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2020年12月 1日

2020年11月中旬、箱根ターンパイクにてBMWの試乗会が行なわれました。その様子をお伝えします。(レポート:相原俊樹)

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11月中旬のその日、箱根は素晴らしい晴天に恵まれた。BMW(株)が新型4シリーズを中心に、5シリーズや M8など、今年発売のモデルを一挙に揃えた試乗会をここで開催した。

拠点の「アネスト岩田スカイラウンジ(箱根ターンパイク)」に会したBMWは、実に15車種。今年1年のうっぷんを晴らすような豪勢な試乗会で、日頃新型車に触れる機会のない私にとって嬉しいイベントになった。早速その様子をお知らせしよう。

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11月中旬に開催されたBMW試乗会。拠点になった「アネスト岩田スカイラウンジ(箱根ターンパイク)」には今年発売のモデルが勢揃いした。


同社広報のM氏と今年一年をしばし振り返ったのち、最初に迷うことなく選んだのはM440i xDrive。新型4シリーズをベースにしたMモデルで、10月に日本市場に登場したばかりだ。

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数多い選択肢のなかから最初に選んだM440i xDrive。大型化されたキドニーグリルは人によって好みが分かれるかもしれない。


久し振りのBMWゆえ、エンジンの始動に少しばかりまごついた。ドライブセレクターを動かすのはシフトノブの横についた黒いボタンを押すのだった。

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セレクトレバーの運転席側に備わる「UNLOCK」を押しながらドライブモードにシフトする。慣れれば使いやすい。


M440i xDriveは0→100km/hを4.5秒で加速する高性能車だが、アイドリング時の音はことさら猛々しくはなく、駐車場から滑らかに走り出した。

エンジンのスムーズな回転フィール。M440i xDriveの試乗を通じてもっとも印象的だったのがこれだ。3リッターエンジンはわずか1800rpmから500Nmもの最大トルクを生む。これが静止状態から走り始める際の、軽快な動きに貢献しているようだ。ターンパイクの本道に乗り出すと、直列6気筒は伸びやかに回転を上げていき、BMWの伝統が連綿と引き継がれているのを実感する。

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4シリーズの美点である端正なクーペのプロフィールは、しばし目を離せないほど美しい。リヤフェンダーに向かって上昇するショルダーラインは力感を表現し、しかも抑制が利いている。


私は典型的なサンデードライバーで、カーブの連続を高速で走る抜ける腕はない。あくまで自分の技量に見合った運転に徹するのを常にしているのだが、ふとデジタル表示のメーターを見ると、予想をはるかに上回るスピードに達しており、あわててスロットルを緩めた次第だ。

素人でも運転しやすいのは、ステアリングに素直に応じて、コーナーの曲率にピタリとあったラインをクルマの方が辿ってくれるからだと思う。おそらくここではBMWの伝統的な美点の1つである50:50の重量配分が利いているのだろうが、そうした難しいことを乗り手に考えさせることなく、爽快な運転を楽しめるのに感心した。

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BMWに乗り慣れている人なら、とまどうことなく走り出せる運転席周り。ラインナップを通じて各コントロール類の配置を統一するのはドイツ車に共通するよき伝統だろう。


安全機能・運転支援システムの充実振りにも目を見張るものがある。この日の試乗で特に有り難みを感じたのが、ステアリング&レーン・コントロール・アシスト。フロント・ウインドーのステレオ・カメラが車線を検知し、車線の中央付近を走行するようにステアリングを自動でアシストする。

実際、この日の試乗でもセンターラインを踏み越えそうになった瞬間、かなり強い力で舵角を修正するのを実感した。とりわけ夜間のドライブでは心強いデバイスだと思う。

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フルデジタル表示のメーター。昼間時にも視認性は抜群にいい。ナビ情報も整理されてメーターに表示されるのは便利。視線移動が最小限になるので高い安全性に繋がる。


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後部座席はおとなが快適に過ごすのに充分な空間がある。上質な仕上げは1000万円クラスの価格に恥じない。


1850mmの車幅が気にならず、自宅の駐車場に楽に停められる顧客にとって、M440i xDriveは普段の足に供せる高性能クーペだと思う。車両価格は1025万円。すでに全国の正規ティーラーで販売が始まっている。

次に試乗したZ4 sDrive20iには大いに興味があった。現行のZ4にはこれとは別に2997cc直列6気筒のM40iがあるが、こちらは1998ccの直列4気筒。Z4は力に任せて走るのではなく、パワーが過剰でない2リッター程度のエンジンを回して乗りたいという気持ちがあって試乗に臨んだ。

197ps/4500rpmの sDrive20iはその期待に見事に応えた。高回転までよく伸びるし、力不足の感じはまったくない。平均的なドライバーがスポーティーな運転を楽しむにはこれ位がちょうどいい。

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初冬の陽光にブルーの塗色が映えるZ4 sDrive20i。


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幸い試乗当日は温かい日差しに恵まれ、オープンにして走っても少しも寒くなかった。シート後方のウインドデフレクターが効果的に室内への風の巻き込みを防ぐ。(写真:BMW。欧州仕様)


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ソフトトップの開閉はボタン1つで完了、手動操作は一切必要ない。


少々意外だったのは、微速域で8速ATの挙動が少しばかりギクシャクすること。BMWのATは極めてスムーズなシフトが身上なはずで、私のスロットル操作が乱暴だったのだろうか。

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新型Z4の機能的な室内。(写真:BMW。欧州仕様)


いっそsDrive20iにはMTの方が似つかわしいような気がする。繊細な回転フィールの直4の持ち味は、マニュアルシフトでこそ巧く引き出せると思う。

途中で運転を自動車ライターのO氏に代わってもらい、私は助手席に収まった。Z4は運転してこそ楽しいクルマだというのがここでの素直な印象。路面からのショックが思ったよりきついのだ。ターンパイクを外れて、箱根の細い屈曲路を果敢に飛ばすO氏の運転に応えてsDrive20iは快調に走るが、助手席の乗り心地は視線が地面に近いこともあって、スポーツカーそのものだった。

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試乗車はミシュラン・パイロット・スーパースポーツXというタイヤを履いていた。


Z4のなかでもsDrive20iに話を限るなら、もっとしなやかに伸び縮みする足回りでもいいかもしれない。硬派のスポーツカーというより、快適な2座席オープンカーとしての性格付けの方がわかりやすい。

以上、ないものねだりの試乗記になったが、それもこれもsDrive20iの出来が非常にいいから。価格も566万円で、M40i(835万円)との値差も大きい。Z4の購入を検討していて6気筒エンジンに固執しない向きは、両車を試乗するといいだろう。

この日は上に記した2台以外にも最新のBMW計4台に試乗することができた。ていねいにアテンドしてくれたスタッフ一同に感謝しつつ、私は夕闇が迫りつつある箱根をあとにした。