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2023年12月26日

弊社では、2024年1月下旬に『富士重工業 技術人間史』(増補改訂版)を刊行いたします。
以下、弊社編集部より刊行の経緯をご紹介します。


■“幻の本”を読者に届けたい
本書は、当時の富士重工業株式会社が、社内記録と従業員教育などの目的のために非売品として製作した『富士重工技術人間史』が底本となっています。私がこの本に初めて出合ったのは、20年以上前の自動車技術会の蔵書棚でした。
読んでみると、技術者の生の声が収録されており、富士重工業の技術開発の足跡を知るには非常に魅力的な内容だと感じました。
しかし非売品ということで、一般の読者は読むことができず、何とか出版ができないかと思案していたところ、熱心なスバルファンの方々がこの“幻の本”を読みたいと願っていることを知り、当時の富士重工業の広報部に出版企画を打診しました。幸い、広報部のご理解をいただき、2005年に刊行することができ、おかげさまで初版は短期間で品切れとなりました。

■富士重工業からSUBARUへ
富士重工業は、1958年には当時の国産小型車にも遜色のない性能を誇る画期的な軽四輪乗用車「スバル360」を誕生させました。初の国民車としてロングセラーとなったこの「スバル360」の成功によって、富士重工業は自動車メーカーとしての基礎を確立しました。そして1966年には独自のメカニズムを誇る水平対向四気筒エンジンを搭載した「スバル1000」を開発し、1972年には乗用車ベースとしては日本初となる四輪駆動車(AWD)である「スバルレオーネ4WD」を発売、“独創の技術”を誇るメーカーとして名を馳せてゆきます。航空技術者を祖とする富士重工業は、その後も世界でも類例の少ない水平対向エンジンとAWDを技術の柱として、「レガシィ」、「インプレッサ」、「フォレスター」といった新型車を開発し、世界の自動車メーカーの中でも独自のメカニズムや技術で展開するメーカーとして日本のみならず、米国などでもその地位を固めているのです。
そして、2017年、富士重工業株式会社はそのルーツとなる「飛行機製作所」が、創設から100周年を迎えるにあたって、社名をブランド名として国内外で浸透している「SUBARU」に変更しました。
本書は、そのSUBARUの経営基盤を築いたスバル360、スバル1000、そして独自の技術によるAWD車がスバルユーザーからの要望により誕生するまでについて、それらの開発に携わった技術者たちの軌跡をまとめた実記録です。2023年にSUBARUが創立70周年を迎えたことや、読者の方からのご要望もあり、このたびの再販となりました。今回の再販にあたり、内容は手を加えることなく、史料として貴重なカラーカタログなどを使用した口絵を増補しました。本書をお読みいただき、“独創の技術”を生んだ技術者たちの名車開発に情熱を傾けた姿を知っていただければと思います。

小林謙一


『富士重工業 技術人間史 スバルを生んだ技術者たち』(増補改訂版)
 富士重工業株式会社 編集委員会 編
 A5判 352ページ(カラー16ページ) 定価:3,850円(本体3,500円+税)

【目次】
カラー口絵
はじめに
第一章  スバル前史
第二章  自動車試作開始
第三章  P−1
第四章  K−10計画
第五章  軽自動車開発
第六章  三六〇ccエンジンの開発
第七章  一九五六年、伊勢崎
第八章  試作車走行試験
第九章  スバル360誕生
第十章  スバル・サンバー
第十一章  FF開発
第十二章  63−A開発計画
第十三章  水冷水平対向四気筒エンジンの開発
第十四章  スバル1000の誕生
第十五章  FFから4WDへ
年  表
編集協力/主要参考文献
あとがき

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