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2012年5月31日

◆このたび、マツダルマン優勝20周年記念して、『マツダチーム ルマン初優勝の記録 ロータリーエンジンによる戦い 1979-1991』を出版いたしました。その刊行までのいきさつをお伝えします!

『マツダチーム ルマン初優勝の記録 ロータリーエンジンによる戦い 1979-1991』
刊行までのいきさつ

まずこの本の生い立ちからご説明しましょう。この本の底本は、マツダがルマンに優勝した1991年にまとめられたもので12月20日に初版が刊行されています。本文中に収録されている「ロータリーエンジンの技術的変遷」は当事者であったマツダRE設計グループの船本準一氏が、そして優勝までの12年間の軌跡を語った「ルマン挑戦の歴史」に関しては、当時マツダスピードの事業部に務める三浦正人氏の執筆によるものです。また本文全体は、数多くの自動車歴史関係書を出版されている桂木洋二氏が執筆・監修されています。マツダチームがルマンに優勝したのは同年の6月ですから、当時のレースに携わった関係者が優勝の興奮も冷めやまないうちにまとめられていることになり、内容的にも価値あるものと考えていました。

そしてこのたび、マツダから2012年6月をもって、開発から50年以上にわたって熟成を重ねてきたロータリーエンジンの生産を一次休止することが突然発表されました。引き続きロータリーエンジンの研究は続けるとのコメントでしたが、世界で唯一の自動車量産エンジンであっただけに非常に残念な事です。ご存知の通りヴァンケル型ロータリーエンジンは、ドイツで生まれ日本で本格的な量産エンジンとして完成されたエンジンです。エンジンの吹け上がりも走りのフィーリングも他に類のない、アメリカでは”ロータリーロケット”とも称される独特なものでした。当然ですが日本にもロータリーエンジンのファンは多く、そうしたファンの方々に向けて本書『マツダチーム ルマン優勝の記録』の再刊を計画しました。調べてみると初版本は発売から数年間は販売されていたのですが、品切れた後は、再版されませんでした。初版刊行から20年を経過した2011年から作業を開始して、2012年に出版するにあたっては、執筆者及び関係者のご協力をいただいて、部分的な修正を加えるのみとし、当時のオリジナルの良さを忠実に守ることを編集方針としました。また、白度の高い紙を使用することで写真の再現性を若干ですが高めています。

長い歴史の中でも国際レースであるルマンにおいて日本のメーカーが優勝したことは、唯一無二です。当然のことながら、ルマン優勝までには多くの苦難と関係者の努力があります。レースで勝つことは簡単なことではありません。ですからロータリーエンジンファンの皆様には、ロータリーエンジンの優秀性を世界に示したこの挑戦記をぜひ一度読んでいただきたいと思っています。
そしてこの世界に類のないロータリーエンジン車を今も所有している方、また最後の量産モデルとなったRX-8を購入されこれから乗られる方は、これからも末永く大切にしてください。

小林謙一

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