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第110回 RJC カーオブザイヤー
2019.12.27

私の所属するNPO法人日本自動車研究者・ジャーナリスト会議(RJC)は、12月16日に「2020年次RJCカーオブザイヤー表彰式」を行い、「RJCカーオブザイヤー」は日産デイズ/三菱ekワゴンに、「RJCカーオブザイヤー・インポート」はBMW 3シリーズに、「RJCテクノロジーオブザイヤー」は日産スカイライン(ハイブリッドモデル)に搭載の「プロパイロット2.0」に、そして「RJCカーオブザイヤー特別賞」は急速充電規格「CHAdeMO」(チャデモ)に授与された。

RJCカーオブザイヤーの選考手法は、まずそれぞれのカテゴリーの6ベストを10月末までに投票で選び、その後6ベストを関係各社にツインリンクもてぎに持参いただき、ツインリンクもてぎ内にRJCが設定している評価コース(一般道)で各車を評価して最終投票を行うもので(今年は11月12日)、これまでの経験からこの最終投票に際しての比較評価は非常に価値があると考えてきたが、今回私はアメリカ行きのスケジュールとバッティングしたためもてぎには行けずそれまで試乗評価してきた内容をもとに事前投票を行った。

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表彰された各社

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日産デイズ

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三菱ekクロス

≪RJCカーオブザイヤー≫
6ベストは、日産デイズ/三菱ekワゴン、ダイハツタント、ホンダN-WAGON、MAZDA 3、トヨタRAV 4、日産スカイラインとなったが、最終評価で日産デイズ/三菱ekワゴンが最高得点(224点)を獲得、RJCカーオブザイヤーを受賞した。
授賞理由
新開発のプラットフォーム、パワートレインの採用により、優れた居住性、積載性を実現するとともに、走行性能、環境性能も向上。また軽自動車では初めて先進運転支援システム「プロパイロット」(三菱名「マイパイロット」)を搭載することでドライバーの負担を軽減し、軽自動車の活用領域を大きく広げた。

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≪RJCカーオブザイヤー・インポート≫
6ベストは、BMW 3シリーズ、ボルボV60 Cross Country、BMW 1 シリーズ、レンジローバーイヴォーグ、BMW Z4、VWゴルフ(ディーゼルエンジン搭載モデル)で、この中からBMW 3シリーズが最高点(245点)を獲得、RJCカーオブザイヤー・インポートを受賞した。
授賞理由
定評あるミドルクラスのスポーティセダンとして、高い走行性能を実現するとともに、先進安全装備も充実。特に日本で初認可されたハンズオフ・システムやリバースアシスト・システム、AIを活用したインテリジェント・パーソナルアシスト等の採用により、日常域での使い勝手や安全性も高めた。


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≪RJCテクノロジーオブザイヤー≫
6ベストは、日産スカイライン(ハイブリッドモデル)搭載の「プロパイロット2.0」、BMW 3シリーズの「日本初認可ハンズオフ・システム」、ダイハツタントの「DNGA (Daihatsu New Global Architecture)」、MAZDA 3/MAZDA CX-30の「スカイアクティブ ビークル アーキテクチャー」、トヨタRAV 4の「ダイナミックトルクベクタリング AWD」、BMW 3シリーズの「日本初リバースアシスト・システム」で、この中から「プロパイロット2.0」が最高点(245点)を獲得、RJCテクノロジーオブザイヤーを受賞した。
授賞理由
カメラ、レーダー、ソナーに加え、GPS、3D高精度マップのデータも活用することで、高速道路上の同一車線内でのハンズオフを可能にするとともに、追い越しを含めた車線変更、分岐などの走行も支援。また道路状況をカーブの先まで高精度に把握し、安定してスムーズな走行を可能にし、ドライバーの負担を大きく軽減させた。


≪カーオブザイヤー特別賞≫
急速充電規格「CHAdeMO」がRJCカーオブザイヤー特別賞を受賞した。
授賞理由
世界に先駆けて設定された急速充電規格で、その優れた企画内容によりCHAdeMO充電器を着実に世界に広めている。また急速充電の大出力化に取り組むなど進化を続けており、世界的な電気自動車の普及に大きな役割を果たしている。


受賞各車、技術に対する私の評価

日産デイズ/三菱eK(イーケイ)ワゴン
2代目となるこのモデルは日産が開発を担当してパワートレイン、プラットフォームを一新するとともに先進運転支援装備プロパイロットを軽自動車として初搭載、内外装デザイン、室内居住性の大幅改善、走りの進化も含めて非常に魅力的な軽自動車に変身、生産は三菱の水島工場で行われる。

躍動感と精度感をキーワードにつくり込まれた外観スタイルはいずれもなかなか魅力的で、私は特に三菱ekクロスの外観スタイルに心がひかれた。インテリアも、質感、使い勝手などを含めて大変好感がもてる上に、65mm拡大されたホイールベースも貢献して室内空間が一段と向上、中でもフーガ並みという後席の膝前スペースは「これが軽か?」と疑いたくなるほどのものだ。

動的性能も良好だ。S-HYBRIDシステムによるモーターアシストも貢献して、自然吸気でも充分に満足のゆく走りを示してくれるとともに、ターボ仕様の走りは一段と良好。改善されたCVTの制御にも起因してエンジン騒音もほとんど気にならなかった。ステアリング・ハンドリングは、リニアリティーも良好、ロールもそれなりに抑えられており、ワインディング路の走行も苦にならない。

「プロパイロット」による交通渋滞、長距離ドライブなどにおけるドライバーの負担軽減も明らかで、ハイビームアシスト、アラウンドビューモニター、先進事故自動通報システム(SOSコール)などを含む安全への配慮(詳細は略)も新型デイズ/eKワゴンの特色だ。

〝技術の日産"が、その技術と情熱で、日本の軽自動車の常識を変えるべく開発に取り組んだ商品です。私達日産は、Game Changer(これまで当たり前だった状況を一変させる商品)として軽市場を変革して参ります″という星野朝子副社長の言葉も印象的だ。

新型BMW3シリーズ
BMWの 3シリーズは1975年に初代導入以来の累計生産台数が1,500万台を超え、世界市場はもちろん、国内でもまさにBMWの基幹車種であるとともに、スポーツセダンの代表選手ともいえるモデルだ。

7代目となる新型3シリーズには、5月に新世代クリーンディーゼルエンジンと四輪駆動システムを搭載した"320d xDrive"も追加導入された。新型3シリーズのベースモデル320iのエンジンは、日本の道路事情、顧客の要望、日本市場の重要性を踏まえた日本市場専用とのこと。新型3シリーズの外観スタイルはキドニー・グリルが一体化されるとともに、全体的によりアグレッシブで魅力的なデザインとなり、内装もフル・デジタル・メーターをはじめドライバーの操作性を重視したより機能的な空間となった。

試乗した"330i MSport"には、2 L直列4気筒エンジンにツイン・スクロール・ターボ過給システム、高精度ダイレクト・インジェクション・システムなどが組み合わされ、低速から高速までの走りは実に爽快だ。"320d xDrive MSport"には、低回転と高回転で切り替わる2ステージ・ターボ・システムを採用した新世代クリーン・ディーゼルとBMWの4輪駆動システムxDriveが組み合わされており、満足のゆく走りを体感することができた。

7代目は先代と比べ55kgの軽量化がはかられ、加えてサス周りの剛性は50%もアップされているとのこと、これらの改善も貢献してか、試乗した両モデルのハンドリングのリニアリティーの高さと気持ち良さにも感銘、総じて新型3シリーズがクルマ好きの人達のファミリーカーとして大変魅力的なスポーツセダンに仕上がっていることを確認することが出来た。

走りだけではない。3眼カメラ、高性能プロセッサー及びレーダーにより、正確なレーン・キープ、より離れた場所の危険予測、広い視野での危険予測が可能となる運転支援システムが3シリーズの量産グレードに「標準装備」され、高速道路渋滞時に機能するハンズオフ機能、35km/h以下の走行時に直前の50mを自動でもどってくれるリバース・アシスト機能などの運転支援機能も多くのユーザーにとって大変魅力的なものとなろう。

プロパイロット2.0
スカイライン・ハイブリッドに標準装備される日産の先進運転支援システム「プロパイロット2.0」は、3次元地図データの活用、7個のカメラ、5個のミリ波レーダー、12個のソナーなどを使ったもので、高速道路の複数車線を、ナビゲーションと連動して設定したルートを走行、「3D高精度地図データがあり、中央分離帯があり、制限速度内」ならば、ドライバーが前方に注意して状況に応じてハンドルを操作できる状況下においては、完全にハンドルから手を放した状態での(ハンズオフ)走行が可能となる世界初の運転支援システムだ。

前方の車両の速度が遅い場合にシステムが追い越し可能と判断すると、ディスプレーと音でドライバーに追い越しを提案、ドライバーがハンドルに手を添えてスイッチ操作すると右側への車線変更を自動で行い、追い抜きが完了すると同様の操作で元の車線に戻る。混雑した高速道路における長距離走行におけるこのシステムのメリットは大きく、ドライバーの疲労削減、事故削減にも間違いなく貢献するはずであり、何らかの方法で事故率低減の予測が出来れば、このシステムの普及に大きく貢献するだろう。今後色々な車種に拡大展開してゆくためには、システムの更なるコストダウンが大きな挑戦課題だと思うが、日産は必ずなし遂げるものと確信するし、より多くのユーザーの安全のために更なる普及をユーザーを代表して期待したい。

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執筆者プロフィール

1941年(昭和16年)東京生まれ。東洋工業(現マツダ)入社後、8年間ロータリーエンジンの開発に携わる。1970年代は米国に駐在し、輸出を開始したロータリー車の技術課題の解決にあたる。帰国後は海外広報、RX-7担当主査として2代目RX-7の育成と3代目の開発を担当する傍らモータースポーツ業務を兼務し、1991年のルマン優勝を達成。その後、広報、デザイン部門統括を経て、北米マツダ デザイン・商品開発担当副社長を務める。退職後はモータージャーナリストに。共著に『マツダRX-7』『車評50』『車評 軽自動車編』、編者として『マツダ/ユーノスロードスター』、『ポルシェ911 空冷ナローボディーの時代 1963-1973』(いずれも三樹書房)では翻訳と監修を担当。そのほか寄稿多数。また2008年より三樹書房ホームページ上で「車評オンライン」を執筆。

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