今回私は、弊社書籍『定本 本田宗一郎伝』や『スバル・メカニズム』の著者である中部博氏よりお誘いを受け、「チームヤマケン」の雑用メカニックマンとして16日(金曜)の練習走行から、3日間チームに帯同しました。実際にレースチームの一員として参加するのは初めてなので、楽しみ半分不安半分でした。とりあえず、大きなテーマとして「回りに迷惑をかけない」を心掛けて私のレース初体験は始まりました!
まず「JOY耐」とは、「エンデュランス・カーニバル もてぎ ENJOY耐久レース」の略です。参加型レースとして、チームのみんなで楽しい時間をわかちあうことを目的の一つとして2001年より開催され、年々参加者も増加し、今年で6回目を迎えたイベントです。今年は結局3日間とも雨に見舞われましたが、昨年並みの盛況でした。
次に私が参加した「チームヤマケン」についてですが、マシンはシビック・ハイブリットの2台体制。カーナンバー69「RA-H03」に乗るのは、本田技術研究所の関根さん、オートスポーツ副編集長の田中さん、そして高橋国光さんの三人です。そしてもう一台のカーナンバー96「RA-H01」は、中部さん、ジャーナリストの石井さん、ラリードライバー三好さん、そして紅一点のライターの丸茂さんの四人です。高橋国光さんといえば、もはや説明不要の我が国を代表するレーシングドライバーです。まるで草野球に、ミスター長嶋茂雄を呼んだ状態でした。隣のチームには松本恵二さん、服部尚貴選手、脇阪兄弟もいたので、自然と私たちがいたピットは多くのファンやメディアの方でにぎわっていました。
実際に私が担当した業務の一つは、各種の書類の提出をこなすことです。参加型レースとはいえ、やはり危険が伴いますので、事前の検査や書類の手続きはしっかりとしたものでした。初日にドライバー備品チェックとして、ヘルメット、グローブ、レーシングスーツ、シューズを検閲したのですが、私は恐れ多くも高橋国光さんのヘルメットを持って代理で審査所に行きました。日本を代表するトップドライバーのヘルメットですから何の問題もないと思いきや、いきなり係りの人に「このヘルメット全然だめ!」と言われてしまいました。製造から10年以上経過しているヘルメットは、使用不可だったのです。その時、私が持っていた国光さんのヘルメットは1994年製だったのです。幸いスペアのヘルメットを持ってきておられたので、無事検査は終了しましたが、「おいおい、誰のヘルメットに対して全然だめと言ってるんですか?」とおもわず言いそうになりました!!
さてその国光さんが乗られる「RA-H03」をメンテするのは、本田技術研究所のエンジニアの方たちです。私と同じ20代の若きエンジンニアも何人かいて、夕食時には色々と話す機会がありました。彼らはみんな「マクラーレン・ホンダ、アイルトン・セナ・中嶋悟」ファンでした。中には中部さんが1988年に発表した、1987年のホンダF-1活動を綴ったノンフィクション『1000馬力のエクスタシー』を読んでこの会社に入ったという熱い男もいました。酔った勢いで中部さんに「あの本読んだからこの会社にはいっちゃいました、責任とてくださいよ!」と言い寄る未来のF-1メカニックもいました。マシンがピットに戻るたびに彼らは、誰に指示されることもなく、黙々とクルマの整備に取り掛かっていました。真剣な眼差しである一方、みな楽しそうに、活き活きとして動いていた姿がとても印象的でした。きっと彼らが、これからの新しいクルマ、ホンダを築いていくのかと思うと爽やかな感動を覚えました。
決勝レース当日は、大きなトラブルに見舞われることなく無事に2台感想果たしました。レース中盤、丸茂さんと中部さんがドライバーの時に、ピットロードにてサインボードを出す仕事をやらせていただきました。二人ともピット前を通過する際、当たり前ですがちゃんとサインボードを見ていて、時折軽く手を上げて応えてくれました。現在のF-1等とは違い、ピットとドライバー間で無線によるやり取りはありませんので、私が出すサインボードが唯一の情報伝達の手段、そう思うと重要な役割を担っている仕事の重圧を感じ気合が入りました。ゴールの瞬間、すべてのチーム関係者たちがいっせいにピットロードへ駆け出し、最終ドライバーを迎える瞬間は、これまでに味わったことの無い最高の瞬間でした。「チームヤマケン」の皆さんと握手を交わし、微力ながら私もチームのために役立てたのかなと思いました。
3日間、初めてだらけの連続で、翌日は疲労困憊でしたが、とにかく楽しく刺激的な時間でした。宿舎とサーキットの往復だけの日々は、終わってみればあっという間の夢のような時間でした。レースの魅力に憑かれた人々の気持ちが良く理解できました。この魅力は一度味わうともういちどやりたくなりますね。これからも機会があれば是非レースに参加したいと強く思いました。「JOY耐」最高☆!
編集部 大澤 諭
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