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2024年2月27日

第4回 「車評オンライン Ver.Ⅱ」
※2021年度から休止した小早川隆治氏による「車評オンライン」を引き継ぎ、 “車評チーム”のメンバーによる試乗・評価に切り替えることになり、2022年より「車評オンライン Ver.Ⅱ」と名称を変更してスタートしました。

ルノー ルーテシアE-TECHエンジニアード 試乗レポート
2024年1月31日(水)大磯プリンスホテルを拠点として今年も輸入自動車試乗会が催された。同日に多数の輸入車が試乗できる非常に貴重な試乗会であり、今回も車評メンバー5名によって多くの試乗を実施したので、ここではそのうち2台の試乗レポートをお届けしたい。試乗は早朝8時から午後4時ごろまで行なわれ、試乗コースは小早川隆治さんが設定したコースで一般道路と高速道路も含まれており、各車同じコースを走ることで極力公平な評価を心がけて実施している。(レポート:車評チーム 小林謙一)

【概要】
今回試乗したルノー ルーテシアE-TECHエンジニアードは、モーターとエンジンの効率の良い特性を使い分けて走りや燃費などを向上させるルーテシアのハイブリッドモデルである。このルーテシアE-TECHエンジニアードは、WLTCモードで25.2km/リッター、JC08モードでは31.8㎞/リッターという優れた燃費を誇り、独自のドッグクラッチATによってスムーズで鋭い加速を実現。パワーユニットは、最高出力91PS、最大トルク144Nmを発生する1.6リッターの直列4気筒のDOHC16バルブのエンジンに49PSと20PSのツインのモーターが組み合わされている。ハイブリッドであるが、デザインも全体にスポーティなスタイルで実用性も高いハッチバックモデル。

スポーティさを強調し、クラスを越えたプレミアムな質感を目指したというルーテシアのエクステリア

【評価手法】
■以下、試乗評価に関して説明します。以前から弊社が主体となって結成している「車評チーム」は、確認する項目を明示して、その評価を続けてきました。同時にそれぞれの項目に関しての短評を行ない、5点満点で評価として採点して、平均値を出すことでそのクルマの総合評価としています。評価する項目は16に及びますが、今回のような一般の試乗会では実用燃費が計測できないので、燃費評価を無くして以下の15項目で実施しています。
1.商品コンセプト 2.外観スタイル 3.内装デザイン 4.運転の楽しさ 5.性能&走り感 6.ステアリング/ハンドリング 7.ブレーキング 8.振動&騒音 9.乗り心地 10.室内居住性 11.前後座席 12.操作機器&メーター類 13.利便性/使い勝手 14.全体の品質感 15.お買い得感
車評オンライン Ver.Ⅱでは、各項目に1から10ポイントの点数をつけて、合計点の平均値を「総合評価点」のポイントとしています。
※尚、「車評チーム」による新型車の評価手法は、マツダRX-7の開発責任者や1991年にマツダチームがルマンで優勝した時にモータースポーツ主査を務めていた小早川隆治氏が設定された車評用「評価シート」をベースに採点しています。

評価者:車評チーム
車種: ルノー ルーテシアE-TECH エンジニアード
寸法:全長4075㎜ 全幅:1725㎜ 全高:1470㎜
車重:1310㎏
ミッション:ドッグクラッチAT(エンジン用4速+モーター用2速)
定員:5名
タイヤ:コンチネンタル「ECO」前後ともに205/45R17H
テスト:晴天(一時雨) 室内温度25℃設定
全走行距離:約35㎞
高速道路30% 一般道70%程度
平均燃費:—

1:商品コンセプト 9点
実用的な車として、ユーザーの立場に立って開発された印象が強い点を評価したい。農業国ともいえるフランスならではの実用性の高さが商品性を高めている。

2:外観スタイル 8点
ヘッドライト周りの独自のデザインを取り入れたエクステリアデザインは、新鮮なイメージを与えてくれる。全体に無駄を感じさせない合理的なデザインも魅力的。

3:内装デザイン 9点
フランス車らしいセンスの光るシンプルで好ましい印象。メーター部のデザインもきれい。

4:運転の楽しさ 8点
モーターによるアシストの関係で、1310㎏というこのクラスでは比較的軽量なボディを力強く引っ張る運転感覚は、走りを重視している人には楽しいだろう。

5:性能&走り感 8点
ハイブリッド車として、モーターによる発進時から力強い加速力を発揮する。高速道路などでの60㎞/hぐらいからの中間加速力も十分で、エンジンとモーターによる加速は、ほとんどの速度領域で優れたレベルといえる。

6:ステアリング&ハンドリング 8点
ステアリングは、切り始めから思った通りに向きを変えてくれる。直進性も良くしっかりした剛性感のあるステアリングの印象を受けた。

7:ブレーキング 8点
もともとルノーのブレーキは優れているが、このクルマもブレーキを踏んだ時にしっかりと反応するタイプである。踏力に合わせるようにしっかりと効くブレーキは安心感がある。
ひとつ伝えておかなければならないことは、充電のための”回生ブレーキ“の影響と思われる、ブレーキを緩めた後の嫌なフィーリングは気になった。

8:振動、騒音 4点
一般道のロードノイズは大きい。コンチネンタルタイヤはエコタイプであることも関係しているかもしれないが、タイヤから発生する走行音が主因のように感じる。ただ、高速道路の走行時では、室内に入ってくるロードノイズは小さくなる。

9:乗り心地 7点
高速道路の継ぎ目、一般道路での段差などでチェックしてみたが、全体的に突き上げ感は弱くて収まりも良く、乗員には優しい乗り心地といえる。

10:室内居住性 8点
2585mmというホイールベースも関係していると思われるが、前後およびヘッドクリアランスなどの空間もしっかり確保されている。

11:座席 9点
ショルダー部も十分でサイドサポートもしっかりした運転席および助手席は、バケット形状である。後席も十分にスポーティなデザインで、このクルマの魅力的な部分のひとつといえるだろう。

12:操作機器、メーター類 8点
中央に位置するスピードメーターは見やすくて機能的。情報を伝える面で大切なデジタル表示も見やすくて、ダイヤル式のコントローラーも使いやすかった。

13:利便性、使い勝手 9点
一般的な家族で使うには、最適な実用性と経済性を兼ね備えており、さらにスポーティな走りも実現できる利点もある。国産車では、このようなジャンルのクルマが少なくなってしまった今では、気になる存在といえるだろう。

14:実測燃費 短時間の試乗会のため計測できず

15:全体の品質感 8点
このクルマも例にもれずフランス車特有の品質感があり、各部にカーボン調の加飾がおしゃれな印象で、ステッチの入ったシートなども高い品質感を感じさせてくれる。

16:お買い得感 9点

デザインをはじめとして性能的にも実用性や経済性の面でも優れ、本体価格は3,790,000円という国産車とそん色ない価格も実現しており、欧州車に魅力を感じている人には所有する価値は十分にあるといえる。

総合評価点:8点
※車評評価チームでは、そのジャンルごとに採点し、総合評価点5点が標準的なレベルとしています

3大魅力点
1.欧州の輸入ハイブリッド車として魅力的な価格設定
2.未来を感じさせる新鮮なエクステリアデザインの導入
3.実用的で使い勝手の良い5ドアチバックのスタイリング

カーボン調パネルを採用したダッシュボードと専用のステアリングホイールやシートによってエクステリアと同様にスポーティなイメージとしたインテリア
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