2019年5月29日
新型ポルシェ911記者発表会が開催されました。その様子をお伝えします。(レポート:相原俊樹)
去る5月28日、都内の会場にて新型ポルシェ911の記者発表会が開かれた。ポルシェ ジャパン広報部部長の黒岩 真治の司会進行でスタート。最初に登壇した同社代表取締役社長 七五三木(しめぎ) 敏幸氏の「基調スピーチ」はいつもながら聞き応えがあった。
垣間見えてきたマーケティング戦略
氏はまずもってポルシェの国内販売台数が順調に推移していることに言及、2018年の販売台数は7166台を達成して、9年連続で右肩上がりの記録を続けているという。
これ以外にも七五三木氏は複数の話題に触れたが、そのなかで私が特に注目した2つを紹介しよう。
1つは「ポルシェ エクスペリエンス センター ジャパン(PEC Japan)」のその後の進展。「顧客参加型モータースポーツ」を提唱する新たなプロジェクトとして、2021年の開業を目指し、千葉県木更津に建設中の施設だ。
この日の発表会では、専用サーキットのほかに、極端に滑りやすくした路面や激しく傾斜する悪路など、公道では遭遇することのないコースが設置される予定であることが明らかになった。七五三木氏は、同センターを開設する目的として「未来の顧客にポルシェのドライビングを体験してもらうこと」を挙げた。
もう1つの注目は『scopes Tokyo(仮)』の発表。「ミレニアル層を中心とした次世代向け 独立型ブランドエキシビション」の謳い文句のもと、2019年11月に東京都渋谷区にて約1か月の期間限定で開催される予定。詳細は逐次、明らかにするとのこと。
「PEC Japan」と『scopes Tokyo』。どちらもポルシェが未来の顧客層に向けてメッセージを発信しようとする姿勢が伺えるトピックだ。この辺りからも、近い将来に向けたポルシェのマーケティング戦略が垣間見えるような気がする。
デザイナーが語る新型911
次いで、同社執行役員マーケティング部長 山崎 香織氏が登壇、ポルシェAG(ドイツ本社)エクステリアデザイナーの山下 周一氏に質問を投げかける形で進めるトーキングセッションも興味深かった。
山下氏は東京生まれ(1961年3月)で1993年にアメリカのアートセンターカレッジオブデザインにて博士号を取得、2006年からはポルシェAGのエクステリアデザイナーに就任し、初代マカン(第2世代)や911スピードスター(997)を手がけた人物である。
エクステリアデザインに関しては、ボディを構成する曲線や直線を従来型よりシンプルに表現したと山下氏は語る。ボンネットの中央部を一段低くしたのはかつての911へのオマージュ。とりわけ911のリヤのデザインはデザイナーにとってやり甲斐のある仕事で、新型では横一文字のテールライトがポイントの1つだと明かす。
インテリアでは1960年代の初代911をモチーフとした水平基調に回帰したことに触れ、バウハウスに代表される精緻にしてシンプルなデザインを目指した結果だと説明する。総じて伝統と革新とを融合させたデザインとの印象を受けた。
新型ポルシェ911は2019年7月5日(金)より全国のポルシェ正規販売店にて販売がスタートする。私たちがその姿をショールームで目の当たりにできる日が間近に迫っている。