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第45回 1950年代ポンティアックのドリームカー
2016.4.28

 前回までにキャディラック、ビュイック、オールズモビルの1950年代のドリームカーを紹介してきたが、今回はポンティアックのドリームカーについて、いずれも1950年代のGMモトラマに登場したモデルで、1953年の「パリジェンヌ(Parisienne)」、1954年の「ストラト・ストリーク(Strato-Streak)」「ボンネビル・スペシャル(Bonneville Special)」、1955年の「ストラト・スター(Strato Star)」及び1956年の「クラブ・デ・メール(Club de Mer)」の5モデルについて紹介する。

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上の2点は1953年のGMモトラマに登場した「パリジェンヌ」。はるか昔のクラシック時代を感じさせるランドースタイルのトップを装着したモデルで、ホイールベース122in(3099mm)の1953年型ポンティアックのシャシーに架装されている。エンジンもストックの268cid(4392cc)直列8気筒122馬力にハイドラマチックATをセットして積んでいる。但し、一見すると量産型ボディーをそのまま使っているように見えるが、ボディー本体も低められており、全高は量産型より7in(178mm)低い56in(1422mm)となっている。「パノラミック」ラップアラウンドウインドシールドを装着しているが、ポンティアックの量産車への採用は1955年型からであった。ランドートップはファイバーグラス製で、右側のドアを開けると助手席のシートが自動的に前方にスライドする仕掛けが組み込まれていた。また、雨が降った時にはショーファー席の上にプレキシグラス製ドームが用意されているというが、装着した写真は見たことがない。漆黒のボディーにショーファー席とランドートップの内装はピンクであった。(Photos:GM)

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パリジェンヌは1954年にはフロントグリルを1954年型のものに換装し、ボディーを青みがかったシルバーに塗り替え、内装をピンクからホワイトに変更して登場した。米国とカナダで開催された多くのモーターショーに登場したが、GMモトラマには登場の機会は与えられなかった。このクルマは一時期行方不明であったが、現在は1953年に登場した時の姿に復元されてドリームカー・コレクターのもとで温存されている。

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上の3点は1954年のGMモトラマに登場した「ストラト・ストリーク」。ホイールベース124in(3150mm)の生産型スターチーフのシャシーをモディファイしてファイバーグラスボディーを架装した4人乗りモデルで、ドアを閉じた状態では4ドアセダンのように見えるが、観音開きドアのBピラーレスハードトップである。ドアは停車状態で、なおかつハイドラマチックATのシフトレバーがNポジションにないと開かないよう安全装置が仕組まれており、乗降し易いよう前席には90度回転するスイベルシートが装着されていた。全高は生産型ポンティアックより8.7in(221mm)も低く、わずか54.7in(1389mm)であった。生産車に活かされたデザイン要素も多く、ガルウイングバンパーは1956年型ポンティアックに、3ピースリアウインドーは1957年型ビュイックとオールズモビルに採用されている。(Photos:GM)

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上の写真はカナダのモーターショーに展示されたストラト・ストリークで、塗色をオリジナルのライトグリーンメタリックからメタリックレッドに変え、内装を2トーンに仕立て直して、名前も「ストラト・ストリーク Ⅱ」としている。ストラト・ストリークの製作台数は1台と言われているが、他にメタリックブルーの個体も展示されており、2台製作されたのではないかと言う説もある。また、現存しないと言われているが、いや、どこかにひっそりと生きながらえている確率が高いという説もある。(Photo:GM)

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上の3点は1954年のGMモトラマにストラト・ストリークと共に登場した「ボンネビル・スペシャル」。ホイールベース100in(2540mm)のシャシーに架装されたファイバーグラス製2シーター・スポーツで、全長158.3in(4021mm)、全高48.5in(1232mm)、赤銅色に塗装されたボディーにプレキシグラス製キャノピーを装備している。ドアの外側にはドアハンドルはなく、外側からドアを開くには、ドアの中央上部にあるボタンでガルウイングタイプのサイドウインドーを跳ね上げ、内側のドアハンドルで開ける。エンジンフード上の2本の銀色のライン(Silver Streaks)がポンティアックであることを表している。フロントフェンダーの側面についているのはアルミ削り出しのオイルクーラー(但し、ダミー)。背中に垂直に背負ったスペアホイールはユニークだ。極端なロングノーズはボンネットの下に268cid(4392cc)直列8気筒に4基のサイドドラフトキャブレターを装着した230馬力(生産型エンジンは127馬力)エンジンを積んでいるため。製作台数は2台で、モトラマに展示された赤銅色の個体はオリジナルの状態が保たれており、タイヤの中の空気も1954年当時のもの(補充はされているが)が残っていると言われる。もう1台のメタリックグリーンの個体はレストアを受けているが、2006年にオークションに出され、280万ドル+コミッションという高値で落札されている。(Photos:GM)

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上の3点は1955年のGMモトラマに登場した「ストラト・スター」。1955年型生産車より2~4in(51~102mm)短いホイールベース120in(3048mm)のシャシーに架装された6人乗りのファイバーグラス製ハードトップモデルで、後方からルーフ上に飛び出した2本のカンチレバーピラーとそれに連続するテールフィン、室内へ新鮮な空気を引き込むため、ヘッドランプ上部のエアスクープからカウルまで伸びた土手、ガルウイングバンパーの両端にぶら下がったランプポッド、大きくえぐられたフロントホイールオープニングに注目。ドア上部のルーフは6in(152mm)幅ほどがドアの開閉時、自動的に開閉して乗降し易くしている。エンジンはポンティアックには初めて採用された287cid(4703cc)ストラト・ストリーク(ドリームカーと同じ名前がエンジンに付けられた)V型8気筒200馬力をチューニングした250馬力が積まれていた。サイズは全長202.5in(5143mm)、全幅75.6in(1920mm)、全高53in(1346mm)、製作台数は1台で、1950年代終盤にスクラップされたと言われている。(Photos:GM)

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上の3点は1956年のGMモトラマに登場した「クラブ・デ・メール」。ポンティアックの最も有名なドリームカーのひとつで、ホイールベース104in(2642mm)のチューブラーフレームに2シーターのアルミボディーを架装したスポーツカー。317cid(5195cc)ストラト・ストリークV8ツイン4バレルキャブレター300馬力エンジン+トランスアクスルを積む。サスペンションはフロントがダブルウイッシュボーン、リアにはドディオンアクスルを採用している。テールフィンは単なる飾りではなく、走行時にスタビライザーとして機能するという。ブラシ仕上げのアルミに半透明のセルリアンブルー塗装されたクルマのサイズは、全長180in(4572mm)、全幅69.7in(1770mm)、全高38.4in(975mm)、最低地上高5in(127mm)であった。名前はフロリダ州マイアミにある「The Surf Club」にちなんで名づけられ、3番目の写真はクラブメンバーのためのアパートメントの前で撮影されたものである。製作台数は1台で消息は不明。(Photo:GM)

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上の2点は1955年型と1956年型ポンティアックのカタログで、2本の銀色の帯(Silver Streaks)、ガルウイングスタイルバンパー、ヘッドランプ上部のエアスクープなど、ドリームカーのデザインを生産車に活用した一例である。

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執筆者プロフィール

1937年(昭和12年)東京生まれ。1956年に富士精密機械工業入社、開発業務に従事。1967年、合併した日産自動車の実験部に移籍。1970年にATテストでデトロイト~西海岸をクルマで1往復約1万キロを走破し、往路はシカゴ~サンタモニカまで当時は現役だった「ルート66」3800㎞を走破。1972年に海外サービス部に移り、海外代理店のマネージメント指導やノックダウン車両のチューニングに携わる。1986年~97年の間、カルソニック(現カルソニック・カンセイ)の海外事業部に移籍、うち3年間シンガポールに駐在。現在はRJC(日本自動車研究者ジャーナリスト会議)および米国SAH(The Society of Automotive Historians, Inc.)のメンバー。1954年から世界の自動車カタログの蒐集を始め、日本屈指のコレクターとして名を馳せる。著書に『プリンス 日本の自動車史に偉大な足跡を残したメーカー』『三菱自動車 航空技術者たちが基礎を築いたメーカー』『ロータリーエンジン車 マツダを中心としたロータリーエンジン搭載モデルの系譜』(いずれも三樹書房)。そのほか、「モーターファン別冊すべてシリーズ」(三栄書房)などに多数寄稿。

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