三樹書房
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第45回 C項-13 「コルベット」
2016.8.27

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< 初代C1(前期) 1953~1955 >

コルベットの生みの親はGMのチーフデザイナー「ハリーJ・アール」で大学生の息子達でも買えるような安価なスポーツカーを造ろうと考えたのが始まりだ。だからその狙いはフォードが大成功した「マスタング」と同じ様なところにあった。しかしこちらの方は出来てみたら値段は3,440ドルで、シボレーのビジネスクーペなら1,542ドルで買え、一番高いコンバーチブルでさえ2,175ドルだったから、初期の目的と違って高価なパーソナルカーとしてスタートした。コルベットはアメリカで唯一量産された本格スポーツカーとされているが、この車にしてもその生い立ちには意外な事実があった。1953年6月から発売されたコルベットの長い歴史には幾つかの節目があり、その最初の危機は発売直後にやってきた。「モトラマ」に出展したショーカーが圧倒的な人気を博したにも拘わらず、売り出してみたら1953年315台、54年3,640台、55年も674台と全く売り上げは伸びず、生産打ち切りかと思われていた。その原因は、見かけはいかにもスポーツカーだが、直6で150馬力のエンジンにオートマチック・トランスミッション付きのパワートレインでは、スポーツカーとは呼べないそのキャラクターにあった。
  
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(写真53-1ab) 1953 Chevrolet Corvette..................................(2003-02 パリ・レトロモビル)
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このシリーズは僕自身が撮影した写真に限定して構成しているので、発売前にモトラマで展示されたショーモデル(プロトタイプ)は残念ながらここにお見せすることは出来ない。しかし幸いなことにこの「M-Base」シリーズの別項で連載中の当摩節夫氏の「カタログとその時代」第36回シボレーコルベットに登場するので、そちらもご覧いただきたい。
・1953年から市販されたコルベットだが、第1世代は現役時代日本では55年型の後姿をチラリと見た以外全く出会う機会がなく、発売後50年たって初めてパリのレトロモビルで見つけることが出来た時はとてもうれしかった。思ったより小型で見た目はなかなか格好いいなという印象だったが、スポーツカーは性能第一だから見た目だけでは何とも言えない。

(写真53-2a-d) 1953 Chevrolet Corvette.................................(2012-04 トヨタ自動車博物館)
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流石はトヨタ博物館で、わずか300台少々しか造られなかった初代のコルベットをしっかり押さえていた。外見に殆ど変わりの無い54年は3,469台も造られているが、コレクションの対象とすれば最初のモデル「53年」にこそ価値がある。塗装はアイボリーに赤の内装1種しかなかった。


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(写真54-1ab) 1954 Chevrolet Corvette     (2008-01 シュパイヤー科学館/ドイツ)

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53年と54年は外見からは全く区別がつかないので、展示プレートか参加プログラムなど本人の申し出しか確認できない。ドイツの博物館にあったこの車には1954年、6気筒、3900cc、152PSと案内されていた。

(写真54-2abc) 1954 Chevrolet Corvette......................(2004-08 ラグナセカ/カリフォルニア)
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カリフォルニアで見たこの車は、ボディに「54」と書いてあるのでそれを素直に受け入れた。隣にペダルカーのニミチュアも展示されていたので、併せて紹介した。

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(写真55-1abc) 1955 Chevrolet Corvette (2008-01 ジンスハイム科学技術館/ドイツ)

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ここの博物館の表示は全面的には信頼できないものがある。年式は本当に「1955年」なのか、馬力が「228PS」もあるのも疑問だ。1955 年と言えばコルベットが初めて「V8」エンジンを搭載した年で、その証はボディサイドの「CorVette」の文字の「V」を大文字にしたところにある。この車のエンブレムは「V」が大文字ではない。この年6気筒もごく少数造られてはいるが、6気筒は3,857cc 155hpだし、V8にしても195hpが公式馬力で228ps は誇大表示ではないか。(この年オプションの強力エンジンは無い) V8だったらボンネットを開けてエンジンを見せて欲しかった。 総生産台数の3,640台は1954年の数字で55年は700台だ。総合判断で1954年式V6だったら納得だが・・。

(写真55-2a-d) 1955 Chevrolet Corvette..(2011-11 トヨタ博物館クラシックカーフェスタ・神宮)
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こちらは正真正銘の1955年「V8」で、「CorVette」の大文字の「V」はこの様に表示される。

(写真55-03a) 1955 Chevrolet Corvette................................(1958年 千代田区日比谷公園横)
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この写真は第1世代のコルベットの姿をチラッと捉えた唯一の証拠写真で、後にも先にもこの後姿しか見ることは出来なかった。車は日比谷交差点を過ぎて桜田門方面に向かっているから、手前は日比谷公園で、道の向こう側は外堀となる。「銀座4丁目」方面から来た⑨番の都電はこの後「国会議事堂」「赤坂見附」から青山通りを通って「渋谷」が終点だった。

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< 初代C1(後期) 1956~1962 >
生産中止の危機は1956年、外観のモデルチェンジと同時に行われた225馬力、V8 エンジンと、3速マニュアル・シフトの組み合わせで、名実ともに本格スポーツカーに変身することで乗り切った。とは言っても、1960年までの毎年の売り上げは1万台にも達しない程度だった。   

(写真56-1abc) 1956 Chevrolet Corvette (1990-07 アメリカン・ドリームカーフェア/幕張メッセ)
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第2世代の外観が変わりプレシキグラスとストーンガードに覆われていたヘッドライトはむき出しの普通の形となった。そしてもっとも大きな変化はボディサイドで「ポンツーン・フェンダー」の切欠きを連想する大胆なえぐれを2トーンに塗り分けた斬新なデザインが目を引いた。

(写真56-2abc) 1956 Chevrolet Corvette.........................(1991-01  JCCA 汐留ミーティング)
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コルベットはV8 4340ccエンジン付き2ドア コンバーチブル1種のみで, 210hpと225hp があり、オプションで3速マニュアルが選べた。200ドル出すとデタッチャブル・ハードトップが用意されていたが、クーペは無かった。

(写真56-3abc) 1956 Chevrolet Corvette.....................(2004-08 ラグナセカ/カリフォルニア)
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この車はなんとなく足元が淋しい。コルベットはホワイト・ウオールのタイヤで、内側はびっちりとクロームで飾られているからバランスが取れているのだが、写真の車にはその華やかさが無い。いろいろ調べたら、どうもこのホイールは57年型の「セダン・デリバリー」というライトバンから転用しているらしい。

(写真56-3a) 1956 Chevrolet Corvette.......................(1995-08 ラグナセカ/カリフォルニア)
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昔(昭和30年代)アメリカ製のプラモデル・キッドを買うと、改造オプション・パーツと炎のデカールが入っていたのを思い出した。僕はオリジナル・モデルに組み立てたが、あの時改造パーツを使っていたらこんな車になった筈だ。

(写真57-1a-d) 1957 Chevrolet Corvette....................................(1961年 港区・新橋駅付近)
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(参考) 1958頃 共進ルノー/4CV(改)

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コルベットが我が国に与えた影響の大きさを示す証拠として、ここに参考掲示した車をご覧頂きたい。一見「おや、コルベットかな?」と思ってしまう程上手に改造されているこの車のベースは、リアエンジンの「ルノー4CV」で一品製作ではなく「共進ルノー」という所でかなりの台数が造られたようで、逆の配色の車も撮っている。コルベットの撮影場所は新橋の機関車広場の奥の通りで、前に停まっているライトバンは有名なジャズバンドの楽器を運ぶ車のようだ。

(写真57-2abc) 1957 Chevrolet Corvette...................................(1971-01 東京プリンスホテル)
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(写真57-03ab) 1957 Chevrolwt Corvette............................(1985-01 神宮外苑・明治公園)
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・この車はボディサイドのえぐれ部分にトリムが無く、塗り分けもされていない。
・前の車が撮影されてから14年後に撮影されてものだが、特徴がそっくりなのでプログラムで確認した結果オーナーが同じであることが確認できた。塗り分けのないコルベットはこの車以外には1台も見ていない。

(写真57-4ab) 1957 Chevrolet Corvette ...................(1999-08 ラグナセカ/カリフォルニア)
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毎年このサーキットで開かれるイベントは4日続きで開催されるので、サービス・トレーラーと共に乗り込んでくる参加者が多い。レースの観戦には絶好の観覧席となる。

(写真57-5a~d) 1957 Chevrolet Corvette ...................(2004-08 ラグナセカ/カリフォルニア)
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カリフォルニアで見つけたこの車は、やる気満々のレーシング仕様だ。

(写真58-1abc) 1958 Chevrolet Corvette .................................(2980-05 筑波サーキット)
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1958年になるとコルベットも流行の「4灯ヘッドライト」を採用した。ライトの幅が広くなった分グリルの開口部が狭くなり、その分グリル内の縦のバーが13本から9本に減少した。フェンダーのえぐれ部分の途中に段差が付き、エンジンルームの排気口が付けられた。

(写真58-2a~d) 1958 Chevrolet Corvette.....(1960年港区虎ノ門/ニューエンパイア・モータース)
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虎の門交差点近くの3角の敷地に、フォード系デーラー「ニューエンパイア・モータース」があった。敷地内にはフォードの他シボレー、コンサル、ベンツなども含め多くの車がぎっしりと詰め込まれている。土曜日の午後仕事が終わってからよく足を運んだ場所で、ここから「溜池」「赤坂見附」と定期巡回コースだった。僕の写真の中では町の情景がよく写り込んで雰囲気があるので4枚も載せてしまった。

(写真58-3a) 1958 Chevrolet Corvette .........................(1999-08 ラグナセカ/カリフォルニア)
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こちらもアメリカで見つけたレース仕様のコルベット。8月のカリフォルニアは兎に角暑いのでボンネットを開けている車が多い。

(写真59-1abc) 1959 Chevrolet Corvette(1966-05第3回日本グランプリ富士スピードウエイ駐車場)
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1959年型は前から見た所は58年と全く変わらない。唯一の変化はリアトランクに縦に2本のクローム・ラインが入ったことだ。場所は富士スピードウエイの駐車場で、グランプリの観戦に来る車はスタンドに近い方から埋まってくるから、後方の空き具合からすると僕はずいぶん早くに現地に到着していたようだ。

(写真59-2ab) 1959 Chevrolet Corvette.................................(1986-01 神宮外苑・明治公園)
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毎年1月開かれるミーティングに参加した車で、真冬なのでオプションのハードトップを装備している。

(写真59-3ab) 1959 Chevrolet Corvette Scagliette Coupe....(1998-08 ペブルビーチ/アメリカ)
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この車はペブルビーチのコンクールに登場したコルベットでイタリアの「スカリエッティ」がデザインしたスペシャルだ。と云っても元々個性の強いコルベットに反して、1950年代初めころの「フェラーリ250MM」などで見慣れた丸っこいフォルムは少々古臭い感じで新鮮味が感じられない。

(写真60-1a) 1960 Chevrolet Corvette....................(1962-04 日本橋・白木屋(東急)デパート)
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デパートではなんでも売ります。という事で日本橋交差点の「白木屋百貨店」(後の東急百貨店/現JINS日本橋コレド)では昭和37年1階の道路に面したところにクライスラー・ヴァリアント、ルノー・フロリード、ジャガー・サルーンなどを展示して販売した。
 
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(写真60-2ab) 1960 Chevrolt Corvette  (2008-11 トヨタ博物館クラシックカーフェスタ・神宮)
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1958,59,60年の3年間は外観に変化は無く、唯一の相違点は59年型のトランクに2本の縦のクロームラインが入っていた事だけだ。だから60年型は58年型と同じに逆戻りしたという事で、これも本人の申請によるものしか確認できない。

(写真61-1a) 1961 Chevroletta Corvette...........................(1990-01 JCCA 汐留ミーティング)
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前から見て大きな変化はグリルの中で、去年まであった9本の縦バーは姿を消し、それに替わって細い横線を7本の縦線で区切る網目状のグリルに変わった。正面のバッジは2本の旗を囲んでいた丸い囲いが無くなって旗だけとなり、その代り「CORVETTE」の文字が下に入った。

(写真61-2a~d) 1961 Chevrolet Corvette..(2010-07 フェスティバル・オブ・スピード/イギリス)
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大きく変わったのは後ろ半分で、リアホイールの切欠きから出たふくらみはそのままぐるっと後ろを一回りしてトランク部分をデッキ上に区分している。そしてテールランプが縦長の2個から丸4個に変更された。フロントフェンダーにあったクロスする2本の旗は無くなり、「CORVETTE」の文字と上に赤、下に青のプレートの3本のラインとなった。

(写真62-1ab) 1962 Chevrolet Corvette.........................,,,(1991-01 JCCA汐留ミーティング)
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1962年は第2世代最後の年となったせいか全体には殆ど変更はなく、細かいアクセサリーの変更に留まった。①正面のバッジは再び丸い囲いが復活したが、バッジの地色がボディと同色となった点が新しい。②ボディサイドのエアスクープの仕切りが3本から18本と細かくなった。③フロントフェンダーのバッジは「文字」から「Vの上に2本の旗」と変わった。④ボディサイドの下端に幅広いクロームラインが入った。


< 第2世代 C2 1963~1967 >
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1963年外見上の大きな変化があり、初代「スティング・レイ」が誕生した。それまではオープンカーのみ(オプションでハードトップ)だったが、ファストバックのクーペが新しく登場した。初年度の1963年型だけが2分割のリアウインドウを持っているので特にアイテムとしての人気が高い。尖った尻尾は、古き良き時代の「ボートテール」スタイルを連想させる。


(写真59-0a~d) 1959 Corvette Sting Ray Experimental Car(2004-08 コンコルソ・イタリアーノ/アメリカ)
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スティングレイは1963年から市販されたが、その原型となったのは1959年ビル・ミッチェルが作ったレーシングモデルといわれる。「スティングレイ」はアカエイ(Stingray)の事だが、車名の綴りは(Sting Ray)と2フレーズに分けられていた。


(写真66-03ab) 1966 Corvette Sting Ray (1970-03 第3回東京レーシングカー・ショー)
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この車は明らかに1959年に造られ「スティングレイ」の原型となったビル・ミッチェルのスポーツカーを意識して造られている。1969/70年の東京レーシングカー・ショーに2年連続して展示されていたが、話題性が無かったのか雑誌では一言も紹介記事が無く、年式はじめ素性は全く不明。(年式についてはフィルムのキャプションに記入されていた「1966」を便宜上採用したが、ほかの車も含めてこのフィルムのキャプションのネタが何処から得たものか自分でも思い出せない)


(写真63-1a~e) 1963 Corvette Sting Ray Coupe (2015-10 アメリカン・ピクニック・ディ)
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1963年型は「スティング レイ」の初代モデルだが、リア・ウインドが2分割されているのはこの年だけなので特に人気が高い。形としても引き締まったスタイルは魅力的で、特にファストバックの尖った後端は、1930年代の「デューセンバーグ」や「オーバーン」のスピードスターを連想させる。この車はホイール以外は全くオリジナルの素晴らしいコンディションだ。


(写真63-2abc) 1963 Chevrolet Corvette Sting Ray Coupe (2015-10 アメリカン・ピクニック・ディ/お台場)
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(参考) 1968 Alfa Romeo T33/2 Le Mans
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こちらは前の車と同じ年式だが、思いっきり改造されたレーシング・バージョンだ。縦の整流版が意外と簡単に取り付けてあるように見えるが、ここにはあまりストレスが掛からないようで、ルマンに出たアルファロメオはもっとボルトの数が少なかった。


(写真64-1a) 1964 Corvette Sting Ray Coupe (1963-11 第5回東京オートショー/晴海)
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1960年代の自動車ショーは国産車の「東京モーターショー」と輸入外車の「東京オートショー」が同じ会場で日をずらして別々に開催された。1950年代にはまだ国産車も発展途上にあったから、外車と同じ舞台に上がることにはためらいがあったかも知れないが、60年代に入ってからの日本車は外車と肩を並べても遜色無いまでに成長していたから、別途開催の理由は何だったのだろう。写真の車は64年型として63年11月撮影したものだが、「1964年」といえば 「東京オリンピック」が開催された年で、そろそろ軽自動車を手始めに自家用車が夢ではないと思いはじめて来た頃だ。とはいっても「、東京オートショー」で見る「外車」の数々は、入場者の99%以上にとって購入の対象ではなく、憧れの対象だった。


(写真64-2a~e) 1964 Corvette Sting Ray Coupe(2015-10 アメリカン・ピクニック・ディ/お台場
64-02a 15-10-10_099 1964 Chevrolet Corvette Coupe.JPG)

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1964年にはリア・ウインドが1枚ガラスとなりモダン化したが、機能が向上した代わりに個性は失われた。写真の車はホイール以外は、物凄く良いコンディションでオリジナルを保っている。オリジナル・ホイールは中央が山型に膨らんだディスクに縦に細いスリットが9本入っただけの、スポーツカーらしくない地味な印象だったから、この車の方がずっと格好いい。


(写真64-3ab) 1964 Corvette Sting Ray (改)(2015-10 アメリカン・ピクニックディ/お台場)
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この車はハードトップを装着したカブリオレ仕様車で、極太タイヤをクリアーするため目一杯フェンダーを張り出してあるが、それ以外のボディは意外とオリジナルのままだ。


(写真65-1a~d)1965 Corvette Sting Ray (2016-04 ジャパン・クラシック・オートモビル/日本橋)
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1965年からは、ボンネットにあったエア・スクープが無くなり、それに代わってボディ・サイドに横2本あった排気口(多分ダミー)は、縦3本となり完全に穴の開いた本物の排気口となった

(写真66-1ab) 1966 Chevrolet Corvette Sting Ray Coupe (1965-11 第7回東京オートショー)
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乗用車の貿易自由化が実施されて初めて開催される外車ショーで、今までの見せるだけのショーから、セールスのための会場と変わった。とはいっても482万円のこの車はまだまだ「高値の花」であったことに変わりはなかった。31歳の僕の月給は多分3万円以下だったと思う。「スティングレイ」は1968年からは第3世代の「C3」にモデルチェンジするのだが、第2世代も終わりに近い66、67年には殆ど外見には変化ガ無く、ボンネットの手前に「Sting Ray」のバッジが追加されただけだ。


(写真66-2ab) 1966 Chevrolet Corvette Sting Ray (1981-01 神宮外苑・明治公園)
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第1世代(C1)はオープン・タイプのみだったが、第2世代(C2)になるとクーペが加わり、2本建てとなった。1966年型ではクーペが約1万台に対してコンバーチブルは約1万8千台が造られた。コンバーチブルには231.75ドルでハードトップが用意されていたから、これを付ければ完全全天候クーペとなる。


(写真67-1ab) 1967 Chevrolet Corvette Sting Ray (1966-11 第8回東京オートショー/晴海
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67-01b (175-10) 1967  Chevrolet Corvette Styng Ray Coupe.jpg
来年、大モデルチェンジを控えた1967年は全くやる気が無いようで、昨年ボンネットの手前に付けた「Sting Ray」のバッジを取り止めただけで、ほかに何の変化もなかった。


(写真67-2ab) 1967 Chevrolet Corvette 'High Risk Wheelie Car' (2007-06 フェスティバル・オブ・スピード/イギリス)
67-2a 07-06-24_129 1967 Chevrolet Corvette 'High Risk Wheelie Car'.JPG

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派手に塗られたこのレーシング仕様の車はノーマルのコルベットとは違った顔付きをしているように見えるが、ヘッドライトを潰した以外はバンパーを外しただけのようだ。コルベットはバンパーの中央にナンバープレートを付けている場合が多いので、グリルの奥があまりよく見えないが、よく見ると元々クロームの枠がはめ込まれている。 


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< 第3世代 C3 1968~82 >
1968年には「2代目スティングレイ」に変身する。68年の呼び名はただの「コルベット」だったが69年から再び「スティングレイ」の名前を復活させ、綴りが「スティング」と「レイ」の繋がったワンフレーズに変わった。前後のフェンダーはホイールの形に盛り上がり、力強く、速そうで、スポーツカーをアピールするデザインとしてはとてもよくできた秀作だと思う。しかし外見とは反対に室内の居住性が増し、車は大きく重くなった上に、エンジンの出力は1968~'70/300hp、'71/270hp、'72/200hp、'73/190hp、'74/195hp、'75/165hpと年々小さくなったので、性能面では後退した。


(写真68-0a~e) 1961 Corvette Mako Shark Experimenntal Car(2004-08コンコルソ・イタリアーノ・アメリカ)
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68 61-00b (04-45-27) 1961 Mako Shark Corvette(コンコルソ・イタリアーノ).jpg

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1961年に造られたこの「Mako Shark」は、1968年から市販された第3世代の「C3コルベット」の原型といわれる。オリジナル・デザインは当時GMの副社長だったビル・ミチェルで、サイドはダークブルーからホワイトへのぼかしで「本物のサメ」を連想させる。
   

(写真68-1a~e) 1968 Chevrolet Convertible (1967-11 第9回東京オートショー/晴海)
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第3世代(C3)の初年度となる1968年は、車名は「コルベット」のみで「スティングレイ」は付かなかった。第2世代のC2に較べると贅肉が削がれ、盛り上がったホイールアーチとくびれたウエストはグラマラスでコカコーラの瓶を連想するところから「コークボトル・スタイル」と呼ばれた。


(写真69-1a~d) 1969 Chevrolet Corvette Stingray Sports Coupe (2004-08 カーメル市内・カリフォルニア)
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69-01b  (04-40-23) 1969 Chevrolet Corvette.jpg

69-01c (04-40-21) 1969 Chevrolet Corvette.jpg

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写真はカリフォルニア州カーメル市内で撮影したものだが、アメ車にはやっぱりアメリカの風景が似合う。この年から再び「スティングレイ」の呼び名が復活し、英文では「Stingray」とワンフレーズで標記されることになった。第3世代ではボートテールのクーペは無くなり、替わって天井が取り外し出来る「タルガトップ・クーペ」となった。


・コルベットはこの後4代目(1983-96)、5代目(1997-04)、6代目(2005-13)、7代目(2014- )と続くが僕の守備範囲ではないので割愛した。
・ライバルのフォード「サンダーバード」がスポーツカーらしかったのはスタートした1955年から3年間で、そのあと大型化してラグジュアリーカーに変わってしまったのに対して、コルベットの方は、初めの3年間はスポーツカーとして認められず、そのあと本格スポーツカーに成長していった、という全く反対の過程をたどったのも面白い現象だった。


――次回はアメリカの大物「クライスラー」の予定です――

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第55回  D項-8 デューセンバーグ・2

第54回 D項-7 デューセンバーグ・1

第53回  D項-6 デソート/ダッジ

第52回 D項-5 デ・トマゾ

第51回 D項-4 デイムラー(英)

第50回 D項-3 ダイムラー(ドイツ)

第49回  D項-2 DeDion-Bouton~Du Pont

第48回 D項-1 DAF~DeCoucy

第47回 C項-15 クライスラー/インペリアル(2)

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第41回 C項-9 シトロエン(4) 2CVの後継車

第40回  C項-8シトロエン2CV

第39回  C項-7 シトロエン2 DS/ID SM 特殊車輛 トラック スポーツカー

第38回  C項-6 シトロエン 1 戦前/トラクションアバン (仏) 1919~

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第36回 C項-4 カール・メッツ、ケーターハム他

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第34回  C項-2 キャディラック(2)

第33回 C項-1 キャディラック(1)戦前

第32回  B項-13  ブガッティ(5)

第31回 B項-12 ブガッティ (4)

第30回  B項-11 ブガッティ(3) 

第29回 B項-10 ブガッティ(2) 速く走るために造られた車たち

第28回 B項-9 ブガッティ(1)

第27回 B項-8 ビュイック

第26回 B項-7  BMW(3) 戦後2  快進撃はじまる

第25回 B項-6 BMW(2) 戦後

第24回  B項-5   BMW(1) 戦前

第23回   B項-4(Bl~Bs)

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第16回 戦後のアウトウニオン

第15回  アウディ・1

第14回 A項 <Ar-Av>

第13回  A項・12 アストンマーチン(3)

第12回 A項・11 アストンマーチン(2)

第11回  A項-10 アストン・マーチン(1)

第10回 A項・9 Al-As

第9回 アルファ・ロメオ モントリオール/ティーポ33

第8回 アルファ・ロメオとザガート

第7回 アルファ・ロメオ・4

第6回 アルファ・ロメオ・3

第5回 アルファ・ロメオ・2

第4回  A項・3 アルファ・ロメオ-1

第3回  A項・2(Ac-Al)

第2回  「A項・1 アバルト」(Ab-Ab)

第1回特別編 千葉市と千葉トヨペット主催:浅井貞彦写真展「60年代街角で見たクルマたち」開催によせて

執筆者プロフィール

1934年(昭和9年)静岡生まれ。1953年県立静岡高等学校卒業後、金融機関に勤務。中学2年生の時に写真に興味を持ち、自動車の写真を撮り始めて以来独学で研究を重ね、1952年ライカタイプの「キヤノンⅢ型」を手始めに、「コンタックスⅡa」、「アサヒペンタックスAP型」など機種は変わっても一眼レフを愛用し、自動車ひとすじに50年あまり撮影しつづけている。撮影技術だけでなく機材や暗室処理にも関心を持ち、1953年(昭和28年)1月には戦後初の国産カラーフィルム「さくら天然色フィルム」(リバーサル)による作品を残している。著書に約1万3000余コマのモノクロフィルムからまとめた『60年代 街角で見たクルマたち【ヨーロッパ編】』『同【アメリカ車編】』『同【日本車・珍車編】』『浅井貞彦写真集 ダットサン 歴代のモデルたちとその記録』(いずれも三樹書房)がある。

関連書籍
浅井貞彦写真集 ダットサン 歴代のモデルたちとその記録
60年代 街角で見たクルマたち【ヨーロッパ車編】
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