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2018年6月1日

ポルシェ70周年記念記者会見が開かれました。その様子をお伝えします。(レポート:相原俊樹)


ポルシェ ジャパン広報部 部長 黒岩 真治氏
ポルシェ ジャパン代表取締役社長 七五三木 敏幸氏
ポルシェ ジャパン執行役員 マーケティング部長 山崎 香織氏

 去る5月28日、都内の会場にてポルシェ70周年記念記者会見が開かれた。4月1日付けでポルシェ ジャパン広報部 部長に着任した黒岩 真治氏の司会進行で、前半が同社代表取締役社長 七五三木 敏幸氏による「新たな進化と挑戦」、後半が執行役員 マーケティング部長 山崎 香織氏による「2018年 マーケティング戦略」と題したプレゼンテーションが披露された。
 まず七五三木氏からビッグニュースがあった。同社初の純EV「ミッションE」を2020年より国内で販売すると発表されたのだ。「パナメーラよりむしろ911に近い」成り立ちと氏が説明するこのミッションE、600psの出力により0-100km/hを3.5秒以下で加速し、最大航続距離500km/h以上を謳う。
 2017年はビジネスが順調に推移した1年だったとの報告もあった。一例として氏はポルシェ全体の営業利益率が史上最高記録17.6%に達したと言及。この数字がいかに突出しているか。もはや命運尽きたかと思われたフィアットにセルジオ・マルキオンネが奇跡を起こし経営危機を脱したのが2008年のこと。この年、ヨーロッパの他のメーカーを凌いだフィアットの営業利益は5.7%だった。総合自動車メーカーと高級車専門メーカーを同列に語ることに無理があるにせよ、一つの目安にはなるだろう。販売が好調なのは日本市場も同じで、昨年の販売台数6923台は過去最大の数字だという。
 既存モデルの電動化にも拍車がかかっている。今年第1四半期、ヨーロッパではPHEV版の販売がパナメーラ全体の実に60%を占め、日本でも同様な傾向が見られるという。それに伴い環境性能も如実に進歩しており、ポルシェ製品全体を見たとき、昨年のCO2排出量は一昨年の2016年比で39%へと激減した。ツッフェンハウゼンにはBEV(バッテリーEV、つまりバッテリーのみを動力源とする純EV)専用のファクトリーが建設中であること、2025年までに全ラインアップの50%を電動化することも発表になった。
 続いて山崎氏より「SPORTSCAR TOGETHER」と銘打った70周年記念イベントの数々が予告された。ポルシェらしくサーキットを舞台にしたものもあるが、オーナー予備軍も参加できそうな気軽な催し物が予定にあるのは注目に値する。日頃ショールームに入りにくい潜在顧客にアピールする機会はポルシェ ジャパンにとって大切だろう。
 両氏のプレゼンテーションを通じて感じたのは、70周年を節目に未来へ向けて飛躍を目指すポルシェの固い決意。とりわけ七五三木氏が一度ならず言及した「エクスクルーシビティ」は重要なキーワードになりそうだ。同社にとって「他に類を見ない独自性」は核となるバリューであることは間違いない。
 一方、ポルシェはVWグループの一員としての顔もある。スーパープレミアムブランドの牽引役を担うゆえ、プラットフォームの設計一つとっても自分の都合だけでなく、ほかのブランドの要求も取り込まなければならない。グループ内での役割を果たしつつ、独自性を鮮明に出していく――70周年を迎えた今年、取締役会 会長オリバー・ブルーメ氏にとっては冴えた手腕を振るう見せ所となりそうだ。

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