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2015年8月10日


【車評】ダイハツ・コペン セロ/マツダ・ロードスター/ホンダ・S660の3台の同時試乗を行ないました。そのレポートをお届けします。

テスト車は、ダイハツコペン セロ、マツダロードスター、ホンダS660の3台。比較及び参考車両として1990年型のマツダ/ユーノスロードスター(NA)を含めた4台を同時試乗。テスト日は2015年7月25日(土)。天候は晴天、気温は30℃以上。試乗時間は、午前8時より午後3時30分まで。高速と一般道路を含めて約170kmを走行。実用燃費は、満タン計測によって算出。
RJC会員:小早川隆治氏/武田 隆氏/飯嶋洋治氏/小林謙一
他社内外メンバー3名を加えて計7名で実施した。
※試乗したコースについてはこちら

ダイハツ/コペン セロ

タイヤ:ブリヂストン・ポテンザ サイズ165/50-16
実燃費:11.14㎞/L(走行距離:175.2㎞、給油:15.73L)
メータ―値燃費:12㎞(93%)
■総評:車両について
 今回「第3のモデル」として投入されたコペンセロは、旧モデルから継続したイメージを感じさせる、丸みを基調としたデザインでまとめられている。ボディだけでなく、ヘッドライトやテールランプに至るまで、すべて丸みを持ったデザインとなり、第一印象は、併売するローブとは別のクルマのようである。全体に破綻はなく、デザインの統一性は保たれていると感じるが、旧モデルにはあった、大人っぽさから離れているところもあり、例えばテールランプの点等時のデザインは、好みの分かれるところだろう。このクルマの最大の特徴でもあるが、電動のハードトップを装備しているため、手軽にオープンにして走ることが出来るのが魅力である。

■魅力点
1.電動ハードトップは、室内からスイッチで操作できる。これはとても便利。
2.トランクには多少の荷物が入る。ただし、ハードトップが収納されるスペースを考慮すると、大きな荷物は入らない。2人の一泊旅行では、オープンにして走るには、荷物の問題が出るだろう。しかし、トランクキャリアなどがあれば問題は解決できるはず。
3.ハンドリングはクイックである好ましい。両座席は大きくて、十分に質感がある。
4.実用燃費は、スポーツカー/スポーティーカーとして考えれば良い方。

■気になる点やもう少し改善できれば良いところ
1.スイッチ類は、シートヒーターとパワーウィンドウの位置が近く使いづらい。
2.タイヤ部分からのロードノイズは大きい方。やはり質感アップのために改善を望みたい。
3.足元が狭く感じられるため、クルマの性格から考えても左足を置くフットレストが欲しいところ。
4.クラッチのつながる位置があまり良くない。これは試乗車ということで走行距離のわりにクラッチが乱暴に扱われて、傷んでいる可能性もあるが…。

マツダ/ロードスター(ND型)

タイヤ:ヨコハマタイヤ アドバンスポーツ サイズ:195/50-16
実燃費:11.79㎞/L(走行距離:177.6㎞、給油:15.06L)
メータ―値燃費:12㎞(98%)

■総評:車両について
 唯一無二のオープンスポーツであるロードスター。初代のライトウェイトを正統に引き継ぎ、四代目にして、最も「ロードスターらしさ」をしっかり感じられるクルマに仕上がっている。全体の完成度は高く、マイナーチェンジ後のような熟成度の高さも随所に感じられる。
■魅力点
1.全体的に完成度が高く、運転していて上質感がある。
2.音質もチューニングされたという、エンジン音がすべての領域で良い。
3.手動ではあるが、幌の開け閉めが非常に軽い力で行なうことができ、簡単で便利である。
4.1500㏄のエンジンはアンダーパワー感がなく、中低速から高速までスムーズに加速する印象である。
5.シートには適度なホールド感があり、今回のテスト車の中では一番良かった。ドライビングポジションも秀逸。フロントガラスから見えるフェンダーの尾根によって「見切りできる」デザインも良い。6.トランクにも十分とはいえないが、幌をたたんだ状態でもトランクはまったく影響を受けないので、不便なく荷物を積むことが出来る。これは歴代ロードスターの美点である。
7.スタート時や中低速の加速時などには、ボディの軽さを実感でき、歴代のモデルの中で初代NAの持っていたライトウエイトスポーツ感、つまり「ロードスターらしさ」を感じられるクルマである。

■気になる点やもう少し改善できれば良いところ
1.高速走行時にはロードノイズが気になる。試乗車はアドバンスポーツが装着されていたが、タイヤからの音も加わっているように感じた。専用に開発された、ボーズの音響システムを生かすためにも、改善を望みたい。
2.今回のロードスターは、歴代のモデルの中で一番精悍になった印象を受けることは間違いない。BMWなどと同様、リアに向かって絞り込まれたエッジの効いたボディのデザインは、現代のトレンドだが、ヘッドランプやテールランプのデザインは好みが分かれると感じる。

ホンダ/S660

タイヤサイズ195/45-16
実燃費:14.28㎞/L(走行距離:174.6㎞、給油:12.23L)
メータ―値燃費:15.6㎞(92%)

■総評:車両について
 ホンダの1991年に登場した、ホンダビート以来のミッドシップ軽オープンスポーツカー。質感の高い凝った造りであり、さながら軽自動車のスーパーカーのようなデザインである。室内外ともに、デザインにはかなりこだわった部分が多く、年々良くなっている軽自動車の中でも、特別な存在であることは間違いない。古くは、ホンダスポーツと同様、このS660に関しては、元から軽自動車クラスとして開発された車ではないのだろう。小さい車だが、とにかく良く走る。ハンドリングもムダが無く軽快で、ワインディングが楽しいクルマだと感じた。ブレーキはタッチも効きも良い。
今回の試乗で、このS660が日本専用モデルだとしたら、非常にもったいない印象を受けた。

※ホンダS660は、最近では珍しい乗り手を選ぶクルマだと思うし、乗り手も限定されるクルマ。ワインディングなどのスポーツ走行を愉しむことを最優先し、後方視界や取り外し式のルーフなどの実用性は、はっきりと割り切っている。オートバイのように、それほど長距離ではなく、海や山など一人で走りたい…と考えているホンダファンには最適なクルマである。

■魅力点
1.軽快でワインディングが楽しい、ミッドシップらしいクイックなハンドリング。
2.高回転まで吹き上がり、よく回るホンダ独特のDOHCエンジン
3.安定感のあるサスペンションと”スポーツサウンド”といえるエンジン音。
4.スポーティな走りを十分に愉しめることを考えればかなりの好燃費。
5.また小さなリアウインドーが、電動で走行中でも簡単に上下できるので、エンジン音を好みで聴ける装備は、ホンダらしい演出である。

■気になる点やもう少し改善出来れば良いところ
1.軽自動車枠に作られているため、座席の座面が狭いことや、ビートと同様に荷物が全くと言っていいほど積載出来ないこと。
2.ミッドシップのため。エンジンの音が大きく、車内にもさまざまな所から音が入ってくる。ただ、こうしたミニレーシングマシン的なクルマを好む人には、雑音にはならないだろう。

まとめ:グランプリ出版/三樹書房 テストチーム総評

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