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第101回 Consumer Reports
2019.3.27

アメリカのConsumer Reports (以下CR)は1936年に創刊された消費者向けの雑誌で、現在の発行部数は雑誌が400万部、WEB版と合わせると730万部ともいわれ、毎年発行される自動車特集号は中でも発行部数が最も多いという。モデル毎の信頼性のデータや顧客満足度は読者(今年は47万人)から入手して分析するとともに、327エーカーのテストコースも所有し、毎年50台程度の新車をCRを名乗らずに販売店から購入、50項目にも及ぶ商品性評価を行う。広告を一切取らないためメーカーに対する遠慮が全くないのも特色で、永年購入者にとって非常に貴重なガイダンスとなってきた。今回は最新号の2019年4月発行の Auto Issue(自動車特集号)の内容をかいつまんでご紹介したい。

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Consumer Reports 2019 Auto Issueの記事内容
まず冒頭に今回の同誌に含まれている主な記事内容をご紹介すると、
1. 歩行者にとって安全な世界に
2. CRが選んだトップ10車種
3. ブランドランキング
4. ベスト&ワーストリスト
5. 登場への期待が大きいクルマ
6. SUVかピックアップ、どれを選ぶ?
7. New Car Ratings (251車種に対する項目別評価)
8. New Car Profiles(260車種に対するCRとしての商品紹介)

となるが、以下はCRのプレジデント&CEO Marta Tellado女史からの冒頭のメッセージだ。『市場における厳しい競合や顧客からの声などにも起因し、クルマの進化は著しいものがあり、安全装備も充実してきているが、クルマとぶつかる歩行者の数は近年増加傾向にある。その大きな要因がスマホにあり、歩行者検知機能などの安全装備が全てのクルマに装備されることが求められている。なぜなら人命を守るための装置は決して「豪華装備」ではないからだ。』

How the Brands Stack Up
次にHow the Brands Stack UPのチャートをごらんいただきたい。これはどの会社のどのブランドが良好な性能、商品性、信頼性を備えるとともに顧客満足度が高いかというブランドランキングで、今回スバルが前年比6ランクアップし1位に輝くとともに、レクサス(前年比1ランクダウンの5位)、マツダ(前年比7ランクアップの6位)、トヨタ(前年比1ランクアップの9位)と合計4つの日本ブランドがトップ10に入っている。ただし日産が21位、三菱が30位といずれも前年と同じ下位のランクに甘んじているのが一寸心配だ。また2013年にはトップ10の中に8つの日本ブランドが入っていたが、その後徐々に韓国車やドイツ車が上位に入ってきていることにも留意する必要がありそうだ。

このチャートの総合得点(Overall Score)は、同一ブランドで少なくとも2車種以上CRが実車評価した商品の評価点、顧客調査に基づく信頼性予測と顧顧客足度、それに各種安全装備とクラッシュテスト結果を総合して計算するとのこと。

昨年1位だった韓国のGenesis(Hyundaiのプレミアムブランド)に代わり今回スバルが6ランクもアップして1位となったことについてCRは「今年のスバルの大躍進の原動力は新型アセントに加えて、クロストレック、フォレスターなどのSUVがそれぞれのカテゴリーでトップに輝いていることが大きな要因だ。Road-test scoreだけ見ればポルシェとBMWの方が高いが、スバルの信頼性に対するスコアーの高さがスバルを1位に引っ張り上げている。ただしWRXの信頼性データは平均値をかなり下回っている。」と述べている。

今年最も順位が上昇したのはMiniで10ランクアップしているが、その最大の要因は信頼性によるもので、同様にリンカーンもコンチネンタルセダンの信頼性データの向上に起因して9ランクアップしている。ランクが最も下がったのはクライスラーとテスラで、いずれも11ランクダウンしている。ただしテスラのように車種が少ないブランドの場合、一つのモデル(今回の場合モデル3)の評価が下がることにより大きくランクが下がってしまうことは避けられない。

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Best New Vehicles Under $30,000
このチャートは3万ドル以下のクルマのカテゴリー別のCRのお勧め車種で、アルファベット順に並べられている。今回CRが取り上げている車種全体の平均価格は約$35,000強とのことだが、3万ドル以下でも十分に満足のできるモデルが入手できるというのが、このチャートの意味するところようだ。合計40車種のうち、日本車が26車種と最も多く、次いで韓国車が9車種、ドイツ車が2車種、アメリカ車が1車種だ。ブランド別では車種の多いトヨタ、ホンダが7車種あるのは不思議ではないが、ここでもスバルにはサブコンパクトに入る車種がないので、サブコンパクトを除き6つのすべてのカテゴリーでお勧めモデルに入っていることに注目したい。

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10 Top Picks
CRによる50台の新車のテスト結果、安全装備の充実度合いと政府機関などによるクラッシュテストの結果、更には顧客調査による信頼性予測と顧客満足度などを合わせて総合評価を行うことはすでに述べたが、それに加えてCRの専任スタッフによる判断も合わせてTop Picksを年に一度選択した結果がこの10台で、今回はそのうち8台のクルマの評価点と短評をご紹介したい。

Midsized SUV: Subaru Ascent
価格:$43,867
Overall Score: 96
Road Test: 93
燃費:22mpg (9.4km/L)
信頼性:平均値より大幅に良い
顧客満足度:平均値より大幅に良い
3列シートのスバルアセントは、スムーズなエンジン回転、快適な乗り心地、機能的なインテリア―などが魅力点で、4気筒ターボエンジンは非常に高性能で大半のスバル同様全輪駆動だ。サスペンション機能は一部の高級車よりも良好で、乗り心地の良さは特筆に値する。室内はクラスベストでシートも快適で体に優しい。3列目のシートは操作しやすく、車載インフォテインメントが、大きなワンタッチスクリーン、分かりやすいボタンにより使い易いのもいい。

Midsized Car: Toyota Camry Hybrid
価格:$28,949
Overall Score: 88
Road Test: 89
燃費:47mpg(20km/L)
信頼性:平均値より良い
顧客満足度:平均値より良い
このモデルは我々のテストで47mpgという燃費を記録するとともに、ハイブリッドシステムはドライビング性能も良好で、バッテリーによるトランクスペースの犠牲もほとんどない。0-60mphの加速はレギュラー4気筒エンジン(燃費は32mpg)よりかなりよく、乗り心地も快適でハンドリングも良好だ。人目を惹く角張ったセンターコンソールにはApple CarPlayが装着され、通行人検知、車線逸脱警報は標準装備。

Compact Luxury Car: Audi A4
価格:$48,890
Overall Score: 80
Road Test: 88
燃費:27mpg(11.5km/L)
信頼性:平均値より良い
顧客満足度:平均値より良い
アウディA4はハンドリングの良さにも起因し非常に満足度の高いスポーツセダンだ。室内は静かな上に質感も高く、前席は快適でサポート性も良好だ。ただし後席はやや狭い。オプションのバーチャルコックピットによりインパネをトリップ情報、オーディオ操作、電話、ナビゲーションなどに活用できる。サスペンションは荒れた路面もスムーズに走破してくれる上に4気筒のターボエンジンは十分なパワーに加えてレスポンスも良好だ。

Subcompact Car: Toyota Yaris
価格:$17,570
Overall Score: 65
Road Test: 60
燃費:35mpg(14.9km/L)
信頼性:平均値より良い
顧客満足度:平均値
マツダが生産してトヨタのチャンネルで販売されているトヨタヤリスは、購入しやすい価格と運転することの楽しさを備えたクルマだ。2019年モデルでは室内の質感が向上し、自動の空調も装備された。乗り心地とハンドリングもこのクラスとしては上出来で、4気筒エンジンと6速ATもよく、活気に満ちたクルマだ。またこの価格帯にも関わらず低速AEB(自動緊急ブレーキ)が標準装備なのも評価したい。

Subcompact SUV: Hyundai Kona
価格:$25,025
Overall Score: 73
Road Test: 71
燃費:26mpg(11.1km/L)
信頼性:平均値より良い
顧客満足度:平均値
ヒュンダイコナは成長中の小型SUVカテゴリーの新型車で、ファッショナブルな外観スタイルと魅力的な内装が特徴だ。車高にも起因し前席の居住性と室内の実用性は良好で、インフォ―テインメントシステムはAndroid AutoとApple CarPlayが利用可能だ。コンパクトながら分割式後席も含めて使い勝手が良好で、ハンドリングも良好で乗ることが楽しく、衝突警報、緊急ブレーキ、車線保持アシストが標準装備なのもいい。

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Large Car: Toyota Avalon Hybrid
価格:$38,643
Overall Score: 98
Road Test: 93
燃費:42mpg(17.9km/L)
信頼性:平均値より大幅に良い
顧客満足度:平均値より大幅に良い
新型トヨタアバロンはアキュラTLXやレクサスESなどのラグジャリーセダンにとって代わりうるセダンで、中でもハイブリッドバージョンは居住性、快適性、燃料経済性などが大きな魅力だ。内装の質感は上級車並みで、前後シートも快適だ。オプションのハイブリッド仕様は加速、燃費共に良好で、CRのハイウェイテストでは52 mpgを記録した。きびきびしたハンドリングと乗り心地も良好、高級ブランド車と真っ向から戦えるクルマだ。

Hybrid/Electric: Toyota Prius
価格:$27,323
Overall Score: 78
Road Test: 75
燃費:52mpg(22.1km/ L)
信頼性:平均値より大幅に良い
顧客満足度:平均値より大幅に良い
今回トヨタプリウスはTop Picks戻ったがこれが16回目となる。プリウスの魅力は何といっても燃費にあり、現行モデルは総合で52mpg、ハイウェイでは59mpg(25.1km/L) を記録した。ただし燃費だけが魅力はではなく,信頼性と顧客満足度も非常に高い。2019年からはAWDも加わり一段と魅力が増した。良好な室内居住性に加えて荷物の積載性も改善、前方衝突警報、車線逸脱警報、車線保持アシストが標準装備される。

Compact SUV: Subaru Forester
価格:$29,341
Overall Score: 89
Road Test: 90
燃費:28mpg(16.2km/L)
信頼性:平均値より良い
顧客満足度:平均値より良い
スバルフォレスターは非常に多様性にすぐれたモデルで、ルーミーなインテリア―は大変機能性が高い。2019年に導入された新型はデザインの変化はそれほど感じられないが、静粛性が向上、走りは突出していないが燃費はトップクラスだ。乗り心地は良好でハンドリングもいい。ドアが大きく乗降がしやすくガラス面積も広く視界も良好だ。前方衝突警報、車線逸脱警報、車線保持アシストが標準装備される。

"Recommended"(おすすめ)車種の比率の高いブランド
最後にCR自身がテストを行った各ブランドの車種の中で"Recommended"(おすすめ)比率の高いトップブランドを5つご紹介して今回の車評オンラインを締めくくりたい。

1.Subaru:8車種中7車種が"Recommended"
2.Audi:6車種中5車種
3.Mazda:5車種中4車種
4.Honda:10車種中8車種
5.Toyota:17車種中13車種
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執筆者プロフィール

1941年(昭和16年)東京生まれ。東洋工業(現マツダ)入社後、8年間ロータリーエンジンの開発に携わる。1970年代は米国に駐在し、輸出を開始したロータリー車の技術課題の解決にあたる。帰国後は海外広報、RX-7担当主査として2代目RX-7の育成と3代目の開発を担当する傍らモータースポーツ業務を兼務し、1991年のルマン優勝を達成。その後、広報、デザイン部門統括を経て、北米マツダ デザイン・商品開発担当副社長を務める。退職後はモータージャーナリストに。共著に『マツダRX-7』『車評50』『車評 軽自動車編』、編者として『マツダ/ユーノスロードスター』、『ポルシェ911 空冷ナローボディーの時代 1963-1973』(いずれも三樹書房)では翻訳と監修を担当。そのほか寄稿多数。また2008年より三樹書房ホームページ上で「車評オンライン」を執筆。

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