1号車「MOTUL AUTECH GT-R」の松田次生/ロニー・クインタレッリがドライバー部門で2連覇を達成したほか、チーム部門でもNISMOが2連覇を果たすなど、2015年のスーパーGTで大きな飛躍を果たしたニッサン勢だが、その後のシーズンでは苦しい戦いを強いられていた。
2016年は3連覇を狙うNISMOの1号車「MOTUL AUTECH GT-R」、松田次生/ロニー・クインタレッリが開幕2連勝を果たしながらも、その後は苦戦が続いたことから、1号車「MOTUL AUTECH GT-R」の松田次生/ロニー・クインタレッリのランキング3位がニッサン勢の最上位となったほか、2017年も23号車「MOTUL AUTECH GT-R」の松田次生/ロニー・クインタレッリは最終戦のツインリンクもてぎでポール・トゥ・ウインを達成しながらもランキング2位に惜敗した。さらに2018年も第2戦の富士スピードウェイを制した23号車「MOTUL AUTECH GT-R」の松田次生/ロニー・クインタレッリがニッサン勢の最上位となったが、ランキング8位に留まっており、ライバル陣営から大きく離されていた。
ニッサン勢の低迷期はその後も続いた。2019年も23号車「MOTUL AUTECH GT-R」の松田次生/ロニー・クインタレッリがニッサン勢の最上位となるランキング3位でフィニッシュしたが、勝利を挙げることなくシーズンを終えた。
さらに新型コロナウイルスの影響により、富士スピードウェイ、鈴鹿サーキット、ツインリンクもてぎの3コースだけを使用して変則的に争われた2020年も23号車「MOTUL AUTECH GT-R」の松田次生/ロニー・クインタレッリが第3戦および第6戦の鈴鹿サーキットを制するなど、2勝をマークして、ニッサン勢の最上位でシーズンを終えたものの、タイトル獲得は果たせずにランキング6位に終わっていた。 そして、R35型GT-Rのラストシーズンとなった2021年も、NISMOの23号車「MOTUL AUTECH GT-R」の松田次生/ロニー・クインタレッリが第3戦の鈴鹿サーキット、TEAM IMPULの12号車「カルソニック IMPUL GT-R」の平峰一貴/松下信治が第5戦のスポーツランドSUGOで勝利を獲得したが、タイトル獲得には至らず、12号車「カルソニック IMPUL GT-R」の平峰一貴/松下信治がランキング8位、23号車「MOTUL AUTECH GT-R」の松田次生/ロニー・クインタレッリがランキング9位でシーズンを終えている。
こうして2008年にデビューしたR35型GT-Rは、有終の美こそ飾れなかったが、13年間に5回のドライバーチャンピオン(2008年/2011年/2012年/2014年/2015年)と41勝をマークした。2021年に惜しまれつつ引退することとなったが、スーパーGTにおけるニッサンの活動を受け継ぐことになったのが、RZ34型Zをベースとしたニューマシン、ニッサンZ GT500だった。
同モデルは文字どおり、2022年に発売された新型Zをベースとしたマシンで、ベース車両のエクステリアを活かしたエアロダイナミックスを開発。市販モデルは3000ccのV型6気筒ツインターボ、VR30DDTT型エンジンが搭載されているが、GTマシンには規則によりNISMOがレース用に開発した2000ccの直列4気筒ターボ、NR4S21型エンジンが搭載されており、R35型GT-RをベースとしたニッサンGT-R NISMO GT500で培った技術をキャリーオーバーしながらも、軽量化やエンジンの燃焼特性の改善、各種制御定数の最適化、冷却性能の向上などアップデートが行われており、ニッサン勢は同モデルを武器に素晴らしい走りを披露していた。
2022年もNISMOの23号車「MOTUL AUTECH Z」を筆頭に、NDDP RACINGの3号車「CRAFTSPORTS MOTUL Z」、TEAM IMPULの12号車「カルソニックIMPUL Z」、KONDO RACINGの24号車「リアライズコーポレーションADVAN Z」と計4台の新型ZがGT500クラスにエントリー。 そのなかで幸先の良いスタートを切ったのが、23号車「MOTUL AUTECH Z」の松田次生/ロニー・クインタレッリで、開幕戦の岡山国際サーキットで3位に入賞。Z GT500のデビュー戦でポディウムフィニッシュを達成した。 続く第2戦の富士スピードウェイでは、12号車「カルソニックIMPUL Z」の平峰一貴/ベルトラン・バゲットが3位で表彰台を獲得。さらに第3戦の鈴鹿サーキットでは、3号車「CRAFTSPORTS MOTUL Z」の千代勝正/高星明誠がZ GT500での初優勝を獲得するなど、ニッサン勢はニューマシンを武器にトップ争いを沸かせていた。 その勢いは中盤戦になっても衰えることはなかった。第4戦の富士スピードウェイで12号車「カルソニックIMPUL Z」の平峰一貴/ベルトラン・バゲットが2位、24号車「リアライズコーポレーションADVAN Z」の佐々木大樹/平手晃平が3位入賞を果たすなどニッサン勢がダブルポディウムを達成。第5戦の鈴鹿サーキットでは23号車「MOTUL AUTECH Z」の松田次生/ロニー・クインタレッリが予選でベストタイムをマークしたほか、決勝では12号車「カルソニックIMPUL Z」の平峰一貴/ベルトラン・バゲットが最後尾からの劇的な逆転でシーズン初優勝を獲得した。 続く第6戦のスポーツランドSUGOで、トップ争いを支配したのは3号車「CRAFTSPORTS MOTUL Z」の千代勝正/高星明誠でシーズン2勝目を獲得。さらに23号車「MOTUL AUTECH Z」の松田次生/ロニー・クインタレッリが2位に入賞するなど、Z GT500は日本の主要サーキットを次々に攻略する。 第7戦のオートポリスでは24号車「リアライズコーポレーションADVAN Z」の佐々木大樹/平手晃平が予選でトップタイムをマークし、ポールポジションを獲得。決勝では優勝こそ果たせなかったが、24号車「リアライズコーポレーションADVAN Z」が3位で表彰台を獲得した。
そして最終戦となる第8戦のモビリティリゾートもてぎでは、12号車「カルソニックIMPUL Z」の平峰一貴/ベルトラン・バゲットが2位で表彰台を獲得し、平峰一貴/ベルトラン・バゲットがドライバー部門で初めてタイトルを獲得した。同時にTEAM IMPULがチーム部門で27年ぶりにチャンピオンを獲得するなど、Z GT500がデビューイヤーで二冠を達成した。







