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論評26 コンシューマーレポート(2)
2013.5.27

今回はアメリカのコンシューマーレポート(CRと略)4月号"Best & Worst Cars for 2013" の中の"Who makes the best cars?"(最良のクルマをつくるかメーカーはどこか?)という興味深い記事のエッセンスをご紹介したい。各ブランドのスコアは、CRによる50項目にも及ぶテスト結果、読者からの信頼性データ、お勧めモデルの比率などを総合して算出したもので、トップ10ブランド中、日本車が8ブランドを占めているのは国内自動車メーカー、部品メーカーの長年の努力のたまものであり、うれしい限りだ。ただし日本のクルマ産業が家電の二の舞を踏まないためには、CR的評価の維持、改善に加えて、私が繰り返し主張している右脳(感性)にアピールするクルマづくりが必須であり、一層の努力を期待したい。

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まず今回評価の対象となったブランド(最低3車種はある26ブランド)のうち最高スコアとなったのはレクサスだ。CRによればレクサスは静か、快適で、燃費が良く、加えて最も信頼性が高い。ハイブリッドや複雑なインフォテイメントシステムを採用しているにも関わらずこのような結果となっていることは高い評価に値するとのべており、79ポイントという最高点を獲得している。その次に位置しているのが二つの少量生産メーカー、スバルとマツダで、いずれも76ポイントを獲得、CRのよると、これらのブランドの注目度は必ずしも高くないが、ハンドリング、燃費、実用性、お求め易い価格などが魅力で、その次に位置するのがトヨタとアキュラでいずれも74ポイントで、これらがトップ5ブランドとなった。

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CRの総合コメント
 トップ7ブランドは日本車となり、その中でトヨタが2ブランド、ホンダが2ブランドを占めた。大半の米国ブランドは信頼性などに起因し下位に甘んじた。欧州ブランドは総じて快適で運転することが楽しいが、信頼性が足を引っ張り中間的な評価となった。例外はアウディで8位。
 同じメーカーの商品でもブランドにより大きな相違がある。例えばGMのキャデラックは63ポイントで中間に位置するが、他のGMブランド(シボレー、ビュイック)は58、54とかなり下位に甘んじている。
 アキュラとベンツはいずれもロードテストスコアが最高の82点を記録、一方でジープは52点という最低点となった。
 サイオン(トヨタの若者向けのブランド)は信頼性で最高点を獲得、ビュイック、クライスラー、ダッジ、フォード、リンカーン、ミニは平均値以下の最低点となった。
 同一メーカーの中ではホンダよりアキュラ、ニッサンよりインフィニティ、VWよりアウディと、プレミアムブランドの方が上位となった。

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トップ10ブランドの得点とCRのひとことコメント
 レクサス:総合点79
平均ロードテストスコア:80
信頼性:平均値以上
お薦めモデル:100%
レクサスモデルは総じてスポーティーとは言えないが、静粛、豪華、信頼性も非常に高い。ハイブリッド技術は素晴らしい。

 スバル:総合点76
平均ロードテストスコア:80
信頼性:平均値以上
お薦めモデル:90%
スバルは簡素で信頼性が高く効率的なクルマをつくるが、多くのモデルは静かとはいえない。大半は4駆で、中には非常にスポーティーなモデルもある。

 マツダ:総合点76
平均ロードテストスコア:77
信頼性:平均値以上
お薦めモデル:89%
マツダは最も信頼性の優れたブランドの一つで、多くのモデルは実用性、スポーティーさ、効率的がうまく組み合わされている。

 トヨタ:総合点74
平均ロードテストスコア:71
信頼性:平均値以上
お薦めモデル:73%
トヨタは信頼性の最も優れたブランドの一つで、ハイブリッドも素晴らしい。大半のモデルは快適で静かだがスポーティーではない。

 アキュラ:総合点74
平均ロードテストスコア:81
信頼性:平均値以上
お薦めモデル:100%
アキュラは素晴らしい信頼性と快適性を備えると共に、ほんの少しスポーティーで、全モデルがお勧めできる。

 ホンダ:総合点72
平均ロードテストスコア:73
信頼性:平均値以上
お薦めモデル:79%
大半のホンダ車は(一部のモデルを除き)信頼性が高く効率的、ハンドリングも優れ、インテリアも素敵。

 サイオン:総合点72
平均ロードテストスコア:73
信頼性:最良
お薦めモデル:67%
サイオンのモデルは入手しやすい価格で燃費が良く、年間調査の中で最良の総合信頼性を記録している。

 アウディ:総合点70
平均ロードテストスコア:81
信頼性:平均値以上
お薦めモデル:75%
素晴らしいインテリア、反応の良いハンドリング、平均値以上の信頼性、CRのテストでベストとなったモデルがA6だ。

 インフィニティ:総合点70
平均ロードテストスコア:80
信頼性:平均
お薦めモデル:75%
ニッサンのラグジャリー部門はスポーティーで快適なセダンをつくり、豪華なSUVの信頼性も高い。

 メルセデス ベンツ:総合点69
平均ロードテストスコア:82
信頼性:平均
お薦めモデル:57%
大半のモデルの乗り味がよく、ハンドリングが素晴らしく、内装が豪華。最新のガソリン、ディーゼルエンジンの効率は素晴らしい。

このような結果を見る限り、前報の信頼性に加えて商品性の面からも日本車の競争力は抜群で、日本の自動車産業の将来は安泰といえそうだが、韓国車の近年の信頼性、デザインを含む商品性の向上は驚くほどであり、欧州車も信頼性面でいつまでも日本車の後塵を拝することは考えにくく、米国のクルマづくりもCRでの厳しい評価結果も大きな原動力となり改善されることは間違いない。更に中国車の世界市場進出も間もなく始まってくるだろう。前報の繰り返しとなるが、日本にもCRと同類のものが欲しいと思うのは多くの日本ユーザーのことを考えた私の強い要望でもある。1700万人とも言われるJAF会員から毎年信頼性に関するデータを収集分析、それにより一段と信頼性の高いクルマ(中でも日本車)の実現に向けてJAFが貢献することも出来るのではないだろうか?

そして日本のクルマ産業が家電の二の舞を踏まないために、CR的評価を維持改善することに加えて、総合的な商品魅力の作りこみ、中でも私が繰り返し主張している右脳(感性)領域の改良(内外装デザイン、質感、各部触感、ドライビングフィール、音質など)にも是非とも注力してゆく必要がある。何故ならこれも前報でも述べたように、一連のCR評価&レポートはあくまでデータ依存型、言いかえれば左脳型評価が大半であり、右脳領域の評価は余り含まれていないからだ。

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執筆者プロフィール

1941年(昭和16年)東京生まれ。東洋工業(現マツダ)入社後、8年間ロータリーエンジンの開発に携わる。1970年代は米国に駐在し、輸出を開始したロータリー車の技術課題の解決にあたる。帰国後は海外広報、RX-7担当主査として2代目RX-7の育成と3代目の開発を担当する傍らモータースポーツ業務を兼務し、1991年のルマン優勝を達成。その後、広報、デザイン部門統括を経て、北米マツダ デザイン・商品開発担当副社長を務める。退職後はモータージャーナリストに。共著に『マツダRX-7』『車評50』『車評 軽自動車編』、編者として『マツダ/ユーノスロードスター』、『ポルシェ911 空冷ナローボディーの時代 1963-1973』(いずれも三樹書房)では翻訳と監修を担当。そのほか寄稿多数。また2008年より三樹書房ホームページ上で「車評オンライン」を執筆。

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