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2019年4月24日

JAIA輸入二輪車試乗会・展示会が開催されました。その様子をお伝えします。(レポート:小林謙一、写真:相原俊樹)


モーターサイクル・シーズンの到来を告げる恒例のJAIA輸入二輪車試乗会・展示会が、今年も2019年4月3~4日にかけて開催された。場所は大磯プリンスホテル敷地内のロングビーチ駐車場。私は初日に参加して、お目当てのモデルに試乗することができたので、そのインプレッションをここに書いておきたい。

当日は晴天に恵まれて、絶好の試乗会日となった。

① BMW F750 GS
近年世界的なブームとなっているクロスオーバータイプに対するBMWの回答はBMW R1200 GSであると思う。しかし1200 GSに比べて排気量も含めて、このモデルはずっと小柄であり日本人には手ごろな大きさである。エンジンは853ccの並列2気筒で、77ps。ポジションは幅の広いセミアップハンドルによって、非常に楽で疲れない。トルクも十分で街乗りや日帰りツーリングには最適なモデルと思う。

GSらしいBMWの好ましいデザイン。

② BMW 850 GS
このモデルはBMW F750 GSのさらにヘビーデューティ版で、前後ともスポークホイールを装着し、悪路走行にもしなやかな柔軟性を持たせているという。エンジンはBMW F750 GSと同型の853cc並列2気筒エンジンだが、95psまで馬力をアップしている。走り出すとBMW F750 GSと高速走行も含めてそれほど大きな違いは感じられなかった。ただ、カタログに書かれている815mmのシート高は、身長176cmの筆者には思っていた以上に高いのが難点のひとつで、乗車してしまえば気にならないが下車する時には非常に気を使った。

この850GSのマフラーは交換されていた。
タイヤ・ホイールの他、細部の異なる750GSと850GS。

③ドカティ・ムルチストラーダ1260エンデューロ
デザインはイタリアンで好ましく、質感も高く、標準装備のスマートキーは便利で実用的に思えた。1262ccのL型Vツインエンジンは、吹き上がりもスムーズでトルクも十分、楽なポジションと共にシフトチェンジも楽しい。ブレンボ製のフロントブレーキも強力で232kgのボディを見事に制御してくれる。長距離ツーリングには絶好のモデルと感じたが、排気量をこだわらなければ日本人には、少しお手ごろな価格の950ccのモデルをお勧めしたい。

1260エンデューロは思っていた以上に巨大なオートバイだった。
最右が950ccモデル。
この950ccのタイプは車重も軽く、扱いやすい。

④トライアンフ スクランブラー
昨年と同様に今年度もトライアンフに試乗した。スクランブラーモデルはネオクラシックともいえる好ましいデザインで、近未来的なデザインのオートバイが増える中で、気軽なスタイルで乗れる一台であることは間違いない。水冷900ccの並列2気筒エンジンは、65psの出力であるが、ツインらしい乗り味が十分に残されており、水冷であるがエンジン音も好ましい音質である。シートも座面は柔らかいが、しっかりしていて長距離のツーリングにも効果を発揮するだろう。トライアンフのモデルは各部品の仕上がりがきれいで質感が高いのも個人的に好きな理由のひとつ。

⑤トライアンフ・THRUXTON R
トライアンフが開発したここのところブームになっているカフェ・レーサー仕様のモデルで、シングルシートに低いポジションなど、当時の雰囲気を見事に継承している。しかしフロントには倒立フォークを採用するなど、現代技術が盛り込まれた現代版カフェ・レーサーである。水冷の並列1200ccエンジンは、900ccモデル以上にトルクとパワーがあり、低速から高速までどのギアでも加速を始める。回頭性も優れていて、ワインディングロードなどでは、このモデルの本領を発揮できることは間違いないだろう。今後、カフェ・レーサーに一度乗ってみたいと考えておる人には、まずこのモデルに試乗して、トライアンフ独特の乗りやすさを体感して検討していただきたいと感じた。

※今回の試乗で、特に感じたことを書いておきたい。ここ数年、この試乗会に参加させていただいて気になることは、年々各社のオートバイがグレードアップして、エンジンもそのボディサイズも少しずつ大きくなってきていることである、身長176cmの筆者は、リターンライダーではなく、16歳で二輪車免許を取得してから常に数台のオートバイを所有して40年以上も乗り続けているので、二輪経験は少ない方ではなく、どんなオートバイでも大体乗ってきた経験がある。
しかし、ここのところのオートバイの大型化は、プレミアム感をさらにアップさせたい、高級に進化させなければならない……などのメーカーサイドの思惑は理解できるが、逆にオートバイに乗りたい、所有したいと思っている人に対して購入を躊躇させてしまっているのではないか? と危惧しているのである。
日本人にとっては、シート高が高すぎると思われるモデルが多くなり、同様にマシンの重量も装備も関係して重量を増している。日本人の平均的な身長が男性で170cm程度だと考えると、高いシート高は、足付き性が悪く、加えて装備重量で250kgを越える車重は、気軽に乗る、というわけにはいかないと思う。筆者は車重250kgを越えるリッターバイクと、160kg程度の800ccクラスのオートバイを所有しているが、実際の街乗りには圧倒的に取り回しの良い800ccのモデルの方を使っている。
概して大型バイクの車両価格も相応に上昇傾向にあるようだ。仮に総額200万円程度のオートバイを購入するには、若い人には相当ハードルは高いはずで、多くは比較的収入の高い、年齢の高い方が大型のオートバイの購入層であると考えられる。そのなかには、最近のオートバイの足付き性の悪さゆえ、購入をためらっている向きも多いのではないだろうか。
ここで提案したいのだが、可能であるならば、メーカー各社にはぜひとも低いシートもしくはシート高を低めることが可能な短いリアサスペンションをオプションとして積極的に設定していただきたい。どんな大型バイクでも両足さえしっかり着けることができれば、ライダーにとっても大きな安心感になり、購入に躊躇する必要がなくなり販売につながるはずだと確信している。

早いものでこのJAIA輸入二輪車試乗会も今年で第5回目を数えるという。私のようなモーターサイクル好きにとって、最新の輸入モデルを一気に体験できるたいへん有りがたいイベントだ。来年もぜひ参加したいと思う。

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