/ドイツ)
68-2a 08-01-14_1567 1968 Chrysler 300 Convertible.JPG

68-2b 08-01-14_1568 1968 Chrysler 300 Convertible.JPG

68-2c 08-01-14_1570 1968 CVhrysler 300 Convertible.JPG
末尾にアルファベットが付く「レターシ・リーズ」が終了した後も、「300」シリーズは1967年から71年まで5年間も車名として存在した。両ウイングと中央が突き出したフロントのデザインは他のクライスラーとは全く異なる。


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<インペリアル>
1955年「インペリアル」の名は「シリーズ名」から「車名」に格上げされた。55、56年は「クライスラー」と共通ボディだったのでそちらに並べて紹介したが、1957年以降は完全に独自のスタイルとなったので別項とした。

(写真57-2abc)1957 Imperial LeBaron 4dr Sedan (1959年 静岡市紺屋町)
...............57-2a 012-19* 1957 Imperial Le Baron 4dr. Saloon.JPG

57-2b (020-32) 1957 Imperial Le Baron 4dr Saloon.jpg

...............57-2c 012-20b*1957 Imperial Le Baron 4dr Saloon.jpg
高級感を強調するため、細かい飾り物を多用している。このインペリアルにはデザイナーのヴァージル・エクスナーが1951年クライスラーで最初に発表したショーカー「K-310」のアイデアを取り入れており、それは丸いテールランプとトランクリッドにスペアタイヤを背負っている姿に見られる。場所は静岡時代の僕の勤務先の横で、小路を入った隣はキャバレーだった。

(写真58-3abc) 1958 Imperial Crown Southampton 4dr Hardtop (1962-04 都電・慶応義塾前/桜田通り)
58-3a (091-04)b 1958 Imperial crown 4dr.Sedan.jpg

58-3b (091-03)1958 Imperial Crown 4dr. Sedan.jpg

(参考) 2010-04 慶応義塾大学新設東館(東門)
58-3c 10-04-30_206 桜田通りに面した新設東館(東門).jpg
通常の4ドアセダンはプレーンバックだが、写真のハードトップはCピラーがタルガトップ風に独立したノッチバックで、「サザンプトン」と呼ばれる。場所は三田の都電停留所「慶応義塾前」で、ここを奥に進むと慶応の図書館下になる。この昭和の雰囲気たっぷりの町並みは今では見違えるように近代化してしまった。

(写真59-3abc)1959 Imperial LeBaron 4dr Sedan       (1959年 羽田空港)
59-3a  1959 Imperial LeBaron(ウルグァイ大使館).jpg

59-3b  1959 Imperial LeBaron 4dr Sedan.jpg

59-3c  1959 Imperial LeBaron 4dr. Sedan.jpg
成田空港が出来るまでの東京の国際空港は羽田だった。そして昭和30年代中頃の庶民にとって海外旅行などは「夢の又夢」という時代だった。だから、羽田空港を利用する人はそれなりの人に限られ、それなりの車に乗って来る筈だ、という目論見で何回か羽田には足を運んだ。大使館関連の「青ナンバー」が多く見られるのはそんな時代背景から当然だが、中でも外を○で囲んだ大使の公用車にも沢山出会った。写真の車もその1台で国旗から南米の「ウルグアイ」大使の車と判定した。この車のナンバーは「2630」だが、大使の公用車については必ず末尾に「0 」が割り当てられている。

(写真60-3ab)1960 Imperial LeBaron 4dr Sedan (1961年 横浜市内)
60-3a (062-05b) 1960 Imperial LeBaron 4dr. Sedan.jpg

60-3b (062-04) 1960 Imperial LeBaron 4dr Sedan.jpg
この年の「インペリアル」のデザインには斬新さが見られない。顔つきは1957年の「クライスラー」、魚の尻尾のようなテールフィンは1957-58年の「プリムス」とよく似ている。

(写真61-4abc) 1961 Imperial Crown 2dr Convertible (2008-01 ジンスハイム博物館/ドイツ)
61-4a 08-01-14_1557 1961 Imperial Crown 2dr Convertible.JPG

61-4b 08-01-14_1556 1961 Imperial Crown 2dr Convertible.JPG

61-4c 08-01-14_1559 1961 Imperial Crown 2dr Convertible.JPG
この年からはこのあと3年続く、グリルが中央に寄って、ヘッドライトが剥き出しになった独特の個性的な顔となった。シンプルだが高級車としての品位があり好ましいデザインと思う。

(写真62-3ab)1962 Imperial LeBaron 4dr Sedan      (1962-01 千駄ヶ谷駅前)
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62-3b (083-11) 1962 Imperial LeBaron 4dr. Sedan.jpg
前の年のグリルの中央に縦のラインを入れ変化を付けたが、オリジナ良さが消えてしまったように思う。写真の場所はJR中央線「千駄ヶ谷」駅前で、第3回東京オートショーの為のパレード中を捉えたものだが、撮影日と年式が同じという事は発表されたばかりのニューモデルという事だ。

(写真63-2ab)1963 Imperial LeBaron 4dr Sedan (1965-09 大英博覧会/晴海)
63-2a (121-01) 1963 Imperial LeBaron 4dr. Sedan.jpg

63-2b (121-02) 1963 Imperial LeBaron 4dr. Sedan.jpg
やっぱり元に戻したか、と納得したが、グリルパターンはいろいろ細工した後よりは最初のオリジナルが一番という事はデザインの鉄則のようで、今まで何度も経験した事だ。

(写真64-2ab) 1964 Imperial LeBaron 4dr Hardtop (1963-11 東京オートショー/晴海)
64-2a (109-15) 1964 Imperial LeBaron 4dr Hardtop.jpg

64-2b (109-20) 1964 Imperial LeBaron 4dr Hardtop.jpg
去年元に戻したかと思ったら、グリルは又々2分割に変わった。左右のフンダーの先端がフィン状に突き出しているのは「クライスラー」系では初めてだが「リンカーン・コンチネンタル」では、数年前から採用されていたスタイルだ。後姿にはコンチネンタル・タイヤと呼ばれるダミーの膨らみがあり、かつてのシンボルが復活した。

(写真67-2ab)1967 Imperial Lebaron 4dr Hardtop (1966-11 東京オートショー/晴海)
67-2a (172-07) 1967 Imperial Le Baron 4dr Hardtop.jpg

67-2b (174-30) 1967 Imperial LeBaron 4dr Hardtop.jpg
この年のフロントデザインには特徴が無く平凡だ。後姿にはタイヤの膨らみは見られないが去年と同じ「シンボルマーク」で「インペリアル」である事をアピールしている。

(写真68-3ab)1968 Imperial LeBaron 4dr Hardtop    (1967-11 東京オートショー/晴海)
68-3a (196-02b) 1968 Imperial LeBaron.jpg

68-3b (193-37) 1968 Imper LeBaron 4dr Hardtop.jpg
この年はフロントとリアにそれぞれ「シンボルマーク」を取り入れた。

(写真70-1a)1970 Imperial LeBaron 4dr Hardtop    (1969-11 東京オートショー/晴海)
70-1a (223-34)b 1970 Imperial LeBaron 4dr Hardtop.jpg
この年はついにヘッドライトが見えなくなった。この車の場合はグリルの裏側に収納されるタイプで、同じ仕組みは1967,68年のキャディラック・エルドラドにも採用されている。流行とは言っても前から見て「インペリアル」らしさは何処にも無い。

(写真75-1a)1975 Imperial LeBaron 4dr Hardtop   (1977-01 外車ショー中古車館/晴海)
75-1a 287-28b 1975 Imperial LeBsron 4dr Hardtop.jpg
前の年から「インペリアル」はこんな姿になってしまった。なんか全体のスタイリングに一貫性がなく、思い付きでコロコロ全く別物になってしまうのは何故だろう。この感じは横長のグリルが全盛だった1968年から、リンカーン・コンチネンタルが続けてきたスタイルだ。


     ― 次回から「D項」に入る予定です ―

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第107回 L項-8 「ロータス・1」(マーク1からタイプ14エリートと23エラン迄)

第106回 L項-7 「リンカーン・2」(米)

第105回 L項-6 「リンカーン・1」

第104回 L項-5 「ランチャ・2」

第103回 L項-4 「ランチャ・1」

第102回 L項-3 「ランボルギーニ」

第101回 L項-2 「ランチェスター」「ラサール」「リー・フランシス」「レオン・ボレー」「ラ・セード」「ロイト」「ロコモービル」「ローラ」「ロレーヌ・デートリッヒ」

第100回 L項-1  「ラゴンダ」

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第98回 J項-5 「ジープ」「ジェンセン」「ジョウエット」「ジュリアン」

第97回 J項-4 「ジャガー・4」(大型サルーン、中型サルーン)

第96回 J項-3 「ジャガー・3」 (E-type、レーシング・モデル)

第95回 J項-2 「ジャガ-・2」(XK120、XK140、XK150、C-type、D-type、XKSS)

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第93回 I項-2 「イターラ」「イソ」「いすゞ」

第92回 I項-1 「インペリアル、イノチェンティ、インターメカニカ、インビクタ、イソッタ・フラスキーニ」

第91回 H項-8 「ホンダ・5(F1への挑戦)」

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第85回 H項-2 日野自動車、イスパノ・スイザ

第84回 H項-1 「ハノマク」「ヒーレー」「ハインケル」「ヘンリーJ」「ヒルマン」

第83回 G項-2 「ゴールデン・アロー」「ゴリアト」「ゴルディーニ」「ゴードン・キーブル」「ゴッツイー」「グラハム」

第82回 G項-1 「GAZ」「ジャンニーニ」「ジルコ」「ジネッタ」「グラース」「GMC」「G.N.」

第81回 F項-25 Ferrari・12

第80回 F項-24 Ferrari・11 <340、342、375、290、246>

第79回  F項-23 Ferrari ・10<365/375/410/400SA/500SF>

第78回 F項-22 Ferrari・9 275/330シリーズ

第77回 F項-21 Ferrari・8<ミッドシップ・エンジン>

第76回 F項-20 Ferrari・7 <テスタ ロッサ>(500TR/335スポルト/250TR)

第75回 F項-19 Ferrari ・6<250GTカブリオレ/スパイダー/クーペ/ベルリネッタ>

第74回 F項-18 Ferrari・5<GTシリーズSWB,GTO>

第73回  F項-17 Ferrari・4

第72回 F項-16 Ferrari・3

第71回 F項-15 Ferrari・2

第70回 F項-14 Ferrari・1

第69回 F項-13 Fiat・6

第68回 F項-12 Fiat・5

第67回 F項-11 Fiat・4

第66回 F項-10 Fiat・3

第65回 F項-9 Fiat・2

第64回 F項-8 Fiat・1

第63回 F項-7 フォード・4(1946~63年)

第62回 F項-6 フォード・3

第61回 F項-5 フォード・2(A型・B型)

第60回 F項-4 フォード・1

第59回 F項-3(英国フォード)
モデルY、アングリア、エスコート、プリフェクト、
コルチナ、パイロット、コンサル、ゼファー、ゾディアック、
コンサル・クラシック、コルセア、コンサル・カプリ、

第58回  F項-2 フランクリン(米)、フレーザー(米)、フレーザー・ナッシュ(英)、フォード(仏)、フォード(独)

第57回 F項-1 ファセル(仏)、ファーガソン(英)、フライング・フェザー(日)、フジキャビン(日)、F/FⅡ(日)

第56回 E項-1 エドセル、エドワード、E.R.A、エルミニ、エセックス、エヴァ、エクスキャリバー

第55回  D項-8 デューセンバーグ・2

第54回 D項-7 デューセンバーグ・1

第53回  D項-6 デソート/ダッジ

第52回 D項-5 デ・トマゾ

第51回 D項-4 デイムラー(英)

第50回 D項-3 ダイムラー(ドイツ)

第49回  D項-2 DeDion-Bouton~Du Pont

第48回 D項-1 DAF~DeCoucy

第47回 C項-15 クライスラー/インペリアル(2)

第46回 C項-14 クライスラー/インペリアル

第45回 C項-13 「コルベット」

第44回 C項-12 「シボレー・2」(1950~) 

第43回 C項-11 「シボレー・1」(戦前~1940年代) 

第42回  C項-10 「コブラ」「コロンボ」「コメット」「コメート」「コンパウンド」「コンノート」「コンチネンタル」「クレイン・シンプレックス」「カニンガム」「カーチス]

第41回 C項-9 シトロエン(4) 2CVの後継車

第40回  C項-8シトロエン2CV

第39回  C項-7 シトロエン2 DS/ID SM 特殊車輛 トラック スポーツカー

第38回  C項-6 シトロエン 1 戦前/トラクションアバン (仏) 1919~

第37回 C項-5 「チシタリア」「クーパー」「コード」「クロスレー」

第36回 C項-4 カール・メッツ、ケーターハム他

第35回 C項-3 キャディラック(3)1958~69年 

第34回  C項-2 キャディラック(2)

第33回 C項-1 キャディラック(1)戦前

第32回  B項-13  ブガッティ(5)

第31回 B項-12 ブガッティ (4)

第30回  B項-11 ブガッティ(3) 

第29回 B項-10 ブガッティ(2) 速く走るために造られた車たち

第28回 B項-9 ブガッティ(1)

第27回 B項-8 ビュイック

第26回 B項-7  BMW(3) 戦後2  快進撃はじまる

第25回 B項-6 BMW(2) 戦後

第24回  B項-5   BMW(1) 戦前

第23回   B項-4(Bl~Bs)

第22回 B項-3 ベントレー(2)

第21回 B項-2 ベントレー(1)

第20回 B項-1 Baker Electric (米)

第19回  A項18 オースチン・ヒーレー(3)

第18回  A項・17 オースチン(2)

第17回 A項-16 オースチン(1)

第16回 戦後のアウトウニオン

第15回  アウディ・1

第14回 A項 <Ar-Av>

第13回  A項・12 アストンマーチン(3)

第12回 A項・11 アストンマーチン(2)

第11回  A項-10 アストン・マーチン(1)

第10回 A項・9 Al-As

第9回 アルファ・ロメオ モントリオール/ティーポ33

第8回 アルファ・ロメオとザガート

第7回 アルファ・ロメオ・4

第6回 アルファ・ロメオ・3

第5回 アルファ・ロメオ・2

第4回  A項・3 アルファ・ロメオ-1

第3回  A項・2(Ac-Al)

第2回  「A項・1 アバルト」(Ab-Ab)

第1回特別編 千葉市と千葉トヨペット主催:浅井貞彦写真展「60年代街角で見たクルマたち」開催によせて

執筆者プロフィール

1934年(昭和9年)静岡生まれ。1953年県立静岡高等学校卒業後、金融機関に勤務。中学2年生の時に写真に興味を持ち、自動車の写真を撮り始めて以来独学で研究を重ね、1952年ライカタイプの「キヤノンⅢ型」を手始めに、「コンタックスⅡa」、「アサヒペンタックスAP型」など機種は変わっても一眼レフを愛用し、自動車ひとすじに50年あまり撮影しつづけている。撮影技術だけでなく機材や暗室処理にも関心を持ち、1953年(昭和28年)1月には戦後初の国産カラーフィルム「さくら天然色フィルム」(リバーサル)による作品を残している。著書に約1万3000余コマのモノクロフィルムからまとめた『60年代 街角で見たクルマたち【ヨーロッパ編】』『同【アメリカ車編】』『同【日本車・珍車編】』『浅井貞彦写真集 ダットサン 歴代のモデルたちとその記録』(いずれも三樹書房)がある。

関連書籍
浅井貞彦写真集 ダットサン 歴代のモデルたちとその記録
60年代 街角で見たクルマたち【ヨーロッパ車編】
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