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2020年1月18日

2020年1月10日(金)から3日間、東京オートサロンが千葉県の幕張メッセで開催されました。その様子をお伝えします。(レポート:梶川利征)


2020年1月10日(金)から3日間、東京オートサロンが千葉県の幕張メッセで開催された。
もともとはカスタムカー、チューニングカーのイベントだが、近年は自動車メーカーが積極的に出展し、「第2の東京モーターショー」といった趣が感じられる。


GRヤリスが注目のトヨタ

トヨタブースのメインは「GRヤリス」。発表はされたもののまだ発売前であるヤリスに早くも特別なモデルが登場した。GRカンパニープレジデントであるトヨタ自動車の友山茂樹副社長のプレゼンテーションではモリゾウことトヨタ自動車の豊田章男社長によるビデオメッセージがあり、「市販車をベースにラリーで勝つための車を作るのではなく、ラリーで勝つ車を作りそれを市販するという逆転の発想」と説明された。GRヤリスは1.6Lの3気筒ターボエンジンや「GR-FOUR」と呼ばれる独自の4WDシステムなど、名前こそヤリスではあるが、標準モデルとは全く別物のような内容となっている。

プレゼンテーションの最後に友山副社長が「モリゾウは先日ラスベガス(CESという世界最大の家電見本市)で自動運転のプレゼンをしており、本人はガソリンくささが好きだと言っているのにもう3年も東京オートサロンに来ていない」と話すと、そのタイミングで豊田社長が「サプライズ」で登場という演出がされた。

壇上にはGRヤリスに加え、かつてWRCで活躍したセリカGT-FOURのラリー仕様とノーマル仕様が展示された。

SUBARUはSTIとのつながりをアピール
SUBARUではこちらもまだ発売前の「レヴォーグプロトタイプ」をベースにしたSTIスポーツが展示されていた。レヴォーグは2019年の東京モーターショーで発表はされたが、詳しい内容はまだあまり公表されていなかった。

今回のSTIスポーツで新たに発表されたのはSUBARU初の「ドライブモードセレクト」。これまでのSI-DRIVEはエンジンとトランスミッションを制御するだけだったが、ドライブモードセレクトではサスペンションやステアリング、AWDシステムを含めて変えることができるようになっているという。

会場内で流れていたプロモーションムービーでは内装はステアリング周りしか出てこないが、一瞬現れるタコメーターが平面的に見えたので、ついにSUBARUもフル液晶を使用したメーターパネルになるのか?と個人的には期待が持てた。
ステージ上ではSUPER GT、ニュルブルクリンク24時間レース、全日本ラリー選手権の今年のチーム体制も発表された。

鮮やかなグリーンのS660
ホンダは新型フィットのカスタムカーがあまり前面に出ていなかったのは意外に思えたが、その代わり今月マイナーチェンジされるシビックやオートサロン初日にマイナーチェンジが発表されたS660が展示されていた。特にS660の新色であるアクティブグリーン・パールの鮮やかさがとても印象的だった。

記念モデルが多かった日産
日産はステージでのトークショーなども含めてモータースポーツ中心だったが、市販車ベースで目を引いたのは、先日のマイナーチェンジで登場したハイパフォーマンスグレード「スカイライン400R」をベースにした「スカイライン400Rスプリントコンセプト」。明るいグリーンのラインが独特の雰囲気を演出していた。

また、2018年発表された「GT-R 50 by Italdesign」の納車がいよいよ今年から始まるとのことで、GT-RやフェアレディZの50周年記念車と共に展示されていた。

GT-R50周年を機に日産とイタルデザインが現行GT-Rをベースに共同開発した「GT-R 50 by Italdesign」

提案型のSUV展示と門戸を広げたモータースポーツ
マツダで出品されていたカスタムカーは派手さはなく、ベース車がCX-5やCX-30ということもあり、SUVのあるライフスタイルを提案するといったコンセプトでの展示だった。
もちろんモータースポーツに関する展示もあり、ステージではマツダ車ユーザーが気軽に参加できるレースイベント「ロードスター・パーティーレースⅢ」「マツダファン・サーキットトライアル」「マツダファン・エンデュランス」で入賞した参加者へのマツダカップ授与式が行なわれた。

グッズ販売コーナーでは懐かしい初代FFファミリアやRX-VISION、VISION COUPEといったコンセプトカーのミニカーが販売され、『マツダロードスターの30年』(三樹書房刊行)もレジ前にひっそりと並べていただいていた。

スイフトがカタナとコラボ
スズキの展示は2019年の東京モーターショーでコンセプトモデルとして発表され今回のオートサロンに合わせて正式発表となった新型ハスラーが中心だったが、同社のバイク「カタナ」とコラボした「スイフトスポーツ カタナエディション」が展示されていた。
ハスラーの燃費表示を見るとNA車は新しいWLTCモードと以前のJC08モードが両方記載されているのに対してターボ車はWLTCモードのみの表示だったのが気になった。理由をスズキ関係者に聞いてみると「NA車はJC08モードの燃費でエコカー減税の対象になるから必要になるけれど、減税対象とならないターボ車はWLTCモードのみの記載になっているのです」とのことだった。

新型になった「ハスラー」。前タイプのデザインを踏襲しているけれどもほとんどのボディパネルは一新されているとデザイン担当者の方はおっしゃっていた。

ダイハツは大人から子どもまで楽しめるブースづくり
ダイハツブースは2019年の東京モーターショーでのコンセプトカー「WakuWaku」の市販版である「TAFTコンセプト」をメインに展示していた。年央発売予定とされていることもあり、ガラスルーフの内装も含めてほぼこのまま発売されると思われる。TAFTといえばかつてダイハツが発売していた1000ccクラスのジープタイプ4WDの車名で、ロッキーも同様で過去のモデルから復活した車名であるが、そのロッキーのイメージカラーの名前がコンパーノレッド(コンパーノとは1960年代に販売されていたダイハツの小型車)だったりと復活ネームが多い。

そして2019年の東京オートサロンで発表されて10月に発売されたGRコペンはトヨタでも販売されているが、ダイハツオリジナルのカスタムをしたモデルが展示されていて、多くの人がルーフの開閉に見入るなど人気だった。

ブース内のイベントでは2019年の東京オートサロンや東京モーターショーに引き続いてのハイテンションな女性MCのインパクトが大きかったが(奥平総一郎社長が飛び入り参加したことも)、子どもを対象にしたエンジン組み立て体験やボルダリング、漫画家・イラストレーターの田中むねよし氏が観客と話しながら、TAFTと観客を一枚の絵に収めるというライブドローイングやDJステージなど幅広い年齢層が楽しめる内容になっていた。

新型軽自動車に加えテリー伊藤プロデュース車両も
三菱のブースは2019年と同様に西~東ホールではない北ホールにブースを構えていた。
一番の話題は新型軽自動車のekX(クロス)スペースとekスペースだ。ekXスペースは2019年の東京モーターショーで「スーパーハイト軽ワゴンコンセプト」として出品されていたが、ekスペースはこの東京オートサロンで初披露となった。

他にはテリー伊藤氏プロデュースの「デリカD:5 eye・キュート」やアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」に登場する組織「NERV」の名称や設定を使いながら実際の被災地支援車両として製作されたアウトランダーPHEVが展示されていた。

デリカD:5のユーザーでもあるテリー伊藤氏がプロデュースした「デリカD:5 eye・キュート」。朝出かけるときに「行ってきます」、帰ってきたら「ただいま」と声をかけたくなるような丸い目のクルマにしたいというアイディアが盛り込まれた。

各社様々な趣向で盛り上げた結果、3日間の来場者数が336,060人と過去最多となった東京オートサロン。自動車メーカーとカスタムカー専門のブースとの対比も面白く、東京モーターショーとは違ういい意味での「何でもあり」といった雰囲気があり、バラエティーに富んだ「クルマの祭典」となっていた。

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