三樹書房
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第40回  C項-8シトロエン2CV
2016.3.28

< 2CV >
(写真00-0) レトロモビルで購入した2CVの参考資料
00-0 Citroen 2CV(Hors-serie No21)仏語.jpg
パリで開催される「レトロモビル」は古い車が対象で、部品や参考文献が多数販売される。そこで探し出したのがこの本だ。

2CVの構想の発端は1935年夏、当時副社長だったピエール・ブーランジェが南フランスで見た農民の運搬手段がきっかけで、それは人力や牛馬の引く荷車が全てだった。1935年と言えば、シトロエン社のラインアップは1303ccの 7CVと1911ccの 11CVの2本建てで、初期の小型車「5CV」は既に製造中止しており、「小型大衆車」の分野は全く白紙だった。そこで1936年に入るとアンドレ・ルフェーヴルをチーフに庶民の交通、輸送手段として農村をメインターゲットとした「農民車」を開発するチームを発足させた。(フランスと言えば文化・芸術の国のイメージが強いが実は農業国なのだ)その車は十分な室内寸法を確保し、一切の無駄を省いた最低限の装備で、荒地でも快適な乗り心地で走行出来て、しかも低価格で維持費も安い、という実に合理的な車を目指したものだった。具体的には4人の大人と50kgの荷物を載せて時速50キロで悪路を走っても、かご一杯の卵が一つも割れない車を造ろうというものだった。最初のプロトタイプは1937年に完成した。375ccフラット・ツインで前輪を駆動するのは戦後の市販車と同じだが、このエンジンは水冷だった。試作車はこの後49台が造られ各種テストが行われた。これらは「TPV」名付けられ市販を目指したが、1939年9月に至ってちかずく戦争を前に計画は中止された。戦後1948年まで2CVが発表されなかったのは、戦争が終わった直後は国策でメーカー別に車種を振り分けられ、シトロエンは中級車クラスとして「トラクションアバン」を生産する担当で小型車は造れなかったからだ。(因みに小型車は1946年ルノーが「4CV」をいち早く発表した。)1948年11月6日パリサロンで2CVがデビューした時のエピソードは沢山あるがいずれも否定的なものばかりだった。「ベールを脱いだ2CVを見て困惑する大統領」という風刺画も残っており、感想の中の傑作は「そのうちに慣れるはず」という一言だった。まさにそのものズバリ言い当てていたのだ。その言葉通り、フランス人は慣れるどころか、すっかり愛着を感じるまで見方が変わってしまい41年間に510万台以上造られてしまった。

※2CVの開発経過についての詳細やカラーのカタログが多数収録された参考文献として、三樹書房刊『シトロエン2CV』(武田隆著) があります。
  


(写真01-1a) 1949-52 Citroen 2CV A (1962年 港区内)
01-1a (061-21) 1949-52 Citroen 2CV A.jpg
戦前造られた一つ目のプロトタイプ「TPV」は5台現存するらしいが残念ながら僕は写真を撮っていない。「2CV」は1948年10月のパリ・サロンで発表され、翌1949年から「タイプA」の市販が始まった。最初のモデルは1952年までグリルのダブル・シェブロン(2重山型)のマークが楕円で囲まれているので見分けられる。このタイプはこの写真の車以外、その後国内でも海外の博物館でも1台も見ていない貴重なモデルだ(尚僕の資料では49年型の写真はグリルが横バーではなく、マークの山型と同じ角度で両端下がりの斜めになっているが、もしかすると、その車は市販モデルではなく、パリ・サロンに展示されたショーカーではないか)。

(写真01-2a) 1953 Citroen 2CV A (2002-01 パリ・レトロモビル)
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写真の車は「タイプA」の後期型でグリルのマークから楕円の囲いが取れた。この初期型は375cc 9ps/3500rpm重量495kg 最高速度 65km/h だった。2CV(2馬力)というのは、排気量別の課税対象区分で、実際は9馬力あった。


(写真01-3a) 1953 Citroen 2CV A (1960年  中央区丸の内
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寫眞の車は昭和35年撮影したもので、オリジナルコンディションがとても良い状態で保たれている。戦後の日本は外貨の手持ちが少なく海外からの輸入には厳しい制限があったが、何故か1953年と54年だけは突然沢山の外車が輸入された。(55年以降は叉引締められた。当時の為替レートは1ドル360円だった。) だから僕が1950年代後半から60年代にかけて撮影した多くの珍しい外車はこの時入ったものが多い。場所は丸の内のオフィス街で、明治時代に建築されたレンガ造りの英国風の建物が続き、俗に「1丁ロンドン」と呼ばれていた所だ(1丁とは日本の単位で約100メートル)。

 
(写真01-4a-c)1953 Citroen 2CV A  (2012-04 トヨタ自動車博物館)
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トヨタ自動車博物館は常設展示の本館、別館の他に、膨大なストックを保管している非公開の収蔵庫がある。僕は博物館の特別企画で高島鎮雄さんと対談トークショーを行った際、特別に中を見せて頂いたが、そこは未公開の珍車が一杯の宝の山だった。この未公開の車たちは毎年秋、神宮外苑で開かれるトヨタ博物館クラシックカー・フェスティバルに少しずつ展示されるので注目だ。車は「タイプA」後期型で、トヨタ博物館レベルでしっかり検証されたものだ。


(写真01-5a-d)1953 Citroen 2CV A (1958-04 銀座付近)
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1950年代から撮りためていたモノクロフィルムは、2003年最初の写真集のために密閉してあった缶から取り出したときは全く劣化していなかったが、翌年第2集のため出したところ、空気に触れたせいかカビや気泡が発生したものがあった。その段階で約1年かけてデジタル化してパソコンに取り込んだが、時既に遅しで一部にひどい傷を残してしまった。一番上がその状態で、2番目は1日掛かりで補正したものだ。この写真には愛着があるので何とかして良い状態で残したいと残り4枚を4日掛かりで綺麗に仕上げた。5枚も並べてしまったが努力に免じてお許し頂きたい。場所は銀座の裏通りだが人通りがなく映画のセットの様だ。


(写真01-6ab) 1953 Citroen 2CV A (1962年 港区六本木)
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この車も最初に輸入された中の1台と思われるが、今までに登場した車に較べるとかなりくたびれている。2CVは後年ドアが前後共前ヒンジとなり、取っ手が後ろに変るが、この段階ではまだ前開きである。場所は飯倉から六本木交差点へ向かう東外苑通りから一寸入った所で、昭和30年代は六本木周辺でもまだまだ空地があった。


(写真01-7a-d)1953 Citroen 2CV A (1958年  静岡市内)
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この車は僕がまだ静岡に住んで居た時に撮影したものだ。当時の静岡市内には地方都市としては小型ヨーロッパ車が随分沢山走っていた。記憶をたどって調べてみたら、オースチンA30, ボルグワルド・ハンザ1800, シトロエン2CV/11CV, DKW, フィアット1400, 英フォード・コンサル/ゾディアック, ヒルマン・ミンクスMkV, メルセデス180/220. メッサーシュミットKR200, モーリス・マイナー/オックスフォード, オペル・カピテン, ルノー4CV, ローバー75, サーブ92B, シムカ・アロンド/ヴデット, シンガーSM1500, スタンダード・エイト/バンガード, トライアンフ・メイフラワー,VW,ヴォクスホール・ヴェロックス, ボルボPV444E, ウーズ レー4/44と28種類もあった。写真の車はグリルの山型のマークが1枚しか無いのでダブル・シェブロンと言えないが、当時としては部品の補充もままならない時代だったのだろう。


(写真01-8ab)1953 Citroen 2CV A (2003-02 シュルンプコレクション/ミュールーズ
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この車はシトロエンの母国「フランス国立自動車博物館」(旧シュルンプ・コレクション)に展示されている物だが、残念ながらマークが楕円で囲まれた1952年までの最初期型ではなかった(このコレクションが力を入れて集めたのは「ブガッティ」と「ゴルディニ」だったから無理もないか。そう言えば一時はフランス国内を埋め尽くしていた筈の2CVのフルゴネットも見られなかった)。国立博物館とは言え自動車史の資料としてではなく、金持ちの道楽で集めたコレクションの延長だからだろう。


(写真01-9a-c) 1953-55 Citroen 2CV A (1961-11 港区芝・日比谷通り 日本電気前)
01-9a (068-21) 1953-55 Citroen 2CV A.jpg

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この写真は車のコンディションが良く、雨の日にも拘わらず写真の写り具合も上々で2CVの中ではお気に入りのショットだ。ナンバープレートの上に照明灯が有るのは他の車と違っているが年式の相違なのか、日本仕様なのかは確認出来なかった。場所は日比谷通りが第1京浜に突き当たる200メートル程手前で、箱根駅伝や東京マラソンで芝増上寺を過ぎて間もなく通過する所だ。


(写真01-10a) 1953-55 Citroen 2CV A     (1961年 港区内)
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この車には一だけ他の車と違う2CVらしくない所があるのがお解りになっただろうか。それは「三角窓」だ。2CVの基本設計「安価」「軽量」「簡単」「合理的」のすべてを備えた前ドアのガラスは、上下2段に分かれており下半分が上に跳ね上がる、という人力以外は動力も仕掛けも何も必要としない優れたアイデアだ。このアイデアは2CVだけの特徴で、他では使われなかったようだが、2CVに関しては最後までこのシステムを変えなかった。僕はかなり多くの2CVを国内、海外で見てきたし、何冊かの資料も持っているが、三角窓付きの2CVは後にも先にもこの車しか知らない。三角窓以外のガラスは多分嵌め殺しだろうからかえって使い勝手は悪いような気もするが......。


(写真02-1a-d)1955 Citroen 2CV AZ (2009-11 トヨタ博物館クラシックカーフェスタ/神宮外苑)
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2CVは1954年から排気量を425cc にあげ、「タイプAZ」となった。仕様は12.5ps/4200rpm、重量490kg、最高速度80km/h で、 馬力が増え重量が軽くなった分、最高速度は15キロ上がった。運転席の写真から1本バーのハンドルと跳ね上げ式の窓の構造が良く判る。外見からは何処にも変化が見当たらないから、街中で見つけても年式の特定は難しい。


(写真02-2ab)1955 Citroen 2CV AZ(1965-11 CCCJコンクール・デレガンス/西武パーキング)
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今回の2CVに関しては現役時代に撮影したものが多く、大部分がモノクロで塗装色がはっきり判らない。ところどころにあるカラーで見られるように基本的には「グレー」が基調だったが、写真の車は確か「アイボリー」だったと記憶している。こ車の特徴は後姿で、ランドセル取ってつけたような出っ張りはオプションのトランクだ。カタログによると似たようなものがいろいろあるが大同小異で、本来の1枚板に換えて膨らみが有るだけなので取り付けは簡単そう。しかしこれで収納スペースが大幅に増えるというほどでもないので、むしろお洒落のためだろう。ほかに戦前の11CVの様なスペアタイヤを収納するタイプもあった。


(写真02-3a-c) 1960 Citroen 2CV AZL (2008-01 VWミュージアム/ウオルフスブルグ)
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「AZ」のデラックス版が「AZL」で、1956年11月から発売された。基本的な性能は変わらないがホイールキャップをはじめ、ボンネット窓周りなどメッキの装飾が増えた。


(写真02-4a-c)1957-60 Citroen 2CV AZ (1966-07 原宿・表参道)
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この車に対してはかなり長い間「4×4サハラ」だと思い込んでいた。それはボンネットにスペアタイヤを積んでいた事と、世界1周の途中という事はイコール「冒険」→「サハラ」と早とちりの連想によるものだった。サハラはこの後から登場するがリアにもエンジンを積んでいるのでトランクの蓋にあたる場所には排気用の穴が開いている事から見分けられる。この車はドイツの青年たちで、トルコ、中近東、インド、シンガポール、を経てオーストラリアまでラインが入っていた。日本は神戸に上陸して東京まで走ってきたようだ。シトロエンとは切っても切れないのが「ミシュラン」の筈だが、ドアのステッカーが「グッドイヤー」なのが気になる。

(写真03-1ab) 1964 Citroen 2CV AZ AM (1963-11 第5回 東京オートショー/晴海貿易センター)
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1961年型の2CVは、1948年の発表以来はじめて大きな変化を見せた。と言ってもシルエットは全く変わらず変ったのはボンネットカバーが5本の補強ラインを持ったプラスチック製となり、ブリキ細工を連想させる細いラインの波板からは、見た目大きく近代化した。そしてグリルの開口部が半分に縮小され、角が取れたモダンなデザインに変った。特徴的なダブルシェブロンのマークはグリル・デザインに組み込まれた。しかし外観の変化だけなので型式の「AZ」は変らなかった。写真の車「AZ AM」は、1963年発表されたAZのバリエーションで、デラックス・バージョンとしての位置づけだが、本来「AM」はamelioreeの略で、フランス語で改良を意味する。


(写真03-2ab)1964 Citroen 2CV AZ LM (1977-01 TACSミーティング/東京プリンスホテル)
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この車の年式はイベントのプログラムでは1964年となっている。クオーター・パネルに窓があき、ドアが4枚とも前ヒンジとなった年式は手元資料では1966年版の年鑑からだが実際には65年秋(モデル・イヤーでは66年型)だから1964年型には疑問が残る。


(写真03-3a-c 1966 Citroen 2CV AZ AM) (1965-11 第7回東京オートショー/晴海貿易センター)
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この年からグリルに小変更があり3本の横バーだけの単純なデザインとなった。今までグリルの中央に大きく存在感を示していたダブル・シェブロンは普通の車並みに小さくなって、グリルのうえに位置を変えた。 


(写真03-4a-c)1967 Citroen 2CV AZL (1978-01第4回TACSミーティング/東京プリンスホテル)
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2CVは一見同じように見えても良く見るとどこかに違いが有る。この車のドアは前年から安全のため4枚とも前ヒンジの後開きとなり、クオーターパネルが窓となった。バンパーはパイプを組み合わせた簡単なものに変っている。冬季なので冷え過ぎを防ぐマスクをしているが、ボンネットにマークが見えるので新しいグリルであることが確認できる。


(写眞03-5ab) 1967 Citroen 2CV AZ LM (1966-11 第8回東京オートショー/晴海)
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前項の車と同じ年式の車が輸入された当時オートショーに展示された際の物だ。こちらは「AZ LM」だからデラックス・バージョンの筈だが、付属品もクロームなどの装飾も全く同じに見えるので内装が違うのかもしれない。車のウインドーに\820,000.と貼ってあったが約50年前としては高いのか安いのか。


(写真03-6a-c) 1966-70 Citroen 2CV AZ LM (1969-11 第11回東京オートショー会場前にて)
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2CVは何処に停まっていても写真を撮りたくなってしまう魅力がある車だ。この当時僕のモーターショーの見方は時間の3分の1は駐車場と外廻りで珍しい車を探す事だった。この写真でも前にはフィアット600ムルティプラ、後にはルノー16 TSが止まっており、そのまま会場に入ってしまうのはあまりにももったいない。


(写真03-7ab)1970 Citroen 2CV AZ LM (1969-11 第11回東京オートショー/晴海)
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一つ前に1967年型を紹介しているが、3年経っても全く変化していない。ただ値段だけは85.5万円と少々高くなっている。

(写真03-8a-c)1983 Citroen 2CV(2014-11 トヨタ博物館クラシックカーフェスタ/神宮外苑)
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久々にカラーの登場だ。これまでに登場した車はいずれもグレイ系だったが、1959年からはブルーが標準色に加わっている。このデザインのグリルは1974年から使用された。


< 2CV6/2CV4シリーズ >
1970年、兄貴分「アミ6」の602ccエンジンを積んだ「2CV6」が誕生し、従来の435ccが「2CV4」と改称し2本建てとなった。


(写真04-1ab) 1975 Citroen 2CV6 Club   (1985-05 筑波サーキット)
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角型ライトは1974年から使用が始まったが、長年見慣れたシトロエンらしい可愛さが感じられないせいか、その後再び丸型に戻された。このシリーズではプレートがリア右下に付けられたので判別がし易い。


(写真04-2a-e)1980 Citroen 2CV6 Special (2012-12 トヨタ博物館クラシックカーフェスタ/明治神宮外苑・絵画館前)
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この車は最近撮影したものなので実物をご覧になった方も多いと思うがあまりにもお洒落なのでここにご紹介する。この車を遠目で見付けた時は、思わず「おー!」っと声を上げてしまった程人目を引く存在だ。ボンネットの絵はワイン用のブドウを収穫しているところのようだ。ドアの下半分は上を鏡で映したように対照的にガラスが入れられており、面白いアイデアだ。2CVのドアは薄っぺらな物だから、改造時大きく切り取っても強度上問題とならなかったのだろう。もう一つ目を引く大きな特徴はリアに背負った後付けのトランクで、初めて見た印象から「ペリカン型」と名付けた。実質的に積荷を増やす目的から見れば実に合理的で効果的だが、今までこれに似た構想で造られたトランクは一度も見たことは無い。


(写真04-3ab) 1986 Citroen 2CV6 Special (2007-06 イギリス国立自動車博物館/ビューリー)
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04-3b 07-06-25-0963 1986 Citroen 2CV6 Special.JPG
前の黄色の角型ライトの車から11年後のモデルだがライトが丸型に戻っている以外は変わった所は見当たらない。見慣れないせいか2CVには派手すぎる様に感じてしまう この真っ赤な塗装はオリジナルカラーで、カタログにもたびたび登場するので、フランスでは当たり前の色らしい。天井のキャンバス地も共色の赤で仕立てられている。


(写真04-4a) 1986 Citroen 2CV6 Special (2001-05 ミラノ市内にて)
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写真の車は前項の赤い車と全く同じ年式/グレードだから色違いという事になる。アイボリー系の落ち着いたカラーに1本の赤いストライプでアクセントを付けているが、この車はヨーロッパの街中で撮影した唯一の2CVだ。場所はミラノ市内にある自動車専門の本屋さん付近で、確か2ブロック位先にあの有名な「ミラノ大聖堂」がある。


(写真04-5ab)1989 Citroen 2CV6 Charleston (1990-01 南青山)
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04-5b 90-08-36 1989 Citroen 2CV6 Charleston(前・我家のステップバン).jpg
写真の車は1989年型で誕生以来既に40年も経っているのに、基本的なシルエットは全く変わっていないからどこから見ても「2CV」と迷わず確認できる。とは言っても「醜いあひるの子」も実用一点張りから、お洒落にも気を遣うようになっており、この車も渋い色ながら2トーンに塗り分けられている。「チャールストン」と名付けられたモデルは1981年型として8000台だけの限定モデルとして登場したが、予想外の好評でその年の内にカタログモデルとして定着した。冬季のため過冷却防止用のカバー(マスク)を装着しているが、カタログにも登場する正規装備品でフィット感も昔の物よりずっと良い。場所は南青山の通称骨董通りを左に曲がった根津美術付近で、前方が青山霊園である。

 < 2CV 4×4 サハラ >
「サハラ」はフランスの旧植民地北アフリカのアルジェリアで石油開発に使用するため開発されたもので、1958年発表され1960年からは一般に市販され67年までに693台が造られた。特徴は前後にエンジンを搭載した4輪駆動でメカニカル的には前エンジョンは前輪、後エンジンは後輪を駆動するシステムで、アクセル以外は連動していない。通常は後輪をニュートラルにして前輪駆動で走り、後輪は登坂時とか悪路走行時の補助エンジンと考えればよい。前輪をニュートラルにしてリアエンジン、後輪駆動でも走れるがあまりお勧めではない。エンジンは425ccを2基搭載しているが総馬力は僅か24馬力しかない。しかしその登坂能力は45度と信じられない程高い。その秘密は735kgと軽い総重量、前後50/50%とバランスのとれた重量配分にある。それにしてもあのふわふわ走る2CVが何故アフリカの石油開発用に目を付けられたのか。その一つはかつてのシトロエンの「黒い巡洋艦」のイメージや、第2次大戦の北アフリカ戦線で水の無い砂漠地帯での「空冷エンジン」の信頼性の高さなどが何処かにあったのかな、とは考え過ぎか。

(写真05-1ab)1958 Citroen 2CV 4×4 Sahara (2001-08 河口湖自動車博物館)
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2CVサハラは現役時代には正規輸入はされなかったようで、別ルートで入って来た車が2台存在を確認されている。僕は3回写真を撮っており、2台はナンバーが付いているので、ナンバーの無い博物館の車はそのどちらかという事だろうか。それとの全く別の物だろうか。


(写真05-2a-c)1961 Citroen 2CV 4×4 Sahara (1991-01 JCCA汐留ミーティング)
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イベントに登場したこの車は博物館の車と同じ色だが、市販されたサハラは皆同じ色だったのかも知れないから何とも言えない。(初期の油田開発用に造られた車は砂漠仕様の黄土色だった)


(写真05-3a-e) 1967 Citroen 2CV 4×4 Sahara (1969-11 第11回東京オートショー(中古車館)
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1969年のオートショーでは別館に中古車が展示されており僕にとっては最も見ごたえのある場所だった。その中で見つけたのがこの車で、左右の前ドアには丸い通気口があり、後には第2エンジンの排熱用に大きな開口部が有るので、間違えなく「サハラ」だ。一番目立つフロントボンネットのスペアタイヤは普通の2CVでも付け替えが可能なので騙されてはいけない。新車の販売価格は普通の2CVの約2倍だが、この車は95万円と値札が付いていた。1967年普通の2CVの新車が82万円だったから2年落ちならお買い得だろう。

 
< 2CV フルゴネット >
2CVのバン・タイプは、フランスでは「フルゴネット」と呼ばれ、乗用車に1年遅れて1950年から販売が始まっている。乗用車のボディの後半分をすっぱりと切り落とし、そこに波板の薄い鋼板で造られたカマボコ型の荷物室をすっぽりとはめ込めば出来上がり、といった感じだ。普通のトラックと違って、運転席と荷物室の間に隔壁が無いのが特徴だ。初期型(AU)では基本的に窓は付かないが、後期の(AZU)や(AK)では4人乗りとなったため窓が標準装備となった。改装によって窓の大きさや数を増やすことが可能で、その場合はトラックではなくファミリー用のステーションワゴン的な性格に変ってしまう。フルゴネットの兄弟分のピックアップは1度も見たことは無いがカタログでは存在するらしい。この車は国内では1枚も写真を撮っていないので、現役としては最後まで正規輸入はされなかったようだ。1978年製産中止までに約125万台が製造された。


(写真06-1a-c)1955 Citroen 2CV AZU 250 Fourgonnette(2008-01 ドイツ博物館/ミュンヘン)
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僕が国内で見る事の出来なかった大好きな初代のフルゴネットをドイツで見つけた。この車を最初に意識したのは、1955年に作られたフランス映画「悪魔のような女」というサスペンス物で愛人が妻と共謀して夫を殺し、死体をシトロエンで運ぶという筋立てだが、ファーストシーンはフルゴネットが家の前に止まる所から始まり、まるで準主役扱いだ。随所に走行シーンが出てくるが田舎のでこぼこ道を軽やかに、しなやかに走る姿はCMでも使えそうだ。昔ビデオで録画した映像をDVDで保存してあるので今回引っ張り出して観てしまった。この車の運転席と荷室がつながっている証拠は後の楕円の窓を通して外の景色が見えている事だ。


(写真06-2a)Citroen 2CV AK Fourgonnette (1/24 モデルカー)
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写真は「エブロ×タミヤ」のコラボレーションで誕生した待望の逸品で、モデラーの間でも評判が良いキットだ。一見本物かと思ってしまう程見事なスケール感だが、その筈で、エブロの代表者木谷氏のモデル造りの基本姿勢は「実物より実物らしく」をモットーにしているそうだ。キットは「タミヤ」から発売されていた「2CV」をベースに「エブロ」が「フルゴネット」に仕上げたものだ。「エブロ」と「タミヤ」が親密な関係にあるのは、タミヤから発売されたHONDA-F1(1964 RA271)をみてショックを受けた木谷氏が無理やりタミヤに就職した所から始まり、以後30年タミヤで色々な事を学びつつデザイナーとして腕を振るってきたが、1998年自分の夢を叶えるため独立して(有) MMP社(ミニチュア・モデル・プランニング)設立、「Ebro」のブランド名でミニカーの製造を始めた。その夢の一つは大メーカーでは採算の合わないような平凡な日本車などを小回りの利く小規模生産で造り、日本の自動車の歴史をミニカーと言う形で残したいという思いだった。結果的にはその出来の良さと、コレクターの欲望をくすぐるレアもの感もあって世界中にファンが広がった。余談だが現在の場所に引っ越す前のMMPの本社住所は静岡市西草深町とあり、ここは僕の生まれ育った一角で本籍地でもある懐かしい場所だ。

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(写真06-2a-c)1977 Citroen 2CV AK400 Fourgonnette(2001-05モンツア・サーキット)
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06-3b (01-42-02) 1977 Citroen 2CV AK400 Fourgonette.jpg

06-3c (01-42-01) 1977 Citroen 2CV AK400 Fourgonette.jpg
1963年 荷物室が大きくなった「AK」が登場した。荷物室は高さ、長さ共に延長され積載量が増えたが、4人乗りとなり後列シートのため標準装備で窓が追加された。僕の好みでは初期型の方が「可愛さ」「軽快さ」で勝っているように思うが、それは最初に見た「摺り込み現象」の影響だろうか。

(写真07-1a-c)1967 Citroen 2CV Commercial Car(2010-07 ビューリー自動車博物館/イギリス)
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07-1b 10-07-05_0042 1967 Citroen 2CV.JPG

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2CVをベースにしたコマーシャルカーで、ビール瓶を背負っている。[Bushy's]というビールの醸造元はオートバイレースで有名な「マン島」にあるため、ラベルもオートバイとチェッカーフラッグだ。


(写真07-2a) Citroen 2CV (改)  ((2001-05 モンツア・サーキット/イタリア)
07-2a (01-41-34) Citroen 2CV /2CV6 Charleston.jpg
この車の素性は良く判らないが、非力の2CVでレースでもしようと言うのか、前後ともに随分太いタイヤを履いておりフェンダーも大きく張り出している。ホイールはオリジナルのイメージのままだが、こんなに太いタイヤ用は何処に売っているのだろう。

(写真07-3a) Citroen 2CV Hot Rod (2008-01 ジンスハイム科学技術館/ドイツ)
07-3a 08-01-14_1437 シヴォレーV8エンジン付シトロエン2CV.JPG
最後はシトロエンとしてここに登場させることをためらうモンスターの出番だ。エンジンはシボレーのV8 5リッター 650馬力で、後輪駆動だから下半分にはシトロエンのかけらもない。只、走るときにはシトロエンの形をした箱を被せるだけで、別にシトロエンでなくても、なんでも結果には変わりはないだろう。


―― 今月は「2CV」とその後継車「デイアーヌ」「メアリ」「アミ6/8」「GS」まで掲載予定だったが、一杯ある大好きな「2CV」が切り捨てられず、残りは来月に廻す事になりました ――

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第57回 F項-1 ファセル(仏)、ファーガソン(英)、フライング・フェザー(日)、フジキャビン(日)、F/FⅡ(日)

第56回 E項-1 エドセル、エドワード、E.R.A、エルミニ、エセックス、エヴァ、エクスキャリバー

第55回  D項-8 デューセンバーグ・2

第54回 D項-7 デューセンバーグ・1

第53回  D項-6 デソート/ダッジ

第52回 D項-5 デ・トマゾ

第51回 D項-4 デイムラー(英)

第50回 D項-3 ダイムラー(ドイツ)

第49回  D項-2 DeDion-Bouton~Du Pont

第48回 D項-1 DAF~DeCoucy

第47回 C項-15 クライスラー/インペリアル(2)

第46回 C項-14 クライスラー/インペリアル

第45回 C項-13 「コルベット」

第44回 C項-12 「シボレー・2」(1950~) 

第43回 C項-11 「シボレー・1」(戦前~1940年代) 

第42回  C項-10 「コブラ」「コロンボ」「コメット」「コメート」「コンパウンド」「コンノート」「コンチネンタル」「クレイン・シンプレックス」「カニンガム」「カーチス]

第41回 C項-9 シトロエン(4) 2CVの後継車

第40回  C項-8シトロエン2CV

第39回  C項-7 シトロエン2 DS/ID SM 特殊車輛 トラック スポーツカー

第38回  C項-6 シトロエン 1 戦前/トラクションアバン (仏) 1919~

第37回 C項-5 「チシタリア」「クーパー」「コード」「クロスレー」

第36回 C項-4 カール・メッツ、ケーターハム他

第35回 C項-3 キャディラック(3)1958~69年 

第34回  C項-2 キャディラック(2)

第33回 C項-1 キャディラック(1)戦前

第32回  B項-13  ブガッティ(5)

第31回 B項-12 ブガッティ (4)

第30回  B項-11 ブガッティ(3) 

第29回 B項-10 ブガッティ(2) 速く走るために造られた車たち

第28回 B項-9 ブガッティ(1)

第27回 B項-8 ビュイック

第26回 B項-7  BMW(3) 戦後2  快進撃はじまる

第25回 B項-6 BMW(2) 戦後

第24回  B項-5   BMW(1) 戦前

第23回   B項-4(Bl~Bs)

第22回 B項-3 ベントレー(2)

第21回 B項-2 ベントレー(1)

第20回 B項-1 Baker Electric (米)

第19回  A項18 オースチン・ヒーレー(3)

第18回  A項・17 オースチン(2)

第17回 A項-16 オースチン(1)

第16回 戦後のアウトウニオン

第15回  アウディ・1

第14回 A項 <Ar-Av>

第13回  A項・12 アストンマーチン(3)

第12回 A項・11 アストンマーチン(2)

第11回  A項-10 アストン・マーチン(1)

第10回 A項・9 Al-As

第9回 アルファ・ロメオ モントリオール/ティーポ33

第8回 アルファ・ロメオとザガート

第7回 アルファ・ロメオ・4

第6回 アルファ・ロメオ・3

第5回 アルファ・ロメオ・2

第4回  A項・3 アルファ・ロメオ-1

第3回  A項・2(Ac-Al)

第2回  「A項・1 アバルト」(Ab-Ab)

第1回特別編 千葉市と千葉トヨペット主催:浅井貞彦写真展「60年代街角で見たクルマたち」開催によせて

執筆者プロフィール

1934年(昭和9年)静岡生まれ。1953年県立静岡高等学校卒業後、金融機関に勤務。中学2年生の時に写真に興味を持ち、自動車の写真を撮り始めて以来独学で研究を重ね、1952年ライカタイプの「キヤノンⅢ型」を手始めに、「コンタックスⅡa」、「アサヒペンタックスAP型」など機種は変わっても一眼レフを愛用し、自動車ひとすじに50年あまり撮影しつづけている。撮影技術だけでなく機材や暗室処理にも関心を持ち、1953年(昭和28年)1月には戦後初の国産カラーフィルム「さくら天然色フィルム」(リバーサル)による作品を残している。著書に約1万3000余コマのモノクロフィルムからまとめた『60年代 街角で見たクルマたち【ヨーロッパ編】』『同【アメリカ車編】』『同【日本車・珍車編】』『浅井貞彦写真集 ダットサン 歴代のモデルたちとその記録』(いずれも三樹書房)がある。

関連書籍
浅井貞彦写真集 ダットサン 歴代のモデルたちとその記録
60年代 街角で見たクルマたち【ヨーロッパ車編】
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