2019年9月27日
カローラ(セダン)の新型と、そのワゴンモデルであるカローラ ツーリングが発表されました。その様子をお伝えします。(レポート:相原俊樹)
トヨタ自動車は2019年9月17日、都内の「MEGA WEBトヨタシティショウケース」にてカローラ(セダン)の新型と、そのワゴンモデルであるカローラ ツーリングを発表。同時に、昨年6月に新たなカローラ・シリーズの第1弾として先行発売していたカローラ スポーツ(ハッチバック)にも一部改良を施し、3車種を同日に発売した。
当日の発表会でまず登壇したトヨタ自動車(株)副社長 吉田 守孝氏より、新型カローラの概要について説明があった。
1966年に誕生して以来、今では世界150以上の国と地域で販売されているカローラは、販売累計台数4750万台を超えるロングセラーである。今回発表になったカローラは実に12代目となる。「カローラはトヨタのブランドの1つです」と吉田氏は胸を張る。
次いでMid-size Vehicle Company ZE チーフエンジニアの上田 泰史氏へとバトンが渡され、技術面の解説に移る。
上田氏がまず言及したのは、新型カローラがTNGAプラットフォームを採用したこと。TNGAとは「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー」の頭文字で、トヨタはこれを「基本性能や商品力の飛躍的な向上を『良品廉価』の考えのもとに取り組んでいる活動」と位置づけている。
TNGAプラットフォームを活用しつつ、国内専用の設計をすることで、低重心でスポーティなスタイリング、クルマ本来の走る喜び、取り回しのよさを両立させたことを強調する。
日本の環境に合わせた取り回しのよさとは、1)グローバルモデルより全長、全幅、ホイールベースを縮小、2)ドアミラーの取り付け位置を工夫することで、ミラー格納時の車幅は従来型と同等を実現、3) セダンの最小回転半径は、従来型と同等の5.0mを実現(G-Xグレード15インチタイヤ装着車)といった点を謳う。
ただし縮小したボディーサイズとはあくまで海外仕様車との比較であって、ご多分に漏れず、従来型からは一回り大きくなっている。その相関関係は下記の表を見るとわかりやすい。
パワートレイン(エンジンとトランスミッションの組み合わせ)も、一覧表を見るのがわかりやすい。
この日の発表会では、後半にフリーアナウンサーにして大のクルマ好きとして知られる安東 弘樹氏を迎え、吉田氏、上田氏を交えた3名によるトークセッションが展開された。なかでも事前に潜在顧客から寄せられた質問から安東氏が任意に選び、吉田、上田の両氏がその場で答えるQ&Aセッションは聞き応えがあった。
安東氏が選んだなかで、「世界基準たるゴルフと比べて、新型カローラの出来映えに自信があるか?」という質問は特に興味深かった。上田氏は開発のプロセスでゴルフが仮想ライバルの1台にあったことを明かしたうえで、充分な自信作だと明言したが、例えばボディ剛性など、事前に用意が出来たのであれば、具体的な数値の比較があるとさらに説得力が増したと感じた。一方の吉田氏は「日本の道を走るなら、日本国内専用パッケージのカローラの方がいいでしょう」と自信のほどを示した。
価格はセダンの場合193万6000~294万8000円、ワゴンのカローラ ツーリングでは201万3000~299万7500円。
発表会場となったMEGA WEBトヨタシティショウケースには、歴代カローラがずらりと展示されていた。手前の白い1台は「種の起源」たる初代。1966年(昭和41年)に登場した
国産乗用車の定番として半世紀以上の歴史を誇るカローラ。その最新世代版は若者を含めた広い顧客層のハートを捉えることができるのだろうか。巷間、新型RAV4が好評と言われるだけに、ライバルは社外製品だけに限らない。老舗の看板を背負ったカローラの新たな挑戦が始まった。