2006年のF1が中東バーレーンを舞台に開幕しました。今年は昨年の王者アロンソと昨年辛酸を嘗めた皇帝シューマッハの新旧王者対決をはじめ見所が多々ある中、佐藤琢磨・井出有治の日本人ドライバー二人体制での新生スーパー・アグリ・フォーミュラワンの参戦と例年以上に目が離せないシーズンになりそうです。そんな中、私が特に注目するのが、ホンダとトヨタのお互いの威信をかけた戦いです。かつての黄金時代の輝きを取り戻そうとしているホンダ。参戦以来着々と戦力を高め、遂に頂点に上り詰めようとしているトヨタ。両陣営とも充実したオフシーズンを過ごし、今年は約40年ぶりに表彰台に君が代が流れる可能性が大いにあります。それがホンダなのかトヨタなのか!?非常に関心が高まるところです。
かつてこの両者は、アメリカのCARTを舞台に激しい戦いを繰り広げました。圧倒的な強さで勝ちまくり、1996年から6年連続でドライバーズ・チャンピオンを獲得してきたホンダに対して、2000年に待望の初優勝を達成し、対等以上の力を整えてきたトヨタ。翌2002年は、両者が激しく戦ったシーズンとして、記憶に残る戦いを繰り広げました。
弊社が昨年5月に発売いたしました『アメリカ ホンダ レーシング -ただ勝利のためだけではなく-』には、そんな2002年シーズンのCARTを舞台に、ホンダのレース現場責任者である朝香充弘さんを主人公に描いた作品です。サーキットの上だけではなく、目に見えない不可解な何かの力に対しても戦わなければならなかった舞台裏のドラマまで描いた作品です。
昨年のインディージャパンの際に、初めて朝香さんとお会いしました。激しいレースの現場で何年も真剣勝負をしてきた方なので、実際どんな方なのかと思っていましたが、とても気さくで明るい方でした。できあがった本の感想などをお聞きしている内に、すっかり私も朝香さんの魅力に取り付かれてしまいました。短い時間ではありましたが、朝香さんが持っている純粋にレースを愛している気持ちを強く感じました。
レースで勝つためには、良いドライバー・エンジン・タイヤ・戦略等、いろいろな要素が必要だと言われていますが、チームワークが最も必要だったのではないかと思います。アメリカ ホンダ レーシングが、勝ち続けることができたのは、朝香さんを中心に、チームが本当に一つにまとまっていたからだと、その時確信しました。
朝香さんの活躍をはじめ、ホンダとトヨタの激しい戦い、ヒューマン・ドラマに満ちたこの1冊を、是非一度ご覧ください。
三樹書房 大澤 諭