第20回 ホンダCR-Z
第20回 ホンダCR-Z
・試乗グレード  α (FF・6MT)
・全長  4,080mm
・全幅  1,740mm
・全高  1,395mm
・エンジン型式  LEA
・種類  水冷直列4気筒SOHC
・排気量  1,496cc
・最高出力  114ps(84kW)/6,000rpm
・最大トルク  14.8kg・m(145N・m)/4,800rpm
・電動機型式  MF6(交流同期電動機)
・最高出力  14ps(10kW)/1,500rpm
・最大トルク  8.0kg・m(78N・m)/1,000rpm
・車両本体(税込)   2,498,000円


CR-Zの目指したもの

CR-Z(「シーアールズィー」と発音してほしいという)の紹介を広報資料にある開発者のメッセージから始めてみよう。「見て、乗って、走って、ドライバーをときめかせたい」、「クルマの新時代を明るく元気にしたい」、「運転の醍醐味を味わえるハイブリッドカーを創りたかった」、「ボンネットの低いスタイリングを守り抜くために試行錯誤に明け暮れた」、「求めたのはスポーティーで上質な空間」、「走りを極めたい、燃費も極めたいという想いから、走りが選べる3モードドライブシステムが生まれた」、「ハイブリッド車で6速MTを何としても創りたかった」、「意のままに操れるハンドリングを目指した」、「スポーツを実感できる走りを得るために、シャシーを造りかえた」などがその一部だが、これらによりCR-Zの目指したものの概略が理解できる。

CR-Zはどんなクルマ?

CR-Zのメカニズムに関しては、「車評」メンバーの一人である小堀和則さんに本稿の最後で解説してもらうが、CR-Zを一言でいえば、1.5Lのエンジンと補助動力のモーターを組み合わせたホンダ独自のコンパクトなハイブリッドシステムにより走りの楽しさと優れた燃費を実現した、斬新なスタイルの2+2のスポーツモデルだ。変速機はCVTに加えてハイブリッド車でははじめての6速MTが採用され、走行条件に応じて3つの走行モードが選択できるホンダ初のシステムも搭載された。また専用のサスペンション、高剛性なボディーなどによる俊敏かつ安定感のあるハンドリングも実現している。

今回評価の対象に選んだのは6速MT仕様のαモデルだ。試乗会ではCVT装着車も試乗したし、CR-Z本来の目標からすればCVTの存在意義は大きいが、ハイブリッド車初めての6速MTを広範囲な条件で評価してみたかったのと、同時比較の車両はいずれもMT車としたからだ。今回私自身がCR-Zで3日間にわたり、都内、郊外、山間路、車評コースなど約600kmを走行し、広範囲な走行条件下での印象を把握することができた。

いつから発売?

2010年2月25日から発売。

お値段(車両本体価格)は?

2,498,000円



見るほどに愛着の増す外観スタイル

ハイブリッドシステムを搭載した新世代のスポーツカーとしてCR-Zのコンセプトモデルが公の場に姿を現したのは2007年の東京モーターショーだったが、外観スタイル面では正直言ってあまり強い印象を受けなかった。当時のショーカーに比べると量産車は細部の彫が鮮明に、顔つきも引き締まったものとなり、より迫力のある、躍動的で、先進的なデザインになった。試乗中かなりな人が振り返ってくれたし、私自身も見るほどに愛着が増したが、今後CR-Zが市場に浸透して行く過程で、外観スタイルに対する評価も一段と向上してゆくものと思う。


新鮮で質感も不足ない内装デザイン

最近のホンダ車にはデザインや質感などの面で「?」マークのつく内装が多かったが、CR-Zはなかなかの出来だ。まずインパネ全体、メーター周り、ドアトリムなどの造形が新鮮、かつビジーすぎないのがいい。スーパー3Dメーターと称するメーター周りはややSF的だが視認性はよく、使用頻度の高いスイッチ類も見やすく、使いやすい。燃費状況を照明色で表現するアンビエントメーターも悪くない。またウレタン層に表皮を被せたインパネ上面の質感や触感、ドアグリップやコンソールガーニッシュに適用された、金属を蒸着した樹脂フィルムによる質感、革巻き小径ステアリングホイールの形状と質感なども好感がもてる。ただし、あらゆるメーター類が助手席からは視認できず、同乗者と情報を共有できないのは残念だ。また廉価版のβにはドアグリップのメタルガーニッシュや革巻きステアリングホイールが装着されていないが、スポーツカーにとってはステアリングホイールの握り感などは非常に大切なポイントなので、今後見直されることを期待したい。廉価版といえども決して軽自動車のように安い価格ではないのだから。


室内の広さ、積載性、前方視界は○

前席の居住性は大柄な男性にも全く不足ない。加えてインパネ下部やシートの明るい色調による開放感、高曲率のフロントウィンドーとAピラーの位置や形状による優れた前方視界、αモデルにオプション設定されているスカイルーフによる開放感などは大きな魅力だ。またアコードのシートフレームをベースにしたというフロントシートは体圧分布、ホールド性ともに良好で長時間走行も全く苦にならなかった。ただし後席は緊急時の短距離使用が限界で、運転席のうしろは乗車不可能と考えた方がいい。荷物の積載性に関しては、リアシート後方にそれなりのスペースがあり、後席を折りたためば2個のゴルフバックや、複数の大型スーツケースの搭載も可能だ。残念なのは前方視界にこだわった割に斜め後方視界が悪く、一時停車状態から、かなりなスピードで流れている左車線に進入する場合などには十分な注意が必要だ。


不足のない動力性能

1.5Lの4バルブのi-VTECエンジンと、小型・軽量な薄型ブラシレスモーターを組み合わせたホンダ独自のコンパクトなハイブリッドシステムにより、1000〜1500rpmで最高トルクを発揮、変速機はCVTに加えて、ハイブリッド車ではじめての6速MTも採用された。また走行モードが選択できる3モードドライブシステムも搭載し、走りの楽しさと優れた燃費を実現している。"NORMAL"モードによる市街地や高速道路上での通常走行で走りに不足を感じる場面はほとんどなかったし、市街地の交通流に乗ってのおとなしい走りには"ECON" でも十分に対応可能だ。そしてうれしいのが"SPORT"モードに切り替えた時の活発で爽快な走りだ。これらの走行モードは瞬時に切り替えられる。


新しい運転の醍醐味を提供する 3モードドライブシステム

6速MT車の"SPORT"モードの走りにもう少し補足説明を加えよう。動力性能は0-100km/hが10秒を切るようだが、そのような「全開加速」よりも、"SPORT"モードでアクセルを踏み込んだ直後の胸のすく「過渡的な加速」がいい。日常の走行ではこの過渡的な加速こそが大切で、6速MT車の場合、アクセル操作量に対するスロットル開度とモーターアシスト量がモードごとに顕著な差がつけられており、中でも"SPORT"モードでは、アクセル操作に応じてスロットルが急速に開くのに加えてモーターアシスト量が「一時的に」大きく増加し、それにより胸のすく過渡的な加速感が得られるようだ。一方では"ECON" モードでコーチング機能に従って1500rpm前後を多用する「地球にやさしい走り」も新しい運転の楽しみのひとつといえそうで、6速MT車の3モードドライブシステムを駆使した運転が、エコ時代のスポーツカーの新しい醍醐味のひとつになってもおかしくない。


軽自動車並みの燃費がうれしい

関心の的の燃費は、6速MTの場合、10・15モードが22.5、JC08モードが20.6 km/Lだが、車評コースでは17.0km/Lという軽自動車並みの実測燃費を記録した。しかもレギュラーガソリンでOKだ。ちなみに高速セクションは18.4、市街地セクションは10.3 km/Lだった。実測燃費は完全満タン法、区間燃費は車載のデジタル燃費計によるもので、車評コースでの評価中は常に室内温度は25度に設定、高速、市街地コース内で一部"SPORT"、"ECON" モードでの走行性能を評価する以外は基本的には"NORMAL"モードでの走行とした。ご参考までに昨年テストしたインサイトは総平均が20.1km/Lで、高速が22.2、市街地は12.5、プリウスは総平均が25.2、高速が25.7、市街地は19.1だった。

なおMT車、CVT車ともにオートアイドルストップシステムにより信号や渋滞などで停車した場合エンジンが自動的に停止する。MTの場合はクラッチを切り、シフトレバーをニュートラルから他のポジションに入れるとエンジンが再始動するが(CVTの場合はブレーキの解除により再始動)、再始動時間が非常に短く、振動もほとんど気にならない。


スポーツサウンドも魅力的

エンジンサウンドもなかなか魅力的だ。プリウスのようなハイブリッドシステムでは低速ではモーターのみによる走行シーンが多く、エンジンサウンドの作りこみはあまり意味がないが、ホンダIMA方式のハイブリッドは常時エンジンが回っているため魅力的なスポーツサンドも可能となる。CR-Zの開発にあたってはスポーツサンドの作りこみがなされたようで、3000rpmまでは主として排気音で演出、それ以上の回転領域ではエンジン音の室内への透過音をチューニングしたという。ただし吸気音の作りこみなどにはまだ余地が残されているように思う。


ハンドリング、走りの質、快適性に◎

以上に加えてCR-Zでうれしいのがハンドリング、走りの質、そして乗り心地の良さだ。低重心、ワイドトレッド、十分な車体剛性、軽量・高剛性サスペンション、適切な前後の重量バランス、リニアなステアリングフィールを目指した電動パワーステなどに起因して、ハンドリングは直進時に非常に気持ち良く、舵角を与えた場合も適度に抑えられたロールとともに、ドライバーの操作にダイレクトに応えるリニアな操舵フィールを実現している。試乗初日に行った丹沢山系の各種のワインディングロード走行は実に楽しかったし、ブレーキの効きとリニアなブレーキフィールも悪くない。

また十分な車体剛性、適切なタイヤサイズ、ダンパーセッティングなどにも起因し、荒れた路面でもしなやかに、懐の深い乗り味を提供してくれる。首都高銀座周辺、レインボーブリッジの登坂、靖国神社周辺などの凹凸路の乗り心地は下手なセダンより快適だ。またロードノイズも良く抑えられている。必要以上のサイズのタイヤが車種を問わず氾濫する今日、195/55R16 というサイズの低燃費特化でないタイヤを選択したホンダの開発者に拍手を送りたい。快適性、ロードノイズ、しなやかな乗り味はもちろん、スタッドレスタイヤや、摩耗した場合の入れ替え用タイヤのコストなどなどあらゆる角度から見てメリットが大きいからだ。


ところでCR-Zはスポーツカーか?

このように総じて大変魅力的なCR-Zだが、「CR-Zははたしてスポーツカーか」と自問自答される方は少なくないと思う。なぜならスポーツカーの定義は人により千差万別だからだ。ある人にはCR-Zは間違いなくスポーツカーだろうし、別の人にとってはCR-Zはスポーツカーではなく、スポーティースペシャルティーかもしれない。私にとってのスポーツカーは決して絶対性能の高さではなく、運転の楽しさ、心の高まり、人馬一体感、右脳へのアピールなどが大切なポイントだ。その意味からもCR-Zは私にとっては大変よく出来たスポーツカーであり、地球へのやさしさも十分に備えた、エコカー時代にマッチした新世代のスポーツカーの貴重な第一歩だと思う。


CR-Zは誰におすすめ?

そのCR-Zは誰におすすめだろうか? まずは年齢、性別を問わず、これまでにスポーツカーを所有した方、関心のあった方々には是非試してみてほしい。その場合CVT装着車も決して悪くはないが是非6速MT車を試してみてほしい。きっと新しい発見があるはずで、場合によっては代替えや購入に結びつく可能性もあると思う。そのほかに是非おすすめしたいのがこれまで「スポーツカーは格好よくない」と思ってきた20代、30代の独身男女だ。その方々に運転の醍醐味と地球への思いやりが同時に実現できる新しい価値として認めてもらいたいからだ。そして団塊の世代、更にはそれ以上の年代のクルマ好きの人たちの楽しい老後の生活の有効なツールとしても大いに意義があるだろう。かくいう私も大いに買いたい衝動に駆られた。

CR-Zの+と−
+ 斬新で魅力的な内外装デザイン
+ 満足のゆく走りと優れた実用燃費
+ 3モードドライブシステムと6速MTによる運転の醍醐味
+ ハンドリング、乗り心地、静粛性
− 斜め後方視界
− 緊急用としても小さすぎる後席スペース
− 革巻きステアリングホイールなどが上級モデルに限定



小堀和則氏によるCR-Zのメカニズム解説

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動力性能をより高めたハイブリッドシステム

CR-Zは、1バルブ休止機構を採用する1.5リッター直列4気筒SOHC16バルブi-VTECエンジンに、ホンダ独自のIMA(インテグレーテッド・モーター・アシスト)を組み合わせたシンプルなハイブリッドシステムを搭載している。1140?(テスト車)という軽量ボディとあいまって、2リッターガソリンエンジン搭載車なみの加速フィーリングと優れた環境性能を両立したことが特徴だ。  基本構造は、同社のインサイトやシビックハイブリッドと同様で、エンジンやトランスミッションに加え、交流同期式のIMAモーター、パワーケーブル、DC100VのIMAバッテリーやPCU(パワー・コントロール・ユニット)を一体化したIPU(インテリジェント・パワー・ユニット)で構成されている。  ハイブリッドシステムの作動状況についても、インサイトとほぼ同様(図を参照)だが、負荷の少ない低速走行時にモーターのみで走行する低速クルーズモードは採用されていない。この要因は、全気筒休止を可能にしていたVCM(可変シリンダーシステム)を廃止したためだが、ボンネットの位置が低いCR-Zにインサイトよりも排気量の大きいエンジンを搭載するには、シリンダーヘッドの高さを抑える必要があり、スタイリングや走りの力強さを優先させた英断ともいえるだろう。トランスミッションには7速パドルシフト付きCVTのほかに、欧州シビック用(タイプRユーロとは別のもの)をリファインしたという専用設計の6速MTも設定されている。スポーツカーとしての要素をまったく犠牲にしていないことが、その設計からも感じ取れるのである。


スポーツとエコを両立させる3モードドライブシステム

CR-Zの走りに更なる魅力を与えているのが、新開発の3モードドライブシステムだ。これは、パワートレイン、EPS(電動パワーステアリング)、エアコンなどを綿密に統合制御し、スイッチ操作で走りのテイストが切り換えられるというもの。スポーツ走行が楽しめる「SPORT」、燃費と走りをバランスさせた「NORMAL」、実用燃費向上に適した「ECON」という3つのモードが用意されており、様々なシーンに対応可能となっている(制御はチャート図参照)。  また、燃費の状態を照明色で表現したアンビエントメーターやエコドライブ度を採点するECOスコアなど、低燃費運転をドライバーに意識させるコーチング&ティーチング機能もユニークで、6速MT車には、燃費が最もよくなるシフトタイミングを知らせるシフトアップ/ダウン表示灯を採用。その指示に従いシフトチェンジをしていけば、MT車に比べ、10・15モード燃料消費率で2.5?/L上回っているCVT車(MT車:22.5?/L、CVT車:25.0?/L)と同等の実用燃費が期待できるという。  CR-Zに見られるドライブアシストシステムは、ドライバーとクルマの新たなコミュニケーション手段ともいえ、今後、ますます発達していく分野と思われる。


洗練された走りを生み出すボディとシャシー

スポーツカーの基本性能を決めるボディやシャシーの強化も見逃せない。CR-Zではインサイトのシャシーをベースに、フロントサスペンションのロアアームをアルミ鍛造製のロングスパンタイプへ変更。これはトレッドの拡大とともに、1台あたり約4?の軽量化に成功したこだわりのパーツだ。さらにH型トーションビーム式リアサスペンションをワイドトレッド化し、荷室の下にIPUを配置。ショートホイールベースとあいまったパッケージングは、FF車では限界ともいえる60:40の前後重量配分と低重心化を実現し、スポーツシャシーと呼ぶにふさわしい運動性能を手に入れた。  また、高張力鋼板を多用した新設計の軽量・高剛性ボディには、ダンパー取り付け部の強化、テールゲートの全周閉断面化やH型パフォーマンスロッドの装着など、随所に高剛性化を実施。キャビン後方を大きく絞り込むなど、徹底的な空力設計が施されたエアロフォルムは、スポーツカーらしいスタイリングを実現するとともに、走行性能や燃費性能をさらに引き上げる役目も果たしている。  数々のメカニズムを採用したCR-Zは、今までになかったハイブリッドスポーツカーに仕上げられており、「ないものをつくれ」というホンダスピリットが凝縮された一台といえるだろう。

一之瀬なぎさの
セカンドオピニオン

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 経済産業省は、EV(電気自動車)やHV(ハイブリッド)などの環境に配慮した「次世代自動車」の普及を促進させ、2020年の国内における新車販売の占める次世代車の割合を、現在の9%から20%に引き上げる戦略を発表ました(2010年4月13日読売新聞記事)。このように日本の自動車業界が大きく揺れ動いている今、登場したのが、今回のホンダCR−Zなのです。

みんなが待っていたハイブリッドスポーツ!
 ホンダCR-Zは、最新のハイブリットシステムが搭載されていることはもちろんのこと、スポーツモード、ノーマルモード、E-CONモードという、走りの特性の異なる三つのモードが選べます。ですからお好みに合わせて走りのバリエーションを自分好みにデザインし、運転の楽しさを広げる事ができます。
 お勧めの使い方としては、発進時にはスポーツモードに設定し、アクセルを開けることでスポーツカーらしいアグレッシブな走りの爽快感を楽しみ、速度が落ちついたところでノーマルモードに設定し、流れ行く景色やCR-Zの外観に目を止める街の人を視線(!)を感じながら、E−CONモードに設定しエコに貢献する…、という今までにない三通りの走りが楽しめるのです。一台の車で三度美味しい! ハイブリッドカーとして、そんな日常をデザインしてくれる機能が、このCR-Zには搭載されているのです。

新しいカテゴリーを感じさせるスタイル
 2009年の東京モーターショーで絶賛されたCR-Zのエクステリアは、コンセプトカー以上にリファインされて、みんなが期待を寄せていた通りのデザインで製品化されたと思います。疑問が残ったのは、シャークフィンアンテナを標準装備で装着していること。こういった特徴的なものこそオプション設定にしてユーザーに選ぶ楽しさを体感してもらい、個性を主張するアイテムにすればよいと思うからです。

近年の新型車にはない、割り切った室内レイアウト
 インテリアは、運転席、助手席とも安心感のある上質なシートを備え、女性でも十分でゆったりとしたスペースを確保しています。広く大きなフロントウインドーによって、女性ドライバーにも視界の良さが魅力的。やはり2人乗りとして割り切り、贅沢に空間を使うのがCR-Zが目指した方向であることが、今回の試乗で伝わってきました。しかし、その贅沢とも言える余裕感を、インパネ回りにはもっと引き継いでほしかったと思います。金属が持つ独特な質感のあるドアハンドルは新鮮に感じましたが、常に目に入る部分のプラスチックの質感は、もう少し良くして欲しかったなぁ、と正直感じました。また、大型のメーターのイルミネーションは、コバルトブルーのような素敵な色合いで、夜はとてもきれいでした。もし助手席からでも同様に情報を分かち合えるようなメーターの配置になっていたら、イルミネーションも楽しめて、エコ運転について2人の共通の話題づくりにも一役買えたのかな? と思いました。

静粛性の高い室内は快適です!
 CR-Zは、ハイブリッドカーとして考えれば、高速道路や一般道路での走行は十分すぎるレベルで、エンジン音は心地よく室内に響いてきます。それ以外に無駄な音が少なく、オーディオの音もクリアで、静粛性の高さを感じます。例えば悪路の走行では、よくある「ガタガタ」という不快な音はなく、エンジンから発する低音はしっかりと耳に入り、余韻を楽しめるという静かな室内でした。
 世界初ともいえるジャンルのパイオニアとしてデビューした、ホンダCR-Zは単なるスポーティカーというカテゴリーを越えた魅力を持っていると思います。



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