2025年8月26日
このたび弊社では、『増補版 日本自動車史 黎明期編』を2025年9月下旬に刊行します。
本書の著者である佐々木烈先生は、自動車歴史考証家として自動車に関する資料の収集にあたり、全国の図書館や公民館などを訪ね歩いて膨大な新聞に目を通し、毎日のように国立国会図書館に通い、資料を探して調査しながら関係者とは手紙のやり取りをして聞き取りを続けるなど、生涯をかけて日本の自動車史における黎明期の解明と考証に携わってこられました。
このような佐々木先生の研究活動は、国立科学博物館をはじめ各方面の研究者の方から評価を受け、その長年の功績により2014年には日本自動車殿堂 殿堂者として殿堂入りを果たされています。
佐々木先生はそれらの研究調査について「日刊自動車新聞」紙上で連載され、弊社は2004年にその連載を『日本自動車史』として書籍にまとめ、刊行いたしました。
編集部では初版が品切れてから10年以上が経ったこともあり、佐々木先生が新たに解明されたことを加えて、増補することを考えておりました。しかし、精力的に研究を続けておられた佐々木先生が、2019年に急逝されました。
その後、ご遺族である奥様の佐々木千代野様から、佐々木先生の蔵書や収集した資料の一部を活用してほしいと弊社にご寄贈いただきました。千代野様は佐々木先生が調査した資料や原稿をデータ化するなど、長い間その活動を二人三脚で支えておられました。
編集部で千代野様よりご寄贈いただいた書籍や資料を確認していたところ、通常より分厚くなった『日本自動車史』を見つけました。ページを開くと、そこには刊行後に佐々木先生が発見したと思われる修正に加えて、古い書物や新聞の切り抜きが、複数貼付されていました。編集部では、書籍刊行後も日本における自動車の歴史について研究を続けておられた今は亡き佐々木先生に敬意を表し、巻末にこれらの資料をあらたに収録して、『増補版 日本自動車史 黎明期編』として刊行することといたしました。
資料のなかには、出典や内容の詳細が不明なものもありましたが、いずれの資料も今日では収集することが難しい貴重な資料と判断し、写真が不鮮明なものについてはデータ化の際に画像を調整するなど、できるだけ見やすくなるように修正を施して掲載いたしました。
今日では日本の基幹産業となり、技術面でも世界をリードするまでになった「自動車」。
佐々木烈先生が丹念に調査・考証してまとめた本書により、日本の明治、大正、昭和初期の自動車産業の黎明期において、その発展に貢献した先駆者たちの軌跡、知られざる自動車史を知っていただけたら幸いです。
三樹書房 編集部

『増補版 日本自動車史 黎明期編』
著者:佐々木 烈(自動車歴史考証家)
仕様:A5判上製/304ページ
定価:4,950円(本体価格4,500円+税)
ISBN978-4-89522-842-8
目 次
第1章 日本最初の自動車技師 林平太郎の生涯
第2章 自動車販売店の開祖 松井民治郎の生涯
第3章 花のいのちは短くて、初の国産自動車製作者 吉田真太郎の生涯
第4章 ロコモビル蒸気自動車の輸入と関税問題
第5章 第5回内国勧業博覧会と乗合自動車のはじめ
第6章 国産第一号車の徹底的解明、山羽蒸気自動車は走ったか
第7章 東京のバス創業史
第8章 千葉県自動車はじめ探訪記
第9章 新潟、香川、埼玉、山形各県と国産米山式自動車
第10章 長野県最初の乗合自動車
第11章 橋本増治郎とダットの人々
第12章 明治交通史の最後を飾ったタクシーの出現
第13章 明治の自動車税について
自動車年表(1895~1913年)
あとがき
参考資料
関連資料
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